|
|
労使協定
労使協定は、使用者と事業場の過半数の労働者で組織された労働組合または過半数を代表する者との間で締結した文書のことです。
労使協定には、労働基準法に定められた、いわゆる三六協定(時間外・休日労働に関する協定)や二四協定(賃金控除協定)、各種の変形労働時間制に関する協定、年次有給休暇の計画的付与に関する協定など、17種類の労使協定があります。
労使協定には、行政官庁への届出が必要なものと必要ないものがあります。
----------
・就業規則
就業規則は、労働基準法で「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に対して作成義務が課されたもの(第89条第1項)で、経営権の一環として使用者が一方的に作成することができるものです。
その作成・変更のためには、労働者への周知、意見聴取、行政官庁への届出という3つの手続きが必要とされています。
この手続きを経て作成された就業規則は、当該事業場のすべての労働者に適用されます。
・労働協約
労働協約は、使用者と労働組合との間の書面による協定のことで、労働協約の締結能力をもつ労使両当事者が署名し、または記名押印することによってその効力が生じます。
この要件と形式を備えていれば、記載事項や名称は両当事者に委ねられて、協定とか覚書、確認書等の名称であっても法律上はすべて労働協約と認められます。
ただし、労働組合のない事業場では労働協約を締結することはできず、労働協約は、原則として、当該労働組合の組合員にのみ適用されます。
労働協約は、行政官庁に届出をする必要はありません。
●就業規則と労働協約;
ともに労働条件を集団的に規制するものであるという点では同一の機能をもちますが、労働基準法では、労働協約が就業規則より優位に立つものとされています。
就業規則はすべての従業員に適用されるのに対し、労働協約の効力はあくまで当該労働組合の組合員にしか及びません。
→労働協約を締結した場合にも、就業規則の作成が必要となります。
●労使協定と就業規則;
労使協定は強行法規である労働基準法の原則的な定めによらないでも法違反にならないという免罰的効果を持つのに対し、就業規則はその定めるところによって労働者に債務を課す民事的な効果を持ちます。
たとえば、時間外労働等をさせようとする場合、三六協定だけでは足りず、就業規則の定めが必要となります。
→労使協定を締結すれば就業規則は必要なくなるのでなく、就業規則の定めに基づいて労使協定を締結することになります。
●労使協定と労働協約;
労使協定は労働基準法によるもので、労働協約は労働組合法によるものです。
労使協定は労働基準法でその種類や定めるべき事項が定められているのに対し、労働協約は労使両当事者間の合意があれば内容については任意です。
・労働組合がない場合
労使協定は事業場の労働者の労働者の過半数を代表する者との間で締結することができますが、労働協約は締結できません。
・労働組合がある場合
労使協定は労働者の過半数で組織する労働組合との間でしか締結できませんが、労働協約は少数組合との間でも締結することができます。
●強制貯金の労使協定
使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはなりません。
ただし、使用者が労働者から依頼を受け、労働契約の条項とは関係なく貯蓄金を管理することは認められています。
これには以下の2種類があります。
・社内貯金
会社自身が直接労働者の貯金を受け入れ、管理します。
・通帳保管
銀行等に労働者名義で預金し、通帳・印鑑を会社が保管します。
社員の貯蓄金を管理しようとするときは、労使協定を締結して、これを労働基準監督署に届け出なければなりません。
----------
これには以下の要件が必要になります。
・貯蓄金管理に関する労使協定の作成と労働基準監督署長への届出
・貯蓄金管理規定の作成と労働者への周知
・社内預金のときは、命令で定める一定の利子をつけ、一定の保全措置を実施する
・返還を求められたときは、すみやかに対応する
・労働基準監督署長の中止命令があったときは、すみやかに返金する
----------
労使協定で締結の必要な事項です。
・預金者の範囲
・預金者一人当たりの預金額の限度
・預金の利率及び利子の計算方法
・預金の受入れ及び払いもどしの手続
・預金の保全の方法
----------
労働基準法第18条;
「 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
2 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。
3 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管理に関する規程を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。
4 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。
5 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。
6 使用者が前項の規定に違反した場合において、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。
7 前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。
労働基準法施行規則第5条の2;
「 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、法第十八条第二項 の協定には、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。
一 預金者の範囲
二 預金者一人当たりの預金額の限度
三 預金の利率及び利子の計算方法
四 預金の受入れ及び払いもどしの手続
五 預金の保全の方法」
労働基準法施行規則第6条;
「 法第十八条第二項の規定による届出は、様式第一号により、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)にしなければならない。」
----------
●賃金からの一部控除の労使協定
労働基準法では、賃金の支払いについては、通貨払の原則、直接払の原則、全額払の原則、毎月払、一定期日払の原則、の5つの原則が定められています。
全額払の原則は、賃金はその全額を支払わなければならない、というものです。
ただし、法令に別段の定めがある場合、または、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合は、賃金の一部を控除して支払うことができます。
この労使協定は、労働基準監督署への届出は不要です。
----------
賃金から控除することが可能なものです。
・法令に定めがあるもの
所得税の源泉徴収
住民税
社会保険料(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)など
・労使協定に定めがあるもの
労働組合費
親睦会費
社宅料
持株会費
購入物品の代金
その他
----------
労働基準法第24条;
「 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
・・・・・」
労働基準法施行規則第6条の2;
「 ・・・・・法第二十四条第一項 ただし書、・・・・・に規定する労働者の過半数を代表する者(以下この条において「過半数代表者」という。)は、次の各号のいずれにも該当する者とする。
一 法第四十一条第二号 に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
二 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。
・・・・・」
----------
●1ヶ月単位の変形労働時間制
1ヵ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
----------
労働基準法第32条の2;
「 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
・・・・・」
----------
