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パート管理
パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者です。
より広く、勤め先の呼称がパートである者というとらえ方もあります。
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●経緯
これまでの雇用システムは、フルタイム正社員を中心としたいわゆる長期雇用システムでした。
正社員は、広範な配転や転勤に応ずるなどの強い拘束性を甘受する見返りとして、年功処遇や雇用保障といった安心感を手に入れてきました。
パートタイム労働者等の非正社員は、このシステムの中でいわば雇用調整の位置づけとして雇用されてきました。
業績が悪化した時には、これら非正社員の解雇や雇い止めを行うことにより、正社員の雇用をできるかぎり維持してきたのです。
しかし状況は大きく変化し、激しい国際経済環境の変化の下で、正社員の強
固な雇用保障や年功的処遇システムにも変革を迫られています。
また、仕事一辺倒ではない生き方をしたいなど、若年層の正社員の働き方は多様化しています。
今日、パート労働者は約1200万人に上り、中小企業でもパート労働者を雇用されていないところは皆無と言えます。
パートタイム労働者を雇用している理由は、主に「人件費の節約のため」、「景気変動に応じて雇用量を調節するため」などコスト要因に基づくもの、「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」、「長い営業(操業)時間に対応するため」など業務内容の特性や変化に基づくもののようです。
一方、短時間パートに現在の就業形態を選択した理由は、「自分の都合のよい時間に働けるから」、「家計の補助、学費等を得るため」、「勤務時間や労働日数が短いから」、「家庭生活や他の活動と両立しやすいから」など、時間的な自由度を積極的に評価する者が多いようです。
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●処遇
・短時間労働者も通常の労働法が適用され、さらに労働の特殊性によりさらにパート労働法が適用されます。
平成5年6月18日に、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、いわゆるパート労働法が制定されました。
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短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第76号)
「(目的) 第一条 この法律は、短時間労働者が我が国の経済社会において果たす役割の重要性にかんがみ、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図ることを目的とする。」
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事業主による雇用管理改善が法律上の努力義務として規定され、賃金等については基本指針において、就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとされました。
都道府県労働局、21
世紀職業財団等の活動を通じて、パート労働法や指針についての周知、短時間雇用管理者の選任、助成金の支給や相談援助の実施等の施策が行われています。
平成19年6月1日に、少子高齢化、労働力人口減少社会で、パート労働者が能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム労働法が改正されました。
2008年4月1日から施行され、正社員並パートの平等処遇と差別禁止が規定されました。
賃金の決め方を正社員と同じようにする、働き方に応じて賃金決定方法や教育訓練の努力義務が規定されました。
・一定の条件のパートは社会保険に加入させる必要があります。
健康保険・厚生年金
その事業所の通常の労働者の労働時間・労働日数のおおむね3/4以上勤務し、常用的な雇用関係がある場合、加入する必要があります。 雇用保険
1週間の所定労働時間が20時間以上あり、1年以上引き続き雇用されることが見込まれる場合、加入する必要があります。 なお、1週間の勤務が30時間以上になる労働者は、パートやアルバイトとしてではなく、正社員として加入することになります。
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●現状
パートのウェイトの増大に伴って、従来正社員がやってきた仕事にパート等が組み込まれ、基幹的な役割を持つ層が増大していると思われます。
パートが補助的仕事に留まっているうちはある種の安定性を持っていましたが、パートがそれなりにスキル、経験を蓄積し、基幹的な役割を担う働き方を
するようになると、企業は正社員を極力絞り、パート等非正社員で対応するという動きを強めることとなります。
しかし、パートの所定内給与を時間換算で正社員と比較すると男性で5割強、女性で7割弱の水準で、賃金の格差は拡大しているようです。
賃金(所定内給与)以外の労働条件についても、賞与・退職金制度の適用を受ける正社員は9割を超えるのに対してパートはそれぞれ4割強、1割弱等、正社員とパートの状況には大きな差があります。
パートの賃金は、一般的に補助的で代替可能な仕事を想定しているため、採用賃金も地域の相場に応じたいわゆる市場賃金の色彩が強く、その後勤続を重ねても傾向として賃金がフラットな仕組みとなっているためです。
企業にとって、パートへのシフトは短期的にはコスト削減をもたらしますが、中長期的には顧客に対するサービスや業務運営能率の面でのマイナスとなったり、責任範囲の増大等により正社員が多忙となり、部下の育成に時間が割けないため長期的な人材育成に障害が生じるという問題があるようです。
