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雇用・人事・労務・その他・業務

●人生のさまざまなリスク

 どんな人生でも、リスクや課題は必ず存在します。

 病気にかかって失業し収入が途絶え生活に困ってしまうような場合です。

 このようなことは誰にでも起こりうることです。

 その場合、まず頼るのは親兄弟・親類でしょうが、身内の者に頼れない事情があるときは、国や地方公共団体、公益団体などからの援助によって生活を立て直すことになります。

 しかし、いつまでも援助に頼った生活はできません。

 自立・自助が基本で、共助・公助は万一の場合です。

 共助には各種の社会保険があり、公助には生活保護などがあります。

 病気やケガ、老齢になれば寝たきりになったり認知症になるリスクも高まります。

 また、寿命による死のみならず不慮の死も考慮しなければなりません。

 金銭面では、失業や転職によって収入が減少したり、過剰な出費による家計破綻や破産も考えられます。

 夫婦間には離婚するリスクもあります。

 子どもを育てるときには出産のリスク、育児のリスク、また子どもがある年齢に達すると非行に走るリスクが生じるかもしれません。

 健康であれば何も心配はないというわけでもなく、長生きしすぎるというリスクも考えられます。

 こうしたリスクは、社会保険制度で対応できるものもあります。

 病気や事故については、おもに医療保険が対応すべき分野です。

 寝たきりや認知症は、介護保険と医療保険が共同であたることになります。

 長生きや死亡にともなう経済的なリスクに対しては、年金が中心となります。

 失業リスクには雇用保険で、仕事に従事しているときの病気や事故は主として労災保険で対処することになります。

●決められた内容が異なる場合の優先順位

 法令、就業規則などで決められた内容がそれぞれ異なる場合の優先順位

1 労働法令

 労働基準法、最低賃金法、その他の法律、政令、省令が最も強い効力をもつ。

2 判例

 解雇権濫用の法理などの強行法規的な判例が法令と同様の効力をもつ。

3 労働協約

 労働組合法に基づき、労働組合と使用者またはその団体との問に結ばれる労働条件その他に関する約束。

 文書に作成し、労使両方の当事者が署名または記名押印したものをいう。

4 就業規則

 使用者(会社)が各事業場において従業員の守らなければならない就業上の規律、職場秩序および労働条件についての具体的内密を文書にしたもの。

5 労働契約

 個々の労働者の労働条件は、上位4つのものに反しないかぎり、労働契約等による当事者(使用者と労働者)の合意によって内杏が定められる。

 労働契約は、文書を作成しなくても口約束で成立する。

 また、「労働慣行」も、当事者問の暗黙の了解となっていれば、法的な意味をもつ。

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△労使協定

 労使協定だけは種類が違う

 労使に守る義務があるが、個々の労働者に強制力なし。

 労使協定は定めておけば、法律に違反しないですむという免罪符にすぎない。

 例えば労使間で時間外協定を結んでも、個々の労働者は使用者の残業命令に従う義
務は生じない。

●就業規則は要点を押さえて作る

 就業規則を作成する手順は、全部で6つあります。

 すでにある就業規則を変更する場合も同じ手順を踏みます。

 次の手順のうち、2、5、6の作業は、労働基準法の規定により、義務づけられています。

 必ず行うようにしてください。

1 就業規則案の作成

2 従業員の過半数代表者からの意見聴取

3 聴取した意見の検討

4 就業規則の正式決定

5 労働基準監督署への届出

6 従業員への周知義務

●就業規則は合理性がなければ変更はできない

 すでに作成し、適用されている就業規則について、給与アップ、労働時間の短縮、定年年齢の引上げなど、従業員の労働条件を改善、向上する場合の規則変更は、労働基準法で決められている手順を踏めば問題ありません。

 逆に、就業規則の規定内容を従業員にとって不利益な内容に変更すること、つまり従業員にこれまで認められてきた既得権を奪うことは、原則として認められません。

 もし、どうしても変更したければ、全従業員の個別同意が必要です。

●職場のルールを決める

 服務規律を定めるときには、事業場を円滑に運営するうえで、必要かつ合理的なものにすることが大事です。

 従業員の私生活に対する干渉を正当化するものや、人格、自由に対するいきすぎた支配や拘束を認めるものであってはいけません。

・精勤等の義務

・人事権に従う義務

・業務命令に従う義務

・職場秩序、安全衛生等に関する義務

・会社の施設、物品管理、保全についての規律

・従業員としての地位、身分による規律

・その他

 従業員が服務規律に違反した場合、会社は従業員に対して制裁=懲戒処分を行います。

 懲戒処分を行うには、次の要件をたしておかなければなりません。

・就業規則等にどのような場合に、どのような懲戒処分をするか、内容と種類を定める。

・それらを従業員に知らせておく。

・それらの規定に沿って処分を行う。

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 懲戒処分の種類

・訓告

・減給

・出勤停止

・懲戒解雇

●労働契約には、結んではならないことがある

 会社が従業員と労働契約を結ぶ際の労働契約の成立は、口約束でも有効です。

 しかし、後々のことを考えると、労働条件通知書を従業員に渡し、説明して同意を得ておくと、余計なトラブルが減ります。

 労働契約の内容について、労働基準法で次の5つの行為を禁止しています。

1 違約金の禁止

2 購償金額予定の禁止

3 一定期間勤務による貸付金返済免除

4 強制預金の禁止

5 前借金相殺の禁止

●内定から採用後までに行う5つの手続き

 新たに従業員を採用する場合には、法律や命令等に基づいた手続きを行わなければなりません。

・採用内定時に用意する書類

 採用決定通知書

・入社時までに、会社が用意する書類

 労働条件通知書

 労働者名簿

 賃金台帳

 健康診断個人票

 人事記録カード

・入社時に・従業員に提出させる書類

 誓約書

 住民票記載事頂証明書

 履歴書、健康診断書

 身元保証書

 年金手帳、雇用保険被保険者証

 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

・初出社日の手続き

 辞令の交付

 身分証明書の交付

 通勤費支給申請書

・採用後の事務手続き

 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の提出

 雇用保険被保険者資格取得届

 社会保険被保険者台帳

●内定の取り清しは簡単にはできない

 会社は優秀な学生を早く確保したいため、採用内定後、採用内定通知書を出します。

 それを受け取った学生は、他社への就職活動をストップします。

 ところが、入社直前になって会社からなんらかの理由で、採用内定を取り消されると、その学生は別の就職先を確保することができなくなります。

 採用内定通知書に、「提出書類に虚偽記入があったときは内定を取り消す」などと書いておけば、取り消しは可能かいうと、裁判所の判断では、それもできないとされています。

 しかし、会社側にも言い分があります。

 それを正当化し、取り消しを可能とするには、2つのポイントを押さえておかなければなりません。

1 まだ勤務していなくても雇用関係は成立

2 合理的理由があってこそ、採用取り消しが可能

●試用期間

 試用期間とは、従業員を採用するにあたって、はじめから正式な本採用とせず、「試みに採用する」期間のことをいいます。

 3カ月や6カ月など「試験的な勤務期間」を限定して、その期間中に「わが社の従業員として適格であるか否か」を判定します。

 試用期間を設けるには、就業規則と労働契約書に、目的と期間について明確な規定を設ける必要があります。

 試用期間の長さの限度については、労働基準法等に規定はありません。

 しかし、この期間中は従業員としての地位は不安定なので、あまりにも長い期間にすることは、その者に不当な不利益を強いることになりますので、最長でも1年とすべきです。

●社会保険と事業主の義務

 業務上で起きたケガや業務が原因となった病気等に適用される労災保険と違い、業務外で起きたケガ、病気による出費や負担を軽減するの健康保険です。

 比較的短期の費用や負担を軽減する健康保険と違い、従業員の老齢、障害、死亡等、比較的長期にわたって、費用や負担を軽くするのが厚生年金保険です。

 いずれも、生活の不安を取り除く目的があります。

 パートタイマーや契約社員の健康保険と厚生年金保険については、その事業所の正社員との比較で決まります。

 パートタイマー等の労働時間が、事業所において同種の業務に従事する正社員の所定労働時間および所定労働日数のおおむね4分の3以上である場合、原則として適用の対象となります。