最長1ヵ月の1週あたりの平均労働時間が、1週あたりの法定労働時間の範囲内(40時間あるいは44時間)であれば、特定の日や週に法定労働時間を超えて労働をさせても時間外労働にはならず、割増賃金を支払う必要は無くなります。
隔日勤務、夜間勤務等のために採用されるほか、月始め、月末、特定の週等によって業務の繁閑の差がある場合にも利用が可能です。
・変形期間
変形期間は1ヶ月以内とされており、1ヶ月単位のほかに、4週間単位、20日単位等も可能です。
また、変形期間の長さとともにその起算日も明らかになるように定めておく必要があります。
・法定労働時間の総枠
変形労働時間制を採用した場合の、変形期間における法定労働時間の総枠は、次の式によって計算されます。
40(時間;特例適用事業場は44時間)×変形期間の暦日数/7
| 変形期間 |
法定労働時間が40時間 |
法定労働時間が44時間 |
| 30日の月 |
171.4時間 |
188.5時間 |
| 31日の月 |
177.1時間 |
194.8時間 |
| 4週間単位 |
160.0時間 |
176.0時間 |
| 10日単位 |
57.1時間 |
62.8時間 |
| 1週単位 |
40.0時間 |
44.0時間 |
・具体的な特定
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定等により、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に特定する必要があります。
1ヶ月単位の変形労働時間制は、あらかじめ労使協定等で各日の労働時間が具体的に定められているものであり、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するようなものはこれに該当しません。
・時間外労働
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用した場合には、次の時間が時間外労働となります。
1日について;
労使協定等により8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
1週間について;
労使協定等により40時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(特例措置対象事業場にあっては44時間)
変形期間について;
変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(上記、1日についてまたは1週について時間外労働となる時間を除く)
なお、休日振替で時間外労働となる場合があります。
休日振替の結果、就業規則で1日8時間又は1週40時間を超える所定労働時間が設定されていない日又は週に1日8時間又は1週40時間を超えて労働させることになる場合には、その超える時間は時間外労働となります。
完全週休2日制を採用している場合に、ある週の休日を他の週に振り替えた場合、休日の規定との関係では問題ありませんが、例えば1日の休日を他の週に振り替えた場合には、当該週2日の休日があった週に8時間×6日=48時間労働させることになり、あらかじめ特定されていない週に週40時間を超えて労働させることになりますので8時間分は時間外労働となります。
・労使協定または就業規則その他これに準ずるものによる定め
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定または就業規則その他これに準ずるものによって、この制度に関する規定を設ける必要があります。
就業規則その他これに準ずるものを選択した場合には、就業規則の作成義務がある規模10人以上の事業場では必ず就業規則にこの定めをしなければならず、それ以下の事業場については就業規則又はこれに準ずるもので定めをしなければなりません。
労使協定を選択した場合には、労使協定は過半数労働組合か労働者の過半数代表者が当事者となります。
使用者は、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者等特別の配慮を要する者について、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならないこととされています。
----------
労働基準法施行規則第12条の6;
「 使用者は、法第三十二条の二・・・・・の五の規定により労働者に労働させる場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければならない。」
----------
・労使協定で定めるべき事項
変形労働時間制を導入して初めて労働させる日(起算日)
対象期間内の各労働日と、各労働週の所定労働時間
対象期間内の各労働日の始業・終業時刻(出勤・退社の時刻)
各人ごとに、各日・各週の労働時間を終業期を区においてできる限り具体的に特定すべき必要がありますが、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、終業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続き及びその周知方法等を定め、それにしたがって各日ごとの勤務割を、変形期間の開始前までに具体的に特定すればよいとされています。
・労働基準監督署への届出
所轄労働基準監督署長への届出が必要になります。
----------
労働基準法第32条の2;
「 ・・・・・ 2
使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。」
----------
●フレックスタイム制の労使協定
フレックスタイム制は、1か月以内の一定期間(清算期間)における総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者はその枠内で各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定し働く制度です。
----------
労働基準法第32条3;
「 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月以内の期間に限るものとする。次号において同じ。)
三 清算期間における総労働時間
四 その他厚生労働省令で定める事項」
----------
労働者がその生活と業務の調和を図りながら、効率的に働くことができ、労働時間を短縮しようとします。
1日の労働時間帯を、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)とに分け、出社、退社の時刻を労働者の決定に委ねます。
なお、コアタイムは必ず設けなければならないものではありませんから、全部をフレキシブルタイムとすることもできます。
また、これとは逆に、コアタイムがほとんどでフレキシブルタイムが極端に短い場合などには、基本的に始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねたことにはならず、フレックスタイム制とはみなされません。
フレックスタイム制を採用するには、始業、終業時刻の労働者による決定と、労使で協定を締結することが必要です。
始業、終業時刻の労働者による決定は、就業規則その他これに準ずるもので始業及び終業の時刻の両方を労働者の決定に委ねる旨定めることが必要です。
なお、労使協定で定めるとされている清算期間、清算期間における総労働時間は、一面では労働者の始業及び終業の時刻に係る事項でもあるので、就業規則でも、規定する必要があります。
■労使で締結する協定で、フレックスタイム制の基本的枠組みを定めることが必要です。
この労使協定は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と締結するものです。
フレックスタイム制に関する労使協定は締結しておけばよく、労働基準監督署長に届け出る必要はありません。
・フレックスタイム制を適用する労働者の範囲を明確に定めることが必要です。
この場合、対象となる労働者の範囲を「全労働者」あるいは「特定の職種の労働者」と定めることができます。
個人ごと、課ごと、グループごと等様々な範囲も考えられます。
・清算期間は、労働契約上労働者が労働すべき時間を定める期間で、1か月以内とされています。
1か月単位のほかに、1週間単位等も可能で、給料賃金と合わせて1か月単位とするのが一般的です。