パートにとっても、基幹化により一時的労働にとどまらず職場での就労期間が長くなるにつれて賃金格差への不満は高まる傾向にあります。
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●パート女性の年金
パートとして働いていても、1日または1週間の労働時間が正社員のおおむね4分の3以上で、かつ1か月の労働日数が正社員のおおむね4分の3以上ある人は、厚生年金保険(健康保険も同じです)に加入する必要があります。
夫が会社員などで、社会保険に加入している場合、妻の年収が130万円未満だと、夫の健康保険の被扶養者となり、国民年金も第3号被保険者として加入しているはずです。
この場合、妻は年金保険料を納めなくてもよいことになっています。
しかし、働く時間が長くなると、妻も厚生年金(国民年金の第2号被保険者)の適用になり、自分で保険料を納めることとなります。
国民年金の場合、保険料を40年間払ったときの満額の年金は、現在79万2,100円で、保険料を1年多く支払えば、年金が約2万円増える計算です。
一方、厚生年金では、国民年金に加えて、給与に比例した年金がもらえます。
国民年金なら原則として65歳からの支給ですが、厚生年金の場合は、生年月日にもよりますが、1年以上働くと、60歳から報酬比例部分が支給されます。
働いている期間の手取り額も増えるので、その分、家計の支えになるといえます。
ただし、一概にどちらが有利・不利とはいえません。
なお、現在、年金制度の支え手を増やすことや、非正規労働者の老後の安定を図るために、パートヘの厚生年金適用拡大が検討されています。
現行制度では、労働時間が正社員のおおむね4分の3(週30時間)以上が厚生年金加入の条件ですが、これを20時間以上にする方向で検討されています。
●今後
このような中で、パート労働をめぐる諸問題は、ますます正社員を含めた労働市場全体に波及する問題となりつつあります。
これまでのわが国の雇用システムは、やや単純化すれば、残業や配転などの拘束性は高いが雇用保障や高い処遇に守られたフルタイム正社員グループと、自由度は高いが雇用保障が不安定で低い処遇のパートを含めた非正社員のグループという二者択一の構図が続いてきました。
しかし、働く側の意識は変化しており、もっと多様な選択肢があり、またライフステージに応じて柔軟に働き方を変えられる多元的なシステムが求められています。
・ある程度は基幹的な仕事をフルタイムや短時間で行う形態
・さまざまな働き方を納得して選択できる働きに応じた処遇
・ライフステージに応じて柔軟に行き来できる連続的仕組み
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事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針、労働省(厚生労働省)から告示がありました。
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パートタイム労働指針
(事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針)
平成 5・12・ 1労働省告示第118号
改正平成11・ 2・ 8労働省告示第 6号
改正平成12・ 4・ 3労働省告示第 44号
第1 趣旨
この指針は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第3条第1項の事業主が講ずべき適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「雇用管理の改善等」という。)のための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。
第2 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置
事業主は、短時間労働者について、労働基準法(昭和22年法律第49号)、最低賃金法(昭和34年法律第137号)、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)等の労働者保護法令を遵守するとともに、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して労働条件を定めるべきであるが、特に、次の点について適切な措置を講ずるべきである。
1 短時間労働者の適正な労働条件の確保
(1)労働条件の明示
イ 事業主は、短時間労働者に係る労働契約の締結に際し、当該短時間労働者に対して、労働基準法の定めるところにより、次に掲げる労働条件に関する事項を明らかにした文書を交付するものとする。
(イ)労働契約の期間
(ロ)就業の場所及び従事すべき業務
(ハ)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換
(ニ)賃金(ロの(ロ)に定めるものを除く。以下この(ニ)において同じ。)の決定、計算及び支払の方法並びに賃金の締切り及び支払の時期
(ホ)退職
ロ 事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に対して、次に掲げる労働条件に関する事項その他の労働条件に関する事項を明らかにした文書(雇入通知書)を交付するように努めるものとする。ただし、当該労働条件が、イにより交付する文書において、又は就業規則を交付することにより明らかにされている場合は、この限りでない。
(イ)昇給
(ロ)退職手当、臨時に支払われる賃金、賞与、一箇月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当、一箇月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当及び一箇月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当