 適用されない場合;

・本人の年収が130万円未満で配偶者が健康保険、厚生年金に加入している場合は、その被扶養配偶者になります(年金は国民年金の第3号被保険者)。

・本人の年収が130万円未満で配偶者が健康保険、厚生年金保険に加入していない場合は、国民健康保険および国民年金(第1号被保険者)に加入しなければなりません。

・本人の年収が130万円以上である場合は、国民健康保険および国民年金(第1号被保険者)に加入しなければなりません。

●パートタイマーを雇用するときに注意すること

 パートタイマーとは、1日、または1週の所定労働時間(就業規則等で定められている労働時間)が、一般従業員の所定労働時間よりも短い従業員のことです。

 パートタイマーにも、当然ながら労働基準法、最低賃金法などすべての労働法規が適用されますが、一般労働者と異なる取り扱いをしている法律もあります。

 改正パート労働法では、新たに、事業主に対して次の@〜Bが義務づけられました(平成20年4月1日施行)。

@正社員なみの短時間労働者に対しては、賃金、労働時間その他の待遇について正社員と差別してはならないこと。

A短時間労働者の賃金・教育訓練・福利厚生について正社員との均衡をはかること。

H短時間労働者の正社員への転換を推進する措置を講ずること。

●パートタイマーと課税

 パートタイマーは給与所得者として、その年収に応じて課税されます。

 また、パートタイマーの配偶者は、課税にあたって配偶者控除および配偶者特別控除が認められます。

・年収100万円以下

 本人については、課税対象となりません。

 パート本人の配偶者については、所得税、住民税の確定申告時に、配偶者控除が認められます。

・年収100万円を超え、103万円未満

 本人については、住民税は課税対象となります。

 パート本人の配偶者については、所得税、住民税の確定申告時に、配偶者控除が認められます。

・年収103万円

 本人については、住民税は課税対象となります。

 パート本人の配偶者については、所得税、住民税の確定申告時に、配偶者控除が認められます。

・年収103万円を超え141万円未満

 本人については、所得税、住民税とも課税対象となります。

 パート本人の配偶者については、所得税、住民税の確定申告時に、配偶者控除は認められませんが、配偶者特別控除が認められます。

・年収141万円以上

 本人については、所得税、住民税とも課税対象となります。

 パート本人の配偶者については、所得税、住民税の確定申告時に、配偶者控除も、配偶者特別控除も認められません。

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 所得税の配偶者控除は38万円、配偶者特別控除は最高38万円です。

 住民税の場合は、配偶者控除33万円、配偶者特別控除は最高33万円になります。

 なお、配偶者控除については、年間の合計所得金額が1,000万円(給与等収入で約1,230万円)を超えると、控除は適用されません。

●65歳までの雇用義務には継続雇用制度で対応

 定年制というのは、従業員が一定の年齢に達したときに自動的に退職する制度です。

 定年を設けるか否かは各企業の自由です。

 現在、定年制を実施する場合、その年齢が60歳を下回らないよう、各企業に義務づけられています。

 なお、鉱山などにおける坑内作業に従事する労働者については、この規定は適用されません。

 また、定年年齢に男女差を設けることは、男女雇用機会均等法により禁止されています。

 高年齢者雇用安定法が改正され、施行されることにより、すべての企業が平成18年4月から段階的に、定年の延長をはじめとする65歳までの雇用確保の措置を講じなければならないことになりました。

 65歳までの雇用確保の措置の実施は、3つの措置のうち、いずれかを選んで行うことができます。

1 定年年齢の引き上げ

2 継続雇用制度の導入

3 定年の定めの廃止

●高年齢者を雇用するときの手続きと保険

 必要な人材を確保する場合、高年齢者の方に目を向けていますか?

 豊富なキャリアをもち、長年の経験を活かせたり、円滑な人間関係を築けるメリットがあります。

 労働者数がこれからますます減っていくなかで、求人条件に見合った人材を「高年齢者」の方から探してみると、意外と見つけやすいのではないでしょうか。

 さらに、高年齢者を雇用すると、国から助成金が支給されます。

 コストとリスクをあまり背負わないでも、高年齢者の方を雇用することができるのです。

 高年齢者を新規採用する場合は、最初の1、2週間は試用期間として、日給の形で働いてもらうのが、よいでしょう。

 その後、会社として採用を希望するのであれば、雇用期間、賃金等を本人と話し合って決め、後のトラブル防止のために労働条件通知書を作成、交付します。

・雇用の形態は?

 正社員

 契約社員、パートタイマー

・保険の取り扱いは?

 雇用保険

 労災保険

 健康保険・厚生年金保険

●高年齢者の雇用を継続するともらえる給付金

 高年齢者の雇用を継続するともらえる給付金は、60歳到達後も引き続き仕事をする人の賃金が、60歳の時点の賃金の75%未満になった場合に、支給されるものです。

 高年齢者の働く意欲を高め、65歳までの雇用の継続を促進することを目的としています。

 賃金を補てんしてくれるこの給付金には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2つがあります。

 高年齢再就職給付金を受け られる人が再就職手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金は支給されません。

 高年齢再就職給付金の支給を受けたときは再就職手当は支給されません。

●障害者を雇用する義務

 民間企業(従業員56人以上)は、障害者雇用促進法により、法定雇用率(1.8%)以上の障害者を雇用する義務があります。

 法定雇用率の対象となる障害には、身体障害、知的障害と精神障害があります。

 人は仮に病気やケガで身体に障害が生じたとしても、残った機能を使い、十分生活し働くことができます。

 実際、身体障害者、知的障害者のうち、それぞれ3人に1人は働いています。

 問い合わせ機関

・公共職業安定所

・障害者職業能力開発校

・学生職業総合支援センター

・特殊教育諸学校

 養護学校、盲・ろうあ学校の中等部、高等部等

●派遣社員を雇う会社と使う会社の注意点

 派遣社員とは、人材派遣会社に雇い入れられて、派遣先会社に派遣され、そこの指揮命令を受けて働く労働者のことです。

 派遣社員の雇用主は、人材派遣会社。

 そこから賃金が支払われ、社会・労働保険の加入手続きもします。

 しかし、派遣社員が日々使用され、働くのは、派遣先会社です。

 この流れが基本です。

 一般の社員の場合は、雇用主である会社と日々働く会社が同じですが、派遣社員の場合、これらが2つに分かれている点が特色です。

 現在は、労働者派遣法により、建設・警備業務、医師・看護師その他の医療業務を除いた分野のほとんどで、派遣社員を受け入れることが認められています。

・人材派遣会社の法律上の義務

・派遣先会社の法律上の義務

●会社にも従業員にもメリットのある在宅勤務

 在宅勤務とは、従業員〈雇用労働者)が、勤務日の一部または全部に出勤する義務がなく、主に自宅で勤務する制度のことをいいます。

 家事・育児等のために毎日、通勤勤務ができない主婦や高齢者、障害者等を活用できます。

 技能・経験のある女性など自社の退職者を活用(再雇用)できます。

 通勤の疲労がなくなる、自分のペースで仕事ができるなどの社員サイドのメリットにより、業務の生産性が上がります。

 在宅勤務の従事者は、労働基準法等の労働法規が適用される「雇用労働者」になります。

 よって、家内労働者、内職従事者、請負就業者は含みません。

 在宅勤務制を実施する場合には、就業規則に規定を設けます。

 就業規則には大まかな規定を設け、別規則としてくわしい服務規則等を作ります。

1 出勤勤務中心型

2 事業場外労働のみなし労馴寺間制の適用

3 自宅勤務中心型

●雇用関係が終わる2つの形

 退職、解雇というのは、いずれも会社とその従業員との労働契約に基づく雇用関係が終了し、従業員としての身分を失うことです。

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 退職とは、解雇以外の雇用関係の終了理由全体をさします。

・任意退職(自己都合退職)

 合意退職(依願退職)

 辞職(一方的通告によるもの、無断退職)

・その他の退職

 定年退職(終期の到来)

 契約期間の満了による自動退職

 行方不明

 本人の死亡

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 解雇(広義)には、雇用形態等によっていくつかの違いがあります。