清算期間については、その長さと起算日を定めることが必要で、単に「1か月」とせず、毎月1日から月末までなどとします。
・清算期間における総労働時間は、労働契約上労働者が清算期間内において労働すべき時間として定められている時間のことです。
この時間は、清算期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定める必要があります。
| 清算期間 |
1週の法定労働時間が40時間の場合 (法定労働時間の総枠) |
| 31日の場合 |
177.1 時間 |
| 30日の場合 |
171.4 時間 |
| 29日の場合 |
165.7 時間 |
| 28日の場合 |
160.0 時間 |
労使協定では、清算期間における法定労働時間の総枠の範囲内で、例えば1か月160時間というように各清算期間を通じて一律の時間を定める方法のほか、清算期間における所定労働日を定め、所定労働日1日当たり7時間というような定めをすることもできます。
・標準となる1日の労働時間とは、清算期間内における総労働時間を、その期間における所定労働日数で除したものです。
フレックスタイム制を採用している労働者がその清算期間内において、有給休暇を取得したときには、その取得した日については、標準となる労働時間を労働したものとして取り扱うこととなります。
・コアタイム、フレキシブルタイム等を設ける場合は必ず労使協定でその開始及び終了時刻を定めることとされています。
なお、コアタイム等については、法令上必ずしも設けなければならないものではありません。
■時間外労働となる時間のは次の場合です。
・フレックスタイム制の適用時間帯以外の時間に勤務した時間数
・清算期間における実労働時間のうち、その間の法定労働時間の総枠を越えた時間数
●1年単位の変形労働時間制
1ヶ月を越え1年以内の一定の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間以下の範囲内において、特定の日又は週に1日8時間又は1週40時間を超え、一定の限度で労働させることができる制度です。
1年単位の変形労働時間制は、1年を通して計算しますので、祝祭日が多い月や忙しくない月の労働時間を減らせれば、減らした分だけ他の月の労働時間を多くできます。
導入するには労使協定が必要です。
毎年、労働基準監督署へ届出ます。
就業規則への記載も必要です。
■1年単位の変形労働時間制を採用するためには、労使協定において以下の事項を定めることが必要です。
・1年単位の変形労働時間制を適用する社員の範囲
法令上、対象労働者の範囲について制限はありませんが、その範囲は明確に定める必要があります。
労働した期間が対象期間より短い労働者については、割増賃金の支払を要する場合があります。
・1年単位の変形労働時間制の対象とする期間(1年以内)
1箇月を超え1年以内の期間に限ります。
具体的な期日でなく期間で定める場合に限り、当該期間の起算日も必要です。
・特に忙しい期間(「特定期間」といいます)
対象期間中の特に業務の繁忙な期間を特定期間として定めることができます。
この特定期間は、連続して労働させる日数の限度に関係があります。
なお、対象期間の相当部分を特定期間とすることは法の趣旨に反します。
・出勤日とそれぞれの出勤日の労働時間(1年間を1ヶ月単位に区切って、各月の出勤日数と総労働時間数とすることも可能です)
労働日及び労働日ごとの労働時間は、対象期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えないよう、また、労働日及び労働日ごとの労働時間に関する限度に適合するよう設定しなければなりません。
また、特定した労働日又は労働日ごとの労働時間を任意に変更することはできません。
なお、労働日及び労働日ごとの労働時間は、対象期間中のすべての労働日及び労働日ごとの労働時間をあらかじめ労使協定で定める方法のほか、対象期間を区切って定める方法があります。
・労使協定の有効期間
労使協定そのものの有効期間は対象期間より長い期間とする必要があります。
1年単位の変形労働時間制を適切に運用するためには対象期間と同じ1年程度とすることが望ましいものです。
----------
労働基準法第32条の4;
「 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第三十二条の規定にかかわらず、その協定で第二号の対象期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第一項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
二 対象期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月を超え一年以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
三 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。第三項において同じ。)
四 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を一箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下この条において「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)
五 その他厚生労働省令で定める事項
2 使用者は、前項の協定で同項第四号の区分をし当該区分による各期間のうち最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、当該各期間の初日の少なくとも三十日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得て、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。
3 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、厚生労働省令で、対象期間における労働日数の限度並びに一日及び一週間の労働時間の限度並びに対象期間(第一項の協定で特定期間として定められた期間を除く。)及び同項の協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。
4 第三十二条の二第二項の規定は、第一項の協定について準用する。」
----------
■労働日及び労働日ごとの労働時間に関する限度
労働日及び労働日ごとの労働時間に関しては、対象期間における労働日数の限度、対象期間における1日及び1週間の労働時間の限度、対象期間及び特定期間における連続して労働させる日数の限度があります。
・労働日数の限度
1年280日
ただし、労働日数の限度が適用されるのは、対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働
時間制に限られます。
対象期間が1年に満たない場合は、次の式で計算した日数(端数切捨て)が限度となります。
280日×対象期間の暦日数÷365(うるう年も同じ)
・1日及び1週の労働時間の限度
1日10時間・1週52時間
ただし、対象期間において48時間を超える週が連続する場合の週数は3以下、対象期間を初日から3箇月ごとに区切った各期間において48時間を超える週の初日の数が3以下であることが必要です。
・連続労働日数
最長6日
ただし、特定期間(対象期間中に特に業務が繁忙な期間として労使協定で定めた期間)を設ければ、1週間に1日の休日が確保できる日数(最大12日)とすることが可能です。
■労働日及び労働日ごとの労働時間の特定の特例
対象期間を1箇月以上の期間ごとに区分して、労働日及び労働日ごとの労働時間を定めることができます。
対象期間が始まるまでに、労使協定において、具体的な労働日及び労働日ごとの労働時間の代わりに次の事項を定めます。
・最初の期間における労働日及び労働日ごとの労働時間
・その期間以外の各期間における労働日数及び総労働時間
各期間の初日の30日以上前に、当該各期間における労働日及び労働日ごとの労働時間を、過半数労働組合又は労働者過半数代表との同意を得て書面で定めます。
■労働基準監督署長への届出
労使協定を締結した場合は、一定の様式により所轄労働基準監督署長に届け出てください。