・普通解雇(整理解雇を含む)

・懲戒解雇(重大な服務規律違反などの場合)

・採用内定者の内定取り消し

・試用期間中の者・終了者の本採用拒否

・契約更新を重ねたパートタイマー・契約社員の更新拒否(雇止め)

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 解雇(狭義)は、使用者一方の意思で従業員との労働契約を解約することです。

 大きく分けると、普通解雇(整理解雇を含む)と懲戒解雇に分けられます。

 解雇には従業員の同意は必要ありません。

 ただし、労働基準法第18条の2に抵触する、解雇権の濫用にあたる場合は無効となります。

●従業員を一方的に解雇することは難しい

 解雇とは、会社が一方的に従業員を辞めさせることです。

 解雇されると従業員は賃金収入がなくなり、生活に困ります。

 そこで、解雇については法令と裁判例によって多くの制限が設けられています。

 解雇が有効となるには、次の4つの要件をすべて満たすことが必要となります。

1 解雇理由に合理性、相当性があること。

2 法律で定められている解雇禁止理由に該当しないこと。

3 従業員に解雇予告を30日前にするか、これに代わる解雇予告手当を支払うこと。

4 労働契約書や就業規則に解雇に関する規定があれば、それに従っていること。

 整理解雇、懲戒解雇には、さらに要件が加わります。

●従業員を犠牲にしても会社を守るべきとき

 整理解雇は、企業の経営状況が悪化したことから、従業員の一部を人員整理するために行う解雇です。

 整理解雇は、分類上は普通解雇です。

 従って、次の要件が必要となります。

1 法律に定めた解雇禁止理由に該当しないこと

2 解雇予告を行うこと

3 労働契約書、就業規則の規定を守ること

 また、経営者の失敗によって従業員の一部が犠牲にされるものであることから、裁判例により、さらに4つの要件が必要とされています。

1 経営上・人員整理の必要性があること

2 整理解雇を避けるため、賃金の調整、雇用面の調整の努力をしたこと

3 被解雇者の選定が妥当であること

4 労働組合、従業員と協議を尽くすこと

 なお、採算性の悪い工場等の閉鎖にともなう人員整理の場合、裁判所の判断は企業全体でなく、その事業所、部門単位で人員削減の必要性、人選の妥当性等を重視する傾向にあります。

 倒産による全員解雇は、偽装解雇でなければ原則として有効です。

●従業員に有無をいわさず辞めさせる場合

 懲戒解雇とは、従業員に重大な服務規律違反などがあったときに行う、最も重い制裁です。

 従業員の身分を失わせ、職場から排除します。

 厳しい措置のため、被解雇者への対応は、懲戒解雇の方が普通解雇に比べ、厳しくなります。

 即時解雇(労働基準監督署長の認定が必要)や、退職金の一部または全額不払いなどです。
 
 従って、解雇が有効と認められる範囲も狭くなります。

 ちなみに、懲戒解雇に該当する理由のある場合でも、普通解雇として扱い、従業員を解雇することはなんら問題ありません。

 なお、懲戒解雇、普通解雇のいずれであっても、それが裁判で無効とされた場合は、職場復帰、復帰までの間の賃金の支払いのほかに、名誉毀損を理由とし て従業員から不法行為による積善賠備請求をされる可能性があります。

●パートタイマーや契約社員の解雇は慎重に

 パート、契約社員の解雇というのは、使用者が、例えば6カ月とか1年とかの雇用契約期間の途中で一方的に労働契約を解約(解雇)することです。

 解雇されると、パートや契約社員は仕事と賃金を失ってしまいます。

 そのため、労働基準法、裁判例などで次の制限が設けられています。

1 解雇の禁止を確認

 例外的に解雇が許される場合;

・天災事変などのやむを得ない理由によって事業の継続が不可能となったとき

・業務上の傷病により休業中のパートが、療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている、または、 その日以降、同年金を受けることになったとき2 就業規則を確認

3 正当な解雇理由を守る

4 解雇予告を行う

●パートタイマーや契約社員の契約更新の拒否

 雇用期間を定めて採用したパートや契約社員は、契約期間が満了すれば、自動的に退職です。

 ですから、解雇の問題はまったく生じません。

 しかし、何度か契約更新をしていたり、契約更新の手続きのないまま引き続き働いていた場合は、今回も契約が更新され、引き続き勤務できるであろうと期待しています。

 そこへ突然、契約終了日がきたからといって契約更新を拒否することは、寝耳に水のことです。

 これはトラブルの原因になりますので、労働基準法の規定に基づく「パート、契約社員の労働契約の結び方、更新拒否」の基準が設けられています。

1 契約を結ぶ時に条件をはつきり説明する

・契約の期間満了後に契約更新をするか否か

・契約更新する場合の判断基準

2 契約更新の拒否(雇止め)の予告

 少なくとも契約 期間が満了する日の30目前までに、拒否の予告をしなければならない。

 しかも、契約更新拒否の予告の理由は、契約期間の満了とは別の理由にするという決まりがあります。

3 書頬作成がものをいう

・雇止め理由の証明書の交付

・最終契約書の作成

●各種労働法が適用されない在宅就業

 就業者が、会社から委託、発注を受けて、自宅でOA機器、通信機器を使用して業務処理をするものです。

 在宅就業の主な仕事の内容は、パソコンによる文書・図表の作成、データ入力、採字、図面のトレース・版下作成、事務処理、建築物・各種機器等の設計業務、商品のデザイン・意匠作成、調査の集計・分析、報告書の作成、直行直帰のセールス、市場調査などがあります。

 会社と就業者との法律関係は、委託、請負等で、従来、内職、家内労働といわれている形です。

 家事、育児等のために通勤勤務できない主婦や高齢者、障害者、遠距離通勤の人等を労働力とし
て活用できます。

 労働法規が適用されないので、会社(委託者)と就業者(受託者)の委託契約、請負契約により、任意に工賃、納期、その他を決めることができます。

 社会保険料、ボーナス、退職金等の費用が不要なので、低コストですみます。

 自社の退職者で、技能、経験のある人を活用できます。

 仕事があるときに発注し、仕事量に応じて報酬を支払うので、業務量の増減に対応しやすいです。

 自宅での仕事となるので、会社内に仕事をする場所、机等を設けなくてすみます。

 この形態は、就業者が、事務所や工場等会社の下で直接指揮命令を受けて働くものではないので、「雇用労働者」に該当しません。

 従って、会社と就業者の双方に、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法の労働法規は適用されません。

 また、雇用労働者に適用される雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険には加入できません。

●外国人を雇用するとき

 外国人の「在留資格」には、就労できるものと、できないものとがあります。

 加えて、その資格の範囲内で「在留期間」内で働く場合にのみ、適法な就労者であるとみなすと、出入国管理法で定められています。

 また、許可された範囲内であれば、アルバイトや副業も適法です。

 適法に就労できる外国人;

1 就労できる在留資格をもつ者

2 活動制限のない在留資格をもつ者

3 在留資格を変更した者

4 資格外活動の許可を得た者

5 ワーキングホリデー制度で、働く

●不法就労

 不法就労外国人というのは、出入国管理法に違反して就労している外国人のことです。

 不法就労した外国人はもちろん、使用者も「不法就労と知りながら」外国人を雇用すると、法により罰せられます。

 基本的には、当該外国人は退去強制手続きにより、本人の費用負担で本国に送還されます。

 または、有罪が確定した場合は、3年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金に処せられます。

 一定の場合、両罰規定により、雇った側の社長個人も罰金に処せられます。

1 就労を認められない在留資格を所持している外国人が就労した場合

2 その在留資格では認められない職業に従事した場合

3 その他、出入国管理法上、不法に入国、滞在し、就労している場合

4 留学生・就学生その他の者が、地方入国管理局の許可を得ないで、あるいは元々認められないアルバイト、副業に従事した場合

●外国人技能実習生受け入れ制度

 この制度は、日本国内の企業が、開発途上国等から外国人技能実習生を受け入れ、前半の研修ののち、後半は技能実習をかねて労働に従事させることができる制度です。

(財)国際研修協力機構がこの制度の実施機関となり、研修生のあっせん、研修生受入企業等に対する指導を行っています。

 対象は製造業、建築業等の62職種です。

1 農業関係(2職種)

2 食品製造関係(6職種)

3 建設関係(21職種)

4 漁業関係(1職種)

5 繊維・衣服関係(9職種)

6 機械・金属関係(15職種)

7 その他(8職種)
  家具製作、製本作業等

●賃金の基本はノーワーク・ノーペイ(原則)

 賃金は労働に対する報酬です。

 労働者が働かない場合には、賃金を支払わなくてもよいという原則があります。

 賃金を支払わない場合には、その理由、控除する額の計算方法等を就業規則、労働契約書に、はっきりと記載しておかなければなりません。

 ただし、働かない場合であっても賃金を支払う例外があります。

1 法的に賃金の支払いが義務づけられるもの

 年次有給休暇

 会社に責任がある理由により休業する場合は、従業員の休業期間中、平均賃金の60%以上の休業手当を法定賃金として支払わなければなりません。

2 法的lこ義務つけられていないが支払いが一般的なもの

 慶弔休暇

3 法的に支払う必要のないもの

 欠勤、遅刻、早退、私用外出

 産前産後休業、育児休業、介護休業、子の看護休暇、生理休暇、育児時間、妊娠中・出産後の健康管理措置など

4 支払うことが法的に禁じられているもの

 ストライキによる労務不提供

●賃金の3つの支払い方とその中身

 正社員等に対する賃金の主な支払い方は、主に3つあります。

 月給制、日給月給制、年俸制です。

 正社員については多くの企業が、月給制を採用しています。

 また、製造業、建設業の一部には、技能職の一般従業員(管理監督者以外の者)について日給月給制を採用しているところもあります。

 さらに、年俸制は、一部大企業で部課長等の管理者を対象に行われています。

 各企業が自社の従業員にどのような賃金支給形態をとるかは自由です。

 新たに年俸制を導入するには、就業規則に年俸金額や決定基準など、一定の事項を定めて、労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

 なお、法人企業の役員(取締役、監査役)等は労働基準法の「労働者」に該当しないので、労働基準法その他の賃金に関する規制を受けません。

●時間外・休日労働、深夜実には割増賃金を支払う

 使用者は、従業員に法定労働時間を超える時間外労働や法定休日の労働、深夜労働をさせた場合には、割増賃金を支払うことが義務づけられています。

 休日の深夜に働いた等、条件が重複した場合の、割増賃金の計算に注意してください。

 使用者が違法に、あるいは法の手続きを無視して、従業員をこれらの労働に従事させた場合にも、これらの割増賃金を支払う義務があります。

 例えば、深夜業を禁止されている年少者、就労を禁止されている不法就労外国人に深夜労働をさせた場合にも割増賃金を支払います。

 割増賃金の計算にあたってのポイント

・計算式の必要な数値(賃金等)を知る

・働く形態別に割増賃金の計算方法が少し違う

 年俸制の場合でも、時間外労働、休日労働、深夜業を行わせるときは、法定の割増賃金を支払うことが義務づけられています。

 年俸制の場合の割増賃金の求め方は

 年俸金額÷12カ月=割増賃金の算定基礎となる月額

 1の月額÷1カ月の平均所定労働時間数×割増率=割増賃金の時間あたりの単価

●出来高払いの保障給

 労働基準法第27条は、出来高払い制その他の請負制(いわゆる歩合給制)で使用する労働者について、使用者は労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならないと定められています。

 歩合制のタクシーの運転手等が該当し、使用者は従業員の最低生活が保障される程度の金額を確保する必要があります。

 そのために、労働時間に応じて一定額の賃金を保障しなければなりません。

 労働基準法ではその保障額についてまでは定めていません。

 通達では、労働者の責めに基づかない事由によって実収賃金が低下することを防ぐ趣旨から、労働者に対し常に通常の実収賃金と余り隔たらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるように指導することとされています。

 およその目安として、休業手当が平均賃金の6割以上の手当としてる関係から、少なくとも平均賃金の60%程度を保障すべきであるとしています。

 歩合給と固定給のミックスの場合、賃金構成からみて固定給の部分が賃金総額中の大半(おおむね6割以上)を占めている場合には、いわゆる請負制で使用する場合に該当しない解されるとされています。

●賃金の非常時払い

 労働基準法第25条には、次の趣旨の規定があります。

 労働者が出産、疾病、災害その他労働基準法施行規則第9条に掲げる事由の場合の費用に充てる場合には、支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

  この条文の趣旨は出産、疾病、災害等の不時の出費を必要とする事情が生じた時の費用に充てるために設けられた規定です。

 請求できる賃金は既往の労働に対する賃金です。

 この場合の賃金の支払時期については定めがありませんが、非常時払ということの性質上、当然に、遅滞なく支払わなければならないと解されています。

  非常時払の要件である出産、疾病、災害等は労働者本人だけでなく、労働者の収入によって生計を維持する者の場合も含まれます。

 また、労働基準法施行規則第9条に掲げる事由は

1. 結婚、死亡した場合

2. やむを得ない事由により1週間以上にわたり帰郷する場合

の2点ですが、この事由についても労働者本人だけでなく、労働者の収入によって生計を維持する者の場合も含まれます。

●最低賃金

 最低賃金とは、最低賃金法で労働者の賃金の最低額を定め、使用者に守ることを義務づけたものです。

 違反すると、罰則が与えられる制度です。

 最低賃金は、日本国内で働くすべての労働者に適用され、使用者は最低賃金額に満たない賃金で従業員を使用することはできません。

 最低賃金は都道府県ごとに、業種別に時間額が決められています。

 ほぼ1年に1回改定が行われるので、そのときどきの金額は最寄りの労働基準監督署または都道府県労働局に問い合わせてください。

 最低賃金額に満たない賃金しか払っていないことがわかると、労働基準監督署は会社に2年前までさかのぼって賃金の差額の支払いを命じます。

 仮に労使間の労働契約で最低賃金額未満で働くことの合意があってもその労働契約は無効です。

 また、最低賃金は、常用労働者だけでなく、パートタイマー、アルバイクー、臨時、日雇い労働者にも適用されます。

 雇用形態、性別、国籍(日本人か外国人か)、不法就労者かどうかはまったく関係ありません。

 なお、雇用する労働者が次のいずれかに該当するときは、最低賃金の適用が除外され、その金額を下回る額が決められます。

 この場合、使用者は労働基準監 督署長経由で都道府県労働局長に申請し、許可を受ける必要があります。

・精神・身体の障害により著しく労働能力の低い者

・試用期間中の者

・基礎的な職業訓練を受講中の者

・所定労働時間のとくに短い者、軽易な業務・断続的労働に従事する者

●従業員への退職金は会社が自由に決められる

 これまでは、長期間勤務した従業員に対して退職金を支払うのが一般的でした。

 最近は、退職金制度を設けず、その分を毎月の賃金に上積みする企業も見受けられます。

 退職する従業員(解雇を含む)に退職金を支払うかどうかは会社の自由です。

 会社が、労働契約や就業規則に退職金の支払いを規定せず、支給するか否かを自由に決められる恩恵的、任意的なものとして扱えば、労働基準法上の「賃金」に該当しません。

 逆に、労働契約や就業規則で、退 職金の支給とその基準を定め、労働の対価として会社が支払うものとすれば、その退職金は、労働基準法上の「賃金」として取り扱われます。

 賃金とみなすと、不払いの場合に、強制的に支払いを求められます。

 退職金の支払い原資の確保に役立つものとして、中小企業退職金共済制度(中退共制度)があります。

 現在、退職金制度を設けている企業も、この制度に切り替え、あるいは併用することができます。

 また、定年年齢を引き上げたり、高年齢者の雇用確保の措置を実施する場合、これにともなう人件費の増大をどう防ぐかが問題となります。

 賃金面では、たとえば50歳からの基本給昇給幅の抑制、管理職給与の見直しなどを行い、賃金カーブを寝かせるといった措置が必要です。また、退職金の支給額の抑制、年金による支払いということも必要となるでしょう。