■割増賃金の支払
労働基準法第37条の規定に基づく割増賃金のほか、1年単位の変形労働時間制の適用を受けて労働した期間が対象期間より短い労働者で、実労働期間を平均して1週間当たり40時間を超えて労働した者に対しては、割増賃金の支払を要する労働時間割増賃金を同法第32条の4の2の規定に基づく割増賃金として支払わなければなりません。
----------
労働基準法第32条の4の2;
「 使用者が、対象期間中の前条の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第三十七条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。」
----------
■育児を行う者等に対する配慮
育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければなりません。
●1週間単位の変形労働時間制
1週間単位の非定型的変形労働時間制は、規模30人未満の小売業、旅館、料理、飲食店の事業において、労使協定により、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定めることができる制度です。
1週間単位の変形労働時間制でその1週間の所定労働時間を40時間以内にすれば、忙しい日はある程度長く働き、忙しくない日は短く働かせたり休日とすることができます。
1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用するには、労使協定を締結することにより、1週間の労働時間が40時間以下になるように定め、かつ、この時間を超えて労働させた場合には、割増賃金を支払う旨を定めることが必要です。
また、労使協定を所定の様式により、所轄の労働基準監督署に届け出ることが必要です。
----------
労働基準法第32条5;
「 使用者は、日ごとの業務に著しい繁閑の差が生ずることが多く、かつ、これを予測した上で就業規則その他これに準ずるものにより各日の労働時間を特定することが困難であると認められる厚生労働省令で定める事業であつて、常時使用する労働者の数が厚生労働省令で定める数未満のものに従事する労働者については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、第三十二条第二項の規定にかかわらず、一日について十時間まで労働させることができる。
2 使用者は、前項の規定により労働者に労働させる場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働させる一週間の各日の労働時間を、あらかじめ、当該労働者に通知しなければならない。
3 第三十二条の二第二項の規定は、第一項の協定について準用する。」
----------
・対象事業場
常時30人未満の労働者を使用する小売業、旅館、料理店、飲食店とされています。
・1週間の労働時間の限度
40時間以内です。
----------
なお、特例措置対象事業場の法定労働時間は、平成13年4月1日から、1日8時間、1週44時間に改正されました。
特例措置対象事業場は、次に掲げる業種に該当する(工場、支店、営業所等の個々の事業場の規模が)常時10人未満の労働者を使用する事業場です。
商業 卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業
映画・演劇業 映画の映写、演劇、その他興業の事業
保健衛生業 病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
接客娯楽業 旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業
----------
しかし、1週間単位と1単位の変形労働時間制は、法定労働時間の特例がみとめられていませんので、特例措置対象事業場においても、1週間の労働時間の限度は40時間以内です。
・ 時間外労働となる時間
次の時間の合計とされています。
1日10時間を超えて労働させた時間
1日10時間以内であるが所定労働時間を超えて労働させた時間
1週40時間を超えて働かせた時間(1日10時間を超えて労働させた時間、または1日10時間以内であるが所定労働時間を超えて労働させた時間を除く)
・ 労使協定で定めるべき事項
業務の種類
該当労働者数(満18歳以上の者を男女別に定める必要があります)
1週間の所定労働時間
変形労働時間制による期間
・ 労働基準監督署への届出
この労使協定は所轄労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
●交替休憩の実施の労使協定
休憩制度には、労働時間の途中で与える原則、自由利用の原則、一斉休憩の原則があります。
一斉休憩の原則は、休憩はその事業場の全従業員に一斉に与えられるというが原則です。
ただし、一せい休憩の適用除外は、次の場合に認められます。
・労使協定による一せい休憩の適用除外が認められます(労働基準法第34条)。
・一定の業種については法律で一斉休憩の除外が認められます(労働基準法第40条、施行規則第31条)。
適用除外の業種は、旅客又は貨物の運輸業、商業、金融・保険業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署です。
----------
労働基準法第34条;
「 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
2 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
3 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。」
労働基準法第40条;
「 別表第一第一号から第三号まで、第六号及び第七号に掲げる事業以外の事業で、公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるものについては、その必要避くべからざる限度で、第三十二条から第三十二条の五までの労働時間及び第三十四条の休憩に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。
・・・・・」
労働基準法施行規則第31条;
「 法別表第一第四号、第八号、第九号、第十号、第十一号、第十三号及び第十四号に掲げる事業並びに官公署の事業(同表に掲げる事業を除く。)については、法第三十四条第二項 の規定は、適用しない。」
----------
その他、業務の形態によって一斉休憩を付与することが出来ない場合は労働基準監督署長の許可を条件に適用の除外を認めるという条文がありましたが、平成10年の改正で許可制度は廃止されました。
そして、平成11年3月31日以前に監督署長から一せい休憩の適用除外許可書を受けている場合は、その許可の内容に従って休憩を与えることができ、改めて労使協定を結ぶ必要はありません。
----------
附則(平成10年9月30日法律第112号)第4条;
「 この法律の施行前にされた旧法第三十四条第二項ただし書の許可の申請であって、この法律の施行の際に許可又は不許可の処分がされていないものについての許可又は不許可の処分については、なお従前の例による。
2 この法律の施行前に旧法第三十四条第二項ただし書の規定による許可を受けた場合(前項の規定により同項の許可を受けた場合を含む。)における休憩時間については、なお従前の例による。」
----------
労使協定には、対象労働者の範囲と具体的な休憩の与え方について盛り込まなければなりません。
協定事項
・一斉に休憩を与えない労働者の範囲
・ 一斉に休憩を与えない労働者に対する休憩の与え方
一斉休憩の適用除外のための労使協定は、届出義務はありません。
ただし、労働者への周知義務が生あります。
●時間外労働・休日労働の労使協定(36協定)
厚生労働省告示の取扱いに関する改正等により、平成16年4月1日からその取り扱いが変わりました。
労働基準法は1日及び1週の労働時間並びに休日日数を法定していますが、第36条の規定により時間外労働・休日労働協定を締結し、労働基準監督署長に届け出ることを要件として、法定労働時間を超える時間外労働及び法定休日における休日労働を認めています。