 また、懲戒解雇された者に退職金を支払うかどうかについてですが、就業規則(退職金規則)の定め方で決まります。

 「全額支払わない」「一部支払う」「全額支払う」、いずれも問題ありません。

 多くの企業では全額不支給と定めています。

●会社が倒産したときの従業員の賃金

 会社が倒産した場合のセーフティネットとして、国が未払賃金の立替払事業を行っています。

 この事業は、企業が倒産したことで、退職してしまった労働者に未払賃金があるときに賃金を保証するものです。

 賃金支払確保法に基づき、労働者の請求を受け、未払賃金のうち一定の範囲のものを、政府(労働福祉事業団)が事業主に代わって立替払いします。

▼要件

・事業主

 次のすべてに該当しなければなりません。

 その事業が労災保険の適用事業に該当すること

 1年以上その事業を行っていたこと

 破産宣告を受けるなど一定の倒産事由に該当することとなったこと、または中小企業事業主について、事実上の倒産であると労働基準監督署長が認めること

・労働者

 次の2つの要件を満たさなければなりません。

 一定の期間内に事業から退職したこと

 未払賃金があること

▼金額

 立替払いする限度額は、退職時の労働者の年齢によります。

 30歳未満・・・・・88万円

 30歳以上45歳末満・・・・・176万円

 45歳以上・・・・・296万円

●賃金等の消滅時効年数

 会社が労働者に支払う義務のある賃金等を支払時期をすぎても支払わない場合は、その労働者は会社に請求する権利があります。

 しかし、労働者が一定の期間、請求しないでおくと、その請求権は時効により消滅し、その後労働者から請求があっても、法律上支払う義務はありません。

・賃金(退職金を隙く)         2年

・労災補償の請求権         2年

・休業手当の請求権         2年

・年次有給休暇取得時の賃金請求権  2年

・退職金                5年

●休みの与え方(休日、休憩)

 休日;

 使用者は、労働者に休日を与える際は、労働基準法第35条に目を通し、法に違反しない仕方で、休日を与えるようにします。

・使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。

・前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 法定休日とは、労働基準法で与えられることが義務づけられている休日のことです。

 なお、法定外休日とは、法定休日以外に会社が自主的に与える休日のことで、週休2日制の場合、日曜日が法定休日であれば土曜日がこれに該当します。

・1週間のうち、何曜日を所定休日としてもよく、また、週によって曜日を変えても差し支えない。

・三交替制連続作業の場合、休日は2日間にわたる継続24時間で差し支えない。

 また、旅館のフロント等は継続30時間与える。

・一昼夜交替勤務の場合、非番の継続24時間は休日と認められず、非番の翌日もさらに休日を与えなければならない。

 休憩;

 休憩時間とは、勤務中に仕事から離れることを保障されている時間のことをいいます。

 労働基準法により、使用者は、労働時間が6時間を超え8時間までの場合には45分間、8時間を超える場合には1時間の休憩時間を、労働者に与える義務があります。

 パートタイマーのように、1日の実労働時間が6時間までの場合は、休憩時間を与えなくても法に違反しません。

 また、変形労働時間制で勤務した場合のように、1日10時間や11時間働いたときも、1時間の休憩時間を与えれば問題ありません。

●労働時間の5つのハ−ドル

 労働時間には、次の5段階の規制が設けられています。

・所定労働時間(会社が就業規則で定めた労働時間)

 その事業場で、就業規則や労働条件通知書で定めている労働時間です。

 例えば、午前9時始業、正午から午後1時まで休憩、午後5時終業となっていれば、その事業壕の1日の所定労働時間は7時間です。

・法定労働時間(1週40時間、1日8時間)

 労働基準法で、使用者が従業員をその時間を超えて労働させてはならないと定めている時間です。

 1日あたりの法定労働時間は原則8時間、1週間あたりの法定労働時間は原則40時間となっています。

・変形制、フレックス制、みなし制の特例

・時間外労働の限度基準

・時間外労働基準の特別条項

●時間外、休日、深夜に働いてもらうには

 労働基準法では、法定労働時間を1過40時間(特例44時間)、1日8時間と定めています。

 時間外労働とは、これらの法定労働時間の限度を超えて働く時間のことをいいます。

 その事業場で就業規則等により休日と定められている日には、法定休日(労働基準法に基づき、過1回または4週4回の付与義務がある休日)と法定外休日とがあります。

 週休2日制の場合、一般的に日曜日が法定休日、土曜日が法定外休日とされています。

 労働基準法で休日労働とは、法定休日に労働させることです。

 法定外休日の労働であれば、時間外労働として扱われます。

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・従業員に時間外、休日労働させるには、三六協定が必要です。

 労働基準監督署長に届け出ることにより適法に法定の労働時間を超えて、または法定休日に労働させることができる協定です。

 使用者は、従業員の過半数代表者(過半数を組織する労働組合)とこの労使協定を結びます。

 なお、三六協定を結ぶ以外に適法に時間外・休日労働をさせることができる場合が、2つだけあります。

 それは、災害等によって、臨時の必要がある場合と、公務によって、臨時の必要がある場合です。

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 深夜とは、午後10時から午前5時までの間と決められています。

 その間に働くと、深夜業になります。

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・従業員に時間外、休日労働、深夜業をさせると、使用者は割増賃金を支払う義務があります。

・そのほかにも、いくつかの規制があります

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●育児・介護従事者・年少者の扱い

 会社は、育児または家族介護を行う男女従業員から請求があった場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、深夜(午後10時から午前5時)に労働をさせることができないことになっています。

 会社は、育児または家族介護を行う男女従業員から請求があった場合、時間外労働協定を結んでいても、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。

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 会社は原則、満15歳以上の学年末(3月31日)までは、児童を従業員として使用することを禁止されています。

 ただし、製造業、建設業、鉱業、運送業以外で、児童の健康、福祉に有害でなく、労働が軽易なものであれば、労働基準監督署長の許可を得ることで、修学時間外に使用することができます。

 しかし、労働基準監督署長の許可を受けて使用する場合でも、労働時間は、1日7時間、1週40時間を超えてはなりません。

 年少者(満18歳未満)に、日寺問外労働、休日労働、深夜業(午後10時から午前5時)をさせることは禁止されています。

 また、変形労働時間制、フレックスタイム制を活用して働かせることもできません。

 ただし、一定の場合、例外があります。

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●労働時間や休憩、休日の規定が適用されない人たち

 法定労働時間(週40時間、1日8時間)を超えて働いても、時間外労働になりませんし、休日を週1回(または4週4回以上)与える義務はなく、法定休日に働いても、休日労働として取り扱う必要がありません。

 時間外・休日労働に関する労使協定を結ぶことも、割増賃金を支払う必要もありません。

 ただし、年次有給休暇と深夜業(25%以上の割増賃金)に関する規定は適用されます。

1 管理監督者

 会社の職位だけで判断できませんが、おおむね課長(または課長代理)までが該当します。

 また、企画、調査、研究部門、専門職の者については、管理職と同等の処遇を受けていれば、たとえ部下がいなくても管理監督者に該当します。

2 機密事務取扱者

 秘書等のように職務が経営者、管理監督者と一体不可分であって、出退社について厳しい規制
を受けない者です。

3 労働基準監督署長の許可を受け監視・断続的労働をする者

 守衛、交通監視、寮の賄人等、本来の業務がこれに該当する者

 本来の業務以外の「宿日直」でこれに従事する者

4 畜産水産業lこ従事する者

●労働時間の通算

 たとえば、他社で午前中3時間勤務している人を当社で雇い、午後働いてもらうことにしたとき、合計した実労働時間について、労働基準法の規定に違反しないようにしなければなりません。

 まず、労働者が1日のうち、A事業場で働いた後でB事業場で働くような場合であっても、これを合計した実労働時間について、労働基準法の規定に違反しないようにしなければなりません。

 次に、同じ会社のA工場とB工場で働く場合だけではなく、異なる2つの会社で働く場合も通算した実労働時間について、労働基準法の規定に違反しないようにしなければなりません。