しかし、第36条の規定は、時間外労働・休日労働を無制限に認める趣旨ではなく、時間外労働・休日労働は本来臨時的なものとして必要最小限にとどめられるべきものであり、労使がこのことを十分意識した上で36協定を締結する必要があります。
----------
労働基準法第36条;
「 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。
2 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
3 第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
4 行政官庁は、第二項の基準に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。」
----------
時間外労働は法定労働時間を超えて働かせる時間をいい、休日労働は法定休日に働かせることをいいます。
時間外労働と休日労働については割増賃金の支払が必要で、時間外労働の割増賃金の割増率は2割5分以上、休日労働の割増賃金の割増率は3割5分以上です。
また、労働が午後10時から午前5時までの深夜に及んだ場合、割増賃金の加算が必要で、割増賃金の割増率は2割5分以上です。
----------
労働基準法第37条;
「 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
3 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
4 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
----------
■協定の内容
・協定事項
時間外労働をさせる必要のある具体的事由
時間外労働をさせる必要のある業務の種類
時間外労働をさせる必要のある労働者の数
1日について延長することができる時間
1日を超える一定の期間について延長することができる時間
有効期間(1年間となっているか)
・協定当事者
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合であること。
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には、監督または管理の地位にある者でなく、かつ、労使協定の締結等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。
・業務区分の細分化
36協定の締結にあたっては、安易に臨時の業務などを予想して対象業務を拡大したりすることのないよう、業務の区分を細分化することにより時間外労働をさせる業務の範囲を明確にしなければなりません。
・一定期間の区分
1日を超え3か月以内の期間について、労働させることができる時間(時間外労働の限度)
を定めること。
1年間について、労働させることができる時間(時間外労働の限度)を定めること。
・延長時間の限度
一般労働者の場合; 36協定で定める時間は、最も長い場合でも次の表の限度時間を超えないものとすること。
期間 限度時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1箇月 45時間
2箇月 81時間
3箇月 120時間
1年間 360時間
対象期間が3カ月を超える1年単位の変形労働時間制の対象者の場合; 延長時間は、最も長い場合でも次の表の限度時間を超えないものとすること。
期間 限度時間
1週間 14時間
2週間 25時間
4週間 40時間
1箇月 42時間
2箇月 75時間
3箇月 110時間
1年間 320時間
限度時間は法定の労働時間を超えて延長することができる時間数を示すものであり、また、休日労働を含むものではありません。
この限度時間は、工作物の建設等の事業、自動車の運転の業務、新技術、新商品等の研究開発の業務、労働省労働基準翌朝が指定する事業または業務には適用されません。
ただし、1年間の限度時間は適用されます。
■労働基準監督署への届出
この労使協定は所轄労働基準監督署長へ提出する必要があります。
●特別条項付き協定
臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合に次のような特別条項付き協定を結べば、限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。
例;
「一定期間についての延長時間は1箇月30時間とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期が逼迫したときは、労使の協議を経て、1箇月50時間までこれを延長することができる。この場合、延長時間をさらに延長する回数は、6回までとする。」
「一定期間についての延長時間は1箇月30時間とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期が逼迫したときは、労使の協議を経て、3箇月150時間まで延長することができることとする。この場合、延長時間をさらに延長する回数は、2回までとする。」
この場合、次の要件を満たしていることが必要です。
・原則として延長時間(限度時間以内の時間)を定めること。
・限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情をできるだけ具体的に定めること。
・一定期間の途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続を、協議、通告、その他具体的に定めること。
・限度時間を超える一定の時間を定めること。
----------
1日を超え3箇月以内の一定の期間について、原則となる延長時間を超え、特別延長時間まで労働時間を延長することができる回数を協定するものし、その回数は特定の労働者についての特別条項付き協定の適用が1年のうち半分を超えないものにします。
提出された協定に回数の定めがない場合は、特別の事情が臨時的なものであることが協定上明らかである場合を除き、限度基準に適合しないものとして必要な助言及び指導の対象となります。
特別の事情の例として、予算、決算業務、ボーナス商戦に伴う業務の繁忙、納期の逼迫、大規模なクレームへの対応、機械のトラブルへの対応などがあげられます。
具体的な事由を挙げずに、単に、業務の都合上必要なとき、業務上やむを得ないときと定めるなど、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは該当しません。
■労働基準監督署への届出
この労使協定は所轄労働基準監督署長へ提出する必要があります。
●事業場外労働の労使協定
事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務である場合には、事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となります。
----------
労働基準法第38条の2;
「 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
2 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
3 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。」
----------
出張したときとか、営業社員が社外勤務した場合に、労働時間が何時間が把握できないときは、会社で定めた所定労働時間勤務したものとみなします。
所定労働時間を超えることが確実なときは、必要とされる時間勤務したものとみなします。
直行直帰でタイムカードが押せないときは、一般的には、残業なしとして取り扱えますが、現場に監督者や責任者が同行している場合、携帯電話で随時指図している場合、具体的な業務内容や帰社時刻を指示している場合は、労働時間が把握できますので、把握できた時間で労働時間を計算します。
社外勤務で所定労働時間で処理するときは労使協定は不要ですので、社外勤務させるときは所定労働時間内で納まるよう指導します。
社外勤務で所定労働時間を超えるときは労使協定が必要ですので、労使協定の締結と労働基準監督署長への届出が必要です。
・労使協定で定めるべき事項
対象業務
みなし労働時間
有効期間
・労働基準監督署への届出
みなし労働時間が法定労働時間を超える場合には、締結した労使協定を労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
●専門業務型裁量労働制の労使協定
業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。
----------
労働基準法第38条の3;
「 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、労働者を第一号に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第二号に掲げる時間労働したものとみなす。
一 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下この条において「対象業務」という。)
二 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
三 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。
四 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
五 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
六 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2 前条第三項の規定は、前項の協定について準用する。」
----------
深夜(午後10時〜翌午前5時)及び休日を除く通常時間帯の勤務に関しては、所在証明(いかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供し得る状態にあったかを客観的に証明できる)程度の労働時間把握でよいとされています。
深夜及び休日の労働時間はタイムカード等により具体的な労働時間数まで把握し記録に残す(この部分には当然、別途、法定割増賃金の支払義務があります。)必要があるとされています。
・対象業務
下記の19業務に限り、事業場の過半数労働組合又は過半数代表者との労使協定を締結することにより導入することができます。
(1) 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
(2) 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
(3) 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
(4) 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
(6) 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
(7) 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
(8) 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
(9) ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10) 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
(11) 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(12) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
(13) 公認会計士の業務
(14) 弁護士の業務
(15) 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
(16) 不動産鑑定士の業務
(17) 弁理士の業務
(18) 税理士の業務
(19) 中小企業診断士の業務
・導入手続
制度の導入に当たっては、原則として次の事項を労使協定により定めた上で、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
(1) 制度の対象とする業務
(2) 対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
(3) 労働時間としてみなす時間
(4) 対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
(5) 対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
(6) 協定の有効期間(3年以内とすることが望ましい。)
(7) (4)及び(5)に関し労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること
●有給休暇の計画付与の労使協定
年次有給休暇の計画付与は、各労働者が取得できる法定の年次有給休暇のうち、5日を越える日数分について、使用者が日を指定して与えることができる制度をいいます。
たとえば、年次有給休暇が20日ある労働者の場合なら、5日を引き算した残りの15日分が計画付与の対象となります。
----------
労働基準法第39条;
「 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
・・・・・
5 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
・・・・・」
----------
年次有給休暇は、もともと労働者の側に月日を指定して取得する権利(時期指定権)があるものです。
しかし、労使で協定し、計画付与の対象とした年次有給休暇については、この権利は消滅します。
労働者は労使協定の定めに従い、年次有給休暇を取得しなければなりません。
また、使用者の時期変更権も行使できません。
・労使協定の締結
法律には、具体的な労使協定の締結事項についての規定がありません。
通達には、
事業場全体の休業による一斉付与の場合には具体的な年次有給休暇の付与日、
班別の交交替制付与の場合には班別の具体的な年次有給休暇の付与日、
年次有給休暇付与計画表による個人別付与の場合には計画表を作成する時期や手続き、
特別の事情により年次有給休暇の付与日があらかじめ定められることが適当でない労働者については、年次有給休暇の計画付与の労使協定を結ぶ際、計画付与の対象から除外することも含め、十分労使関係者が考慮するよう指導すること、
などとされています。(昭和63.1.1基発第1号)
たとえば、計画付与の対象からパートタイマーなどを除外する場合には、該当日にパートタイマーだけが出勤してもでよいかどうか考えることが必要です。
この場合、年次有給休暇がないことを理由に休業させるときは休業手当の支払いが必要ですので、その日数分だけ年次有給休暇を増やすか、特別休暇を与えて休ませるなどが考えられます。
年次有給休暇の計画付与を実施する場合には、事業場ごとに次の事項について労使協定を結ぶ事が必要です。
・労働基準監督署への届出
この労使協定は届出の必要はありません。
●有給休暇中の賃金支払の労使協定
有給休暇は、労働者の疲労回復、健康の維持・増進、その他労働者の福祉向上を図る目的で利用される制度です。
使用者は、雇用する労働者に対し、所定休日以外に年間一定日数以上の「休暇」を与えなければなりません。
そして、その休暇となった日について一定の賃金を支払うことが義務付けられています。
----------
労働基準法第39条;
「 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
・・・・・
6 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間について、健康保険法 (大正十一年法律第七十号)第九十九条第一項 に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
・・・・・」
----------
■賃金の支払い方法
使用者は、労働者が有給休暇を取った期間の賃金の支払い方法については、次の3つのやり方があります。
選択がなされた場合には、必ずその選択された方法による賃金を支払わなければなりません。