 労働時間の通算は、1週・1日の法定労働時間はもちろんのこと、時間外労働の割増賃金、労使協定の締結・届出、年少者の労働時間等の規定を適用する際にも行われます。

 従って、例えば、A事業場で3時間働いた後でB事業場で6時間働かせる場合には、1日8時間を超えていますので、労使協定の締結・割増賃金の支払いが必要になります。

 労使協定を結び、割増賃金を支払わなければならないのは、原則として、後で労働契約を結んだ事業場です。

 後で契約した使用者は、契約の締結にあたって、その労働者が他の事業場で労働していることを確認したうえで行うべきだからです。

 ただし、AとBの事業場でそれぞれ4時間ずつ働いている者の場合、A使用者が、この後B事業場で4時間働くことを知りながら、労働時間を延長するときは、A使用者が時間外労働の手続きをしなければなりません。

 それは、時間外労働をさせることとなった使用者が法違反者となるからです。

●経営に都合の良い勤務編成を作るには

 変形労働時間制には、1週間変形制、1カ月変形制、1年変形制の3種類があります。

 導入すれば、事業場ごとに、1週、1カ月または1年という期間で、忙しいときは所定労働時間を法定労働時間(過40時間、1日8時間)より長く、ヒマなときは短く、弾力的に決めることができます。

 しかも、法定労働時間を超えて労働させても、時間外労働手当を支払う必要はありません。

 代わりに、ヒマなときの所定労働時間を短くしたり、所定休日にします。

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 妊産婦(妊娠中・出産後1年を経過しない女性)が請求した場合、変形制を導入している場合でも、1週間または1日の法定労働時間を超えて労働させることはできません。

 また、年少者(満18歳未満の者)も原則、法定労働時間を超えて働かせることはできません。

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●少人数の会社だからできる1週間変形制

 旅館、料理店などでは、日によって急に多くの予約が入ったりします。

 逆に、予想したほどお客が入らないこともあります。

 このような忙しさの予測が立てにくい事業場のためにあるのが、1週間変形制です。

 1週間単位で勤務日数、勤務時間を決め、その過の始まる前日までに、従業員に知らせるようにします。

 週ごとに融通がきくようになります。

 この場合の「1週間」とは任意の7日間(例えば、金曜日から翌木曜日)でよく、暦週(日曜日から土曜日)に限りません。

●月単位で「忙しさ」が読めれば1カ月変形制を視野に

 1カ月変形制は、1回の周期(最長1カ月)の1週あたりの「平均」労働時間が、事業場の1週あたりの法定労働時間の範囲内(40時間または44時間以内)であれば、特定の日や週に、労働者を法定労働時間を超えて働かせてもよいとする労働時間制度です。

 その条件さえ守れば、時間外労働にはならず、割増賃金を支払う必要はないというものです。

●季節に左右される職場に向く1年変形制

 1年変形制の期間は、1カ月以上1年以内と決められています。

 対象期間の労働時間を平均し、1週間あたりの労働時間が40時間を超えなければ、特定の日に8時間、特定の過に40時間を超えて労働させても時間外労働にはなりません。

 そのため、割増賃金を支払う必要はありません。

 この制度により、年間の忙しい時期とそうでない時期に合わせ、1日または1週の所定労働時間を、忙しいときは長く、ヒマなときには短くすることができます。

 リゾート施設等の事業に向いています。

●労働していることと「みなす」制度

 外交セールスなど事業場の外で働く業務や、専門職・研究職など、業務の性質上、各従業員の裁量に委ねる傾向の強い業務は、実際の労働時間を計算するのが難しいものです。

 みなし労働時間制とは、このような労働時間を計算しにくい業務について、一定時間の労働をしたものと「みなす」制度です。

 例えば、1日の実際の労働時間が8時間30分でも9時間30分でも、平均すると9時間というのであれば、その業務の労働時間数は9時間とみなす(取り扱う)わけです。

 「みなし労働時間数」は、使用者が独自にあるいは労使協定、労使委員会決議に基づいて決めます。

●9つの業種に限定される、専門業務型裁量労働制

 専門業務型裁量労働とは、業務の性質上、具体的な仕事の進行を従業員の裁量に委ねるため、遂行の手段、時間配分等を決めるのに、使用者の指示になじまない業務のことです。

 次の業務を対象とし、何時間労働したと「みなす」ことができます。

@新商品、新技術の研究開発、人文科学・自然科学に関する研究の業務

A新聞、出版の事業における記事の取材・編集の業務、放送番組の制作のための取材・編集の業務

B公認会計士、弁護士、弁理士、税理士、中小企業診断士の業務

C情報処理システムの分析、設計の業務

D衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務、インテリアコーディネーターの業務

E放送番組、映画等の制作の事業におけるフロデューサー・ディレクターの業務

Fコピーライターの業務

Gシステムコンサルタント等、ゲーム用ソフト創作、証券アナリスト等、金融商品開発、大学における教授研究の業務

H−・二級建築士、木造建築士、不動産鑑定士の業務

●会社の中枢を担うためにある企画業務型裁量労働制

 各事業場の中枢部門で、企画、立案、調査、分析を組み合わせて行う業務のためにある労働時間制です。

 たずさわる従業員の業務の性質上、仕事の進め方、労働時間の配分等を会社側が細かに管理しづらく、従業員の裁量に委ねる必要があるため、通常の労働時間の算定になじみません。

 企画業務型裁量労働制は、これら業務に従事する者に何時閏労働したと「みなす」ことができます。

 この制度を利用できるのは、次の4つの要件を満たしている業務に従事する者に限ります。

@自社の事業運営に影響を及ぽす業務、あるいは、支社等におけるその事業場に属する企業等の事業の運営に影響を及ぽす業務、あるいは、その事業場の事業の運営に影響を及ぽす業務、あるいは、その事業場の事業の運営に影響を及ぽす独自の事業戦略を算定する業務

A企画・立案・調査・分析という相互に関連し合う作業を組み合わせて行う業務

B業務の性質上、客観的に従業員の裁量に委ねる必要性があるもの

C業務を、いつ、どのように行うかにつき、広範な裁量が従業員に認められるもの

●労働者の楽しみ年次有給休暇の与え方

 労働基準法の決まりで、6カ月以上勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、10日の年休を与えなければなりません。

 入社後6カ月を経過したら、従業員はその後1年間に10日の年休を取得する資格を得ます。

 その後、さらに1年経過した時点(入社後1年6カ月)で、直前の1年間の出勤率が8割以上であれば、年休は1日増やして、11日とします。

 勤続2年6カ月以降は12日とし、3年6カ月以降は、2日ずつ加算します。

 こうして6年6カ月継続勤務年次有給休暇付与日数すると年休は20日になります。

 これが上限で、以降は勤続年数によらず、同じ20日のままとします。

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 企業の多くは、年休計算の基準日を4月1日としています。

 これは新規学卒者の採用が、4月1日に多いこと、4月1日が年度初めであることによるものです。

 厚生労働省通達は、4月1日を基準日として統一するにあたって、採用されたときから、年休を先取りできるようにして取り扱いを簡単にしています。

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 なお、勤務日数等が一般従業員よりも少ないパートタイマー等にも、パートタイマー等用の年休を与えなければなりません。

 ただし、直前の1年間の出勤率が全労働日の8割に満たない従業員は、その後1年間は年休の取得資格がありません。

 しかし、引き続き会社に在籍すれば、継続勤務年数は加算されていきます。

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●事業場の計画に合わせて年休を与える

 年休の計画付与という制度があります。

 これは、各従業員が取得できる法定の年休のうち「5日を超える日数分」について、使用者が日にちを指定して与えることができる制度です。

 例えば、年休が15日ある従業員の場合なら、5日分は従業員が自由に日にちを決めて取得してもよいが、残りの10日分は会社の計画に基づいて、年休を与える日にちを調整できることになります。