・平均賃金を支払う方法
就業規則等に定めておき、その労働者の過去3か月分の賃金を平均して算定される賃金を支払います。
・通常の賃金を支払う方法
就業規則等に定めておき、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金から臨時に支払われた賃金や時間外手当等を除いた金額を支払います。
・標準報酬日額に相当する金額を支払う方法
労使協定を結んでおき、標準報酬日額に相当する金額を支払います。
標準報酬日額とは、健康保険法第99条の標準報酬月額を30で割り10円単位で四捨五入した額です。
標準報酬の対象となる報酬には、給料、残業手当、家族手当、通勤手当など、労務の対償として被保険者に支払われるもの全てが含まれ、現物で支給されるものは、金銭に換算(給食・社宅については健康保険組合が定める標準価額によって換算)した額が報酬とされます。
■パートタイマーの場合
パートタイマーに対する有給手当は、その労働者の1日分の手当となります。
たとえば、1日の労働時間が5時間であれば、5時間分の手当となります。
1日の労働時間が日によって異なる場合は、有給休暇を取得した日の労働時間によります。
■労働基準監督署への届出
この労使協定は、労働基準監督署への届出の必要はありません。
●育児休業適用除外者の労使協定
労働者は、日々雇用される者や期間を定めて雇用される者でないときは、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができます。
事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができません。
ただし、下記について労使協定がある場合には、その育児休業を拒むことができます。
・当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
・労働者の配偶者で当該育児休業申出に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合における当該労働者
・前二号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな者
1週間の所定労働日数が2日以下の者
----------
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第6条;
「 事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
二 労働者の配偶者で当該育児休業申出に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合における当該労働者
三 前二号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
2 前項ただし書の場合において、事業主にその育児休業申出を拒まれた労働者は、前条第一項及び第三項の規定にかかわらず、育児休業をすることができない。
・・・・・」
----------
育児休業中は、無給とするか、有給とするか、育児介護休業法では特に定められていませんので、企業の経営状況等を考慮して、事業主が決定することができます。
従業員には、雇用保険から、育児休業基本給付金、育児休業者職場復帰給付金が支給されます。
・育児休業基本給付金
1歳未満の子どもを養育するため育児休業を取得した場合、育児休業期間中の各支給単位期間(休業開始日から起算して1ヶ月ごとの期間をいう)について支給されます。
支給額は、休業開始時賃金月額の30%です。
・育児休業者職場復帰給付金
育児休業基本給付金の支給を受けた人が、育児休業終了後、原則として同一の事業主の下に 引き続き6ヶ月間雇用された場合に、一括して支給されます。
支給額は、休業開始時賃金月額の10%です(一定の場合20%)。
・労働基準監督署への届出
この労使協定は届出は不要です。
●介護休業適用除外者の労使協定
労働者は、要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上継続して常時介護を必要とする状態を言います)にある対象家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居し扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫)を介護するため、雇用関係を維持したまま、一定期間休業することができます。
ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、以下のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができます。
・当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
・介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(93日経過日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
----------
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第11条;
「 労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者
二 第三項に規定する介護休業開始予定日から起算して九十三日を経過する日(以下この号において「九十三日経過日」という。)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(九十三日経過日から一年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
・・・・・」
----------
事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことはできません。
■介護休業非対象労働者
次にあげる者は、法律の規定により介護休業対象労働者から除外されます。
・日々雇用される者。
・期間を定めて雇用される者。
(但し、期間雇用者でも、入社1年以上で、介護休業開始予定日から93日経過日を越えて雇用関係が継続することが見込まれ、93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し更新されないことが明らかでない場合は除外されません。)
次にあげる者は、労使協定を結ぶことにより介護休業対象者から除外されます。
・雇用された期間が1年未満の者。
・申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな者。
・1週間の所定労働日数が2日以下の者。
----------
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第12条;
「 事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない。
2 第六条第一項ただし書(第二号を除く。)及び第二項の規定は、労働者からの介護休業申出があった場合について準用する。この場合において、同条第二項中「前項ただし書」とあるのは「第十二条第二項において準用する第六条第一項ただし書」と、「前条第一項及び第三項」とあるのは「第十一条第一項」と読み替えるものとする。
・・・・・」
*第六条第一項ただし書(第二号を除く。)
「ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
・・・・・
三 前二号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
・・・・・」
----------
■労働基準監督署への届出
この労使協定は届出は不要です。
●看護休暇適用除外者の労使協定
看護休暇は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、事業主に申し出ることで年間に5日を限度として、自分の子供を病気や負傷などで世話をする場合に休暇を取ることができる制度のことです。
2005年4月施行の改正育児介護休業法により、子の看護休暇制度が義務化されました。
子供の看護休暇を取得するには。次の事項を事業主に申し出ることにより行います。
・労働者の氏名
・子供の氏名と生年月日
・看護休暇を取得する年月日
・子がケガをし、または病気にかかっている事実
----------
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第16条の2;
「 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において五労働日を限度として、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇(以下この章において「子の看護休暇」という。)を取得することができる。
2 前項の規定による申出は、厚生労働省令で定めるところにより、子の看護休暇を取得する日を明らかにして、しなければならない。
3 第一項の年度は、事業主が別段の定めをする場合を除き、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
----------
事業主は、労働者からの看護休業申出があったときは、当該看護休業申出を拒むことはできません。
■看護休業非対象労働者
次にあげる者は、法律の規定により看護休業対象労働者から除外されます。
・日々雇用される者。
次にあげる者は、労使協定を結ぶことにより看護休業対象者から除外されます。
・雇用された期間が6ヶ月未満の者。
・1週間の所定労働日数が2日以下の者。
----------
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第16条の3;
「 事業主は、労働者からの前条第一項の規定による申出があったときは、当該申出を拒むことができない。
2 第六条第一項ただし書(第二号を除く。)及び第二項の規定は、労働者からの前条第一項の規定による申出があった場合について準用する。この場合において、第六条第一項第一号中「一年」とあるのは「六月」と、同条第二項中「前項ただし書」とあるのは「第十六条の三第二項において準用する第六条第一項ただし書」と、「前条第一項及び第三項」とあるのは「第十六条の二第一項」と読み替えるものとする。
・・・・・」
*第六条第一項ただし書(第二号を除く。)
「ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
・・・・・
三 前二号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
・・・・・」
----------
■労働基準監督署への届出
この労使協定は届出は不要です。
●継続雇用制度の労使協定
平成18年4月、改正高年齢者雇用安定法が施行されました。
事業主は、高年齢者(65歳まで)の雇用確保義務があります。
雇用確保義務年齢の「65歳」については、年金支給開始年齢に合わせて、次のように段階的に引き上げることとなっています。
平成18年4月1日〜平成19年3月31日まで 62歳
平成19年4月1日〜平成22年3月31日まで 63歳
平成22年4月1日〜平成25年3月31日まで 64歳
平成25年4月1日 以降 65歳
----------
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律附則第4条;
「 次の表の上欄に掲げる期間における第九条第一項の規定の適用については、同項中「六十五歳」とあるのは、同表の上欄に掲げる区分に応じそれぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
平成十八年四月一日から平成十九年三月三十一日まで 六十二歳
平成十九年四月一日から平成二十二年三月三十一日まで 六十三歳
平成二十二年四月一日から平成二十五年三月三十一日まで 六十四歳
2 定年(六十五歳未満のものに限る。)の定めをしている事業主は、平成二十五年三月三十一日までの間、当該定年の引上げ、継続雇用制度の導入又は改善その他の当該高年齢者の六十五歳までの安定した雇用の確保を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」
----------
65歳未満の定年を定めている事業主は、従業員の65歳までの安定した雇用を確保するために、次のいずれかの措置をしなければなりません。
雇用確保のための65歳までの「定年延長」、希望者全員の「継続雇用制度」、「定年の定めの廃止」の3つです。
このうち、継続雇用制度を導入する企業は、対象となる高年齢者に関する基準を労使協定で定めれば、希望者全員を対象としなくてもよいとされています。
----------
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条;
「 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止
2 事業主は、当該事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、前項第二号に掲げる措置を講じたものとみなす。」
----------
企業等は、定年の引き上げ、継続雇用制度、もしくは定年の定めの廃止の制度の導入が義務化され、定年間近の者がいない場合も導入しなければなりません。
運用では、定年の廃止、定年年齢に到達した人を退職させることなく引き続き雇用する勤務延長制度、定年年齢に達した者を一旦退職させた後再び雇用する再雇用制度が行われています。
このうち、大半の企業等は、一定の基準を設定した勤務延長制度や再雇用制度などの継続雇用制度を導入しています。
継続雇用制度を採用する場合、労使協定で基準を定めることが求められています。
基準の策定は労使間の十分な協議の上で定められなければなりません。
内容については、事業主が恣意的に継続雇用を排除するものや、他の労働関連法規に反する、あるいは公序良俗に反するものは認められません。
したがって、会社が必要と認めた者に限るとか、上司の推薦がある者に限るとか、男性(女性)に限るとか、組合活動に従事していない者に限るなどは適切ではありません。
意欲、能力等をできる限り具体的に測るものであること(具体性)、必要とされる能力等が客観的に示されており、該当可能性を予見することができるものであること(客観性)、企業や上司等の主観的な選択ではなく、基準に該当するか否かを労働者が客観的に予見可能で、該当の有無について紛争を招くことのないよう配慮されたものであることが求められます。
高年齢者の安定した雇用を確保するという改正高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で決めることができます。
なお、労使協定をするため努力したにもかかわらず協議が調わないときは、平成21年3月31日まで(常時雇用する労働者数が300人以下の企業は、平成23年3月31日まで)就業規則等において対象者に係る基準を定めることができるとされています。
したがって、事業主は、まずは労働者の過半数で組織する労働組合(そのような労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者)と労使協定を結ぶため、話し合う努力をする必要があります。
数事業所を擁する企業にあっても、協定はそれぞれの事業所ごとに締結されなければなりません。
ただし、企業単位で継続雇用制度を運用しており、 各事業所ごとの過半数労働組合等のすべてが内容に同意している等の場合は、企業単位で労使協定を結ぶことを排除する趣旨ではありません。
なお、事業主が継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準を就業規則等に定めることにより制度の導入が暫定的に認められます(その期間は3年間、中小企業は5年間です)。
■労働基準監督署への届出
常時10人以上の労働者を使用する使用者が、継続雇用制度の対象者に係る基準を労使協定で定めた場合、就業規則の絶対的必要記載事項である退職に関する事項に該当します。
このため、労使協定により基準を策定した旨を就業規則に定め、就業規則の変更を管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。
(継続雇用制度の対象者に係る基準を定めた労使協定そのものは、労働基準監督署に届け出る必要はありません。)
|
|
|
|