1 個人別付与方式

2 グループ別付与方式

3 一斉付与方式

●出産や育児の時間を女性従業員に与える

 出産や育児を行う従業員に対して、会社は法律を守り、適切な措置を行わなければなりません。

 ここでいう、「出産」とは、「妊娠4カ月以上の分娩」のことであり、生児出産だけでなく、死
産も含みます。

 なお、出産当日は「産前」に含まれます。

1 産前産後休業の決まり

 6週間(双子以上の場合は14週間)以内に出産する予定の女性従業員から休業の請求があれば、
働かせてはなりません。

 女性従業員の請求の有無に関わらず、出産後8週間は働かせてはなりません。

 ただし、産後6週間を経過し、かつ、女性従業員から請求があり、医師が問題ないと認めた仕事
であれば、就かせてもかまいません。

2 妊産婦の保護

@妊産婦の勤務

A健康管理措置

3 育児時間

 1歳未満の子を育てる女性従業員が、休憩時間のほか、1日2回、各30分の育児時間を請求したと
きは、働かせてはなりません。

4 生理休暇

 生理日の就業が著しく困難な女性従業員が休暇を請求したときは、その者を生理日に働かせるこ
とはできません。

5 賃金の支払い等

@休業・休憩中

 休業・休憩中は、会社に賃金の支払い義務はありません。 

A産前産後休業中

 健康保険法により、分娩の日以前42日(双子以上は70日)、分娩の日以後56日以内で休業した期
間、出産手当金(1日につき標準報酬日額の6割)が支給されます。

●育児、介護、子の看護は従業員の男女を問わない

 会社は、男女従業員から育児休業の申し出があれば、休みを与えなければなりません。

 従業員は、正社員または、1年以上の勤務実績があり休業を終了した後も雇用が継続されるだろうというパートタイマー、契約社員が、育児休業を取れます。

 また、従業員が育児休業を申し出たこと、休業したことを理由に、解雇することは禁止されています。

 男女従業員は、会社に申し出ることにより、要介護状態にある対象家族のために介護休業ができます。

 また、小学校入学前の子を看護するために、男女従業員が申し出た場合、年休とは別に、5日間を限度として休暇を与えなければなりません。

 いずれも、休業中は会社に賃金の支払い義務はありません。

 ただし、育児休業、介護休業では、一定の場合に、雇用保険から賃金月額の20%〜40%の給付金が支給されます。

●休暇ひとつで職場を明るくする方法

 休暇ひとつで職場を明るくする方法として、誕生日休暇や結婚記念日休暇などを設けるなどがあります。

 本人が休めることはもちろん、一緒に働く人の記念日を知れることで、明るい話題が職場に広がります。

 少数精鋭で事業を行っている中小企業に向く、試みではないでしょうか。

 休暇の与え方は、会社独自の休暇または年次有給休暇の計画付与とします。

 会社独自の休暇は、設けるかどうか、そのときの賃金を支払うかどうかは、会社の判断に任されます。

 実際に行う場合は、就業規則にその旨を書いておくことが必要です。

 これに対して、年次有給休暇の計画付与はその名のとおり有給です。

 実際に行う場合は、労使協定を締結しておかなければなりません。

 賃金の算定方法には、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、健康保険法による標準報酬日額に相当する金額の3つの方法があります。

●労災保険の加入は使用者の義務

 労災保険は労働者の業務または通勤による災害(負傷、疾病、障害、死亡)に対しての保険です。

 国が労災保険法を定め、治療費、休業補償、年金等の給付を行います。

 従業員を1人でも使用している事業場は、強制的に加入させられます。

 ただし、従業員4人までの農林水産業のうち、個人事業場は任意加入です。

 また、いくら経営者といっても、立場がそれほど安定していない人たちのために、国は労災保険の特別加入制度を用意しています。

・中小企業事業主とその家族従事者

 原則:常時300人以下の労働者を使用する事業主とその家族従事者が特別加入できます。

 例外:金融業・保険業・不動産業・小売業・サービス業では50人、卸売業では100人以下の労働者を使用する事業主とその家族従事者に限られます。

・1人親方とその家族従事者

 1人親方とは、次に挙げる事業を常時、労働者を使用しないで行う者をいいます。

 自動車を使用して行う旅客、貨物の運送事業

 建設の事業(大工、左官、とび職等)

 漁船による水産動植物の採捕の事業

 林業の事業

 医薬品の配置販売の事業

 再生利用目的となる廃棄物等の取り扱い事業

・特定作業従事者

 次に挙げる事業に従事している者をいいます。

 特定の農業関係従事者

 国・地方公共団体が実施する訓練の従事者(職場適応訓練・事業主団体等委託訓練従事者)

 家内労働法の適用を受け、危険有害作業に従事する者(家内工業等)

 労働組合等の常勤役員

・海外派遣者

●業務災害が起きたとき

 従業員の業務上での負傷・疾病・障害・死亡が起きたとき、会社が責任を負うべき傷病等となり、労災保険が給付されます。

 業務災害となるには、従業員が会社の支配下にあり、業務がケガや窮気の原因となったことが必要です。

 業務災害と判断される要件があります。

1 事業場内において業務に従事している場合

 被災従業員の業務としての行為や事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものは、特別な事情がない限り、業務災害に認められます。

 ただし、例外的に認められない場合もあります。

2 昼休みや就業時間前後に事業場内にいる場合

 事業場施設内にいる限り、会社の支配管理下にあります。

 しかし、休憩時間や就業前後は業務をしていないため、行為そのものは私的行為となります。

 私的行為により起きた災害は業務災害に認められませんが、事業場の施設や管理状況などが原因で起きた災害は業務災害となります。

3 出張や社用外出など事業場施設外で業務lこ従事している場合

 会社の管理下を離れていますが、労働契約に基づき、会社の命令で仕事をしているため、会社の支配下と判断されます。

 仕事の場所はどこであれ、積極的な私的行為を行うなど特別な事情がない限り、業務災害となります。

●従業員のケガや病気

 従業員の安全と健康を守ることは大切です。

 会社はこの点で責任を負っており、労働安全衛生法に規定された労働災害防止のための最低基準を厳守しなければなりません。

 労働安全衛生法には、主に次のことが定められています。

・事業の安全衛生管理組織(総括安全衛生管理者、産業医、安全委員会、衛生委員会ほか)の設置義務

・労働者の危険・健康障害を防止するために事業主の行う措置

・危険・有害物の規制

・労働者の就業にあたっての措置(事業主の行う安全衛生教育、就業制限)

・健康保持増進のための措置(作業環境測定、健康診断ほか)

・快適な職場環境の形成のための措置

・罰則

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 労働安全衛生法が改正され、平成18年4月1日から施行されています。

・元請会社による作業間の連絡調整等の実施

 製造業等の1つの生産現場で、元請と下請の労働者が混在して働いている場合、元請会社は、それら双方の労働者に対して、安全に作業を行わせるため、作業間の連結調整、合図の統一等を行わなければなりません。

・長時間労働者等に対する面接指導制度の新設

 月100時間超の時間外労働を行い、疲労の蓄積があり、面接を申し出た者について、会社は医師(産業医等)による面接指導を行わせなければなりません。

 医師は、会社に対して事後措置についての意見をいい、会社はその意見に基づき必要な事後措置を講じなければなりません。

●通勤災害

 通勤災害とは、従業員が通勤により被った負傷、疾病、障害、死亡のことです。

 交通事故はもちろん、通勤電車の急停止による転倒、駅の階段からの転落、通勤途中で犬にかまれた傷、転倒したタンクローリーから流れた有害物質による急性中毒等、通勤途中で発生した災害が含まれます。

 通勤とされるためには、被災当日に就業することとなっていたこと、または現実に就業していたことが必要です。

 家族の住む場所とは別にアパートを借り、通勤している場合は、そこが住居となります。

 就業場所とは、業務を開始し、また終了する場所のことです。

 住宅と就業場所を往復する経路・方法は合理的であることが必要です。

 合理的経路は、通勤のために通常利用する経路であれば、複数あってもかまいません。

 通勤災害の要件を満たしても、その行為が業務とみなしたほうがよい場合は、通勤災害とならず業務災害として扱われます。

 通勤途中に就業や通勤と関係のない目的で別のところに立ち寄ったり、通勤の経路上で通勤と関係ない行為をすると、その後は原則、通勤とみなされません。
 
 しかし、通勤の途中でも、日用品の購入、職業訓練、教育等の受講、選挙権の行使等、病院、診療所において診察、治療を受けること等は、日常生活上必要な行為であり、やむを得ない場合には、通勤の範囲に含まれます。

 また、仕事上の接待、歓迎会等の場合も、労災の対象となるケースがあります。

 なお、単身赴任者が家族の住む家と単身で住む家との間を移動する場合、2つの会社に勤務している者がA社とB社との間を移動する場合は、改正案により通勤災害に加えられました(平成18年4月1日施行)。

●過労死

 過労死とは、脳・心臓疾患のうち、仕事が有力な原因となり死亡したと認められる場合のことをいいます。

 脳・心臓疾患の多くは本人の体質や食習慣などによって生ずるものと考えられています。

 しかし、仕事が苛酷であったこと、精神的なストレスを異常に受けていたことなどが明らかとなれば、労働災害となります。

 また同じく、仕事の異常な重圧が原因で自殺してしまったケースも、労働災害として扱うことがあります。

 過労死と認められる業務上の疾病の基準;

1 対象となる疾病

 脳・心臓疾患

2 認定要件

 発病前に明らかな過重負荷を受けたこと。

 過重負荷とは、脳・心臓疾患の発病の基礎となる疾患を、その自然経過を超えて急激に著しく増悪させ得ることが医学経験則上認められる負荷、とされています。

 日常生活のなかで、病気が徐々に悪化してしまうくらいの負荷は、過重負荷とは認められません。

●労災保険の給付内容

 労災保険が適用される労働者が、業務災害や通勤災害を被った場合、被災者やその遺族には、療養や休業、障害、介護等のための給付が支給されます。

 また、各種労災保険給付のほかに、国の福祉事業として特別に上乗せして支給される特別支給金制度もあります。

1 療養のために休業する場合

 療養、休業、傷病の3種類の給付があります。

・療養(補償)給付

 病院へ行くなど、療養を必要とする場合には、次のいずれかの給付が行われ、傷病が治るなど療養を必要としなくなるまで続きます。

 療養の給付(現物支給)

 療養費用の給付(現金給付)

・休業(補償)給付

 療養のために働けず、賃金をもらえない場合、現金で支給されます。

 最初の3日間の休業補償(平均賃金の60%)は、会社負担です。

 休業給付は、休業4日目から1日につき次の計算による金額です。

 給付基礎日額(平均賃金)×60%+特別支給会20%=平均賃金の80%

・傷病が重い場合

 療養開始後1年6力月を経過しても治らず、その傷病が重い場合、給付基礎日額の313日分(1級)〜245日分(3級)の傷病(補償)年金が支給されます。

 受給者には、必要な療養補償給付は引き続き行われますが、休業補償給付は支給されません。

2 障害が残った場合

 障害の程度に応じた支給があります。

・重い場合 障害(補償)年金

 給付基礎日額の313日分(1級)〜131日分(7級)の年金

・軽い場合 障害(補償)一時金

 給付基礎日額の503日分(8級)〜56日分(14級)の一時金

3 介護を必要とする場合

 介護給付として、1力月あたり、常時介護は10万4970円、随時介護は5万2490円を上限として支給されます。

4 被災労働者が死亡した場合

 遺族に対し、原則として支給される保険給付と、特例として支給される給付があります。

・原則:遺族補償年金

 死亡した労働者の収入によって生活を営み維持していた配偶者などの遺族数に応じ、給付基礎日額の245日分〜153日分の年金が支給されます。

・特例:遺族補償一時金

 遺族補償年金受給資格をもつ遺族がいない場合、被災労働者が死亡したときに独立して生活を維持していた者など、その他の遺族に対し給付基礎日額の1000日分が支給されます。

・葬祭料

 死亡した労働者の葬祭を行う者には、31.5万円+給付基礎日額の30日分、または給付基礎日額の60日分のいずれか高額のほうの金額が葬祭料として支給されます。

●基本手当の受給

 労働者は、万が一のことを想定しておけば、失業しても少しは落ち着いていられます。

 基本手当の受給資格があるか、基本手当を何日間もらえるかは、次の分類ごとに決まっています。

・特定受給資格者(倒産・解雇等による離職者)

・一般受給資格者(自己都合、定年等による離職者)

・就職困難者(障害者等)

 これらのうち、どれに分類されるかによって、給付日数の長さは大きく異なってきます。

 基本手当の給付は、保険加入期間、つまり働いた日数でかなり違いが出ます。

▼基本手当がもらえる人

 基本手当をもらうためには、次の要件をすべて満たしていることが必要です。

・離職の日以前の−定期間に次の「被保険者期間」があること

・失業の状態にあること

・申し込みをすること

▼基本手当がもらえない人

 次のような場合は基本手当が原則、もらえません。

・病気、ケガ、妊娠、出産、育児、親族の看護専念等によりすぐに働けないとき

 受給期間を延長できる制度があります。

・定年等で退職してしばらく休養するとき

 受給期間を延長できる制度があります。

・結婚をして家事に専念するとき

・自営業(準備を含む)をはじめたとき

・新しい仕事に就いたとき

 パートタイマー、アルバイターなども含み、収入の有無を問いません。

・会社の役員に就任したとき

 就任していても、事業活動と収入がない場合は、職業安定所窓口に相談のこと。

・学業に専念するとき

・就職することがほとんど困難な職業や労働条件(賃金、勤務時間等)にこだわり続けるとき

・雇用保険の被保険者とならないような短時間就労のみを希望するとき

 なお、会社を辞めた日の翌日から1年以内に、基本手当をまったく受給しないで、再就職し再び雇用保険の被保険者になった場合は、前の会社での「被保険者として雇用された期間」と再就職後の「被保険者として雇用された期間」が通算されます。

●仕事上の男女差別等

 労働基準法の規定が禁止しているのは、「女性であること」を理由とする賃金差別です。

 具体的には、「賃金表を男女別にする」「各種手当を、男性にだけ支給する」等の行為は、差別的取り扱いとなります。

 女性が一般的に、男性に比べ、勤続年数が短い、扶養家族がいない等といって、その女性個人の実情と関係なく、男女で異なる取り扱いをすることは、差別になります。

 この規定は、仕事の内容や能率、年齢、勤務年数の違いに基づく賃金の違いは、禁止していません。

 反対に、男性より女性を有利に取り扱うようなことは、差別的取り扱いになります。

 ただし、産前産後休業等を有給とすることは、女性を有利に取り扱うものとはいえません。

 また、男女雇用機会均等法により募集・採用から定年・退職・解雇までの人事労務管理全般にわたって、合理的な理由のない男女異なる取り扱いが禁止されています。

 また、改正男女雇用機会均等法で、事業主のセクハラ防止の措置義務が定められています。

 男女雇用機会均等法が防止の対象とする「職場のセクハラ」には2つのタイプがあります。

・対価型セクハラ

 職場で行われる性的な言動に対する「男女社員の対応」により、その男女社員が労働条件につき不利益を受けること。

・環境型セクハラ

 職場において、行われる性的な言動により男女社員の働く環境が害されること。

 事業主は、それらによく注意して、雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。

●不服審査、再審査

 公共職業安定所の雇用保険に関する決定や労働基準監督署の労災保険についての判断が不当であると思うときは、不服審査、再審査を請求することができます。

 不服審査は、行政庁の違法な、もしくは不当な処分に不服のある場合が、行政機関に対し不服を申し立てる手続きです。

 一般法として行政不服審査法があります。

 不服申し立ての種類は、審査請求、異議申し立て、再審査請求があります。

 原則的に不服申し立ては審査請求によります。

 不作為に対する不服申し立ての場合は異議申し立てか審査請求のどちらをするかを選べます。

 職安の行った雇用保険に関する決定や処分、労働基準監督署が行った労災保険に関する決定や処分が、法令、通達、事実に照らして明らかにおかしいということであれば、都道府県労働局に配置されている労働保険審査官に不服審査請求を行うことができます。

 労働保険審査官の回答に納得がいかない場合は、さらに厚生労働省に設けられている労働保険審査会に再審査請求を行うことができます。

 そして、再審査請求に基づく処分にも不服な場合には、訴訟で争うことになります。