(ハ) 所定労働日以外の日の労働の有無
(ニ)所定労働時間を超えて、又は所定労働日以外の日に労働させる程度
(ホ)安全及び衛生
(ヘ)教育訓練
(ト)休職
(2)就業規則の整備
イ 短時間労働者を含め常時10人以上の労働者を使用する事業主は、労働基準法の定めるところにより、短時間労働者に適用される就業規則を作成するものとする。
ロ 事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所に、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては短時間労働者の過半数を代表する者(ハ及びニにおいて「過半数代表者」という。)の意見を聴くように努めるものとする。
ハ 過半数代表者は、次のいずれにも該当する者とする。
(イ)労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
(ロ)就業規則の作成又は変更に係る意見を事業主から聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。
ニ 事業主は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにするものとする。
(3)労働時間
イ 事業主は、短時間労働者の労働時間及び労働日を定め、又は変更するに当たっては、当該短時間労働者の事情を十分考慮するように努めるものとする。
ロ 事業主は、短時間労働者について、できるだけ所定労働時間を超えて、又は所定労働日以外の日に労働させないように努めるものとする。
(4)年次有給休暇
事業主は、短時間労働者に対して、労働基準法の定めるところにより、別表に定める日数の年次有給休暇を与えるものとする。
(5)期間の定めのある労働契約
イ 事業主は、期間の定めのある労働契約の更新により1年を超えて引き続き使用するに至った短時間労働者について、労働契約の期間を定める場合には、当該期間をできるだけ長くするように努めるものとする。ただし、当該期間は1年(満60歳以上の短時間労働者との契約については3年)を超えないものとする。
ロ 事業主は、期間の定めのある労働契約の更新により1年を超えて引き続き短時間労働者を使用するに至った場合であって当該労働契約を更新しないときは、少なくとも30日前に更新しない旨を予告するように努めるものとする。
(6)解雇の予告
イ 事業主は、短時間労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法の定めるところにより、少なくとも30日前にその予告をするものとする。30日前に予告をしない事業主は、30日分以上の平均賃金を支払うものとする。
ロ イの予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができるものとする。
(7)退職時の証明
事業主は、短時間労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、労働基準法の定めるところにより、遅滞なくこれを交付するものとする。
(8)賃金、賞与及び退職金
事業主は、短時間労働者の賃金、賞与及び退職金については、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。
(9)健康診断
事業主は、短時間労働者に対し、労働安全衛生法の定めるところにより、次に掲げる健康診断を実施するものとする。
イ 常時使用する短時間労働者に対し、雇入れの際に行う健康診断及び1年以内ごとに1回、定期に行う健康診断
ロ 深夜業を含む業務等に常時従事する短時間労働者に対し、当該業務への配置替えの際に行う健康診断及び6月以内ごとに1回、定期に行う健康診断
ハ 一定の有害な業務に常時従事する短時間労働者に対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後定期に行う特別の項目についての健康診断
ニ その他必要な健康診断
(10)妊娠中及び出産後における措置
事業主は、妊娠中及び出産後1年以内の短時間労働者に対し、労働基準法及び雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)の定めるところにより、次に掲げる措置を講ずるものとする。
イ 産前及び産後の休業の措置
ロ 健康診査等を受けるために必要な時間の確保及び健康診査等に基づく医師等の指導事項を守ることができるようにするために必要な措置
ハ その他必要な措置
2 短時間労働者の教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善
(1)教育訓練の実施
事業主は、短時間労働者の職業能力の開発及び向上等を図るための教育訓練については、その就業の実態に応じて実施するように努めるものとする。
(2)福利厚生施設
事業主は、給食、医療、教養、文化、体育、レクリエーション等の施設の利用について、短時間労働者に対して通常の労働者と同様の取扱いをするように努めるものとする。
(3)育児休業及び介護休業に関する制度等
事業主は、短時間労働者について、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の定めるところにより、次に掲げる措置を講ずるものとする。
イ 育児休業又は介護休業に関する制度(日々雇用される者及び期間を定めて雇用される者に対するものを除く。)
ロ 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する者又は要介護状態にある家族を介護する者に対する深夜業の制限の措置(日々雇用される者に対するものを除く。)
ハ 一歳に満たない子を養育する者又は要介護状態にある家族を介護する者に対する勤務時間の短縮等の措置(日々雇用される者に対するものを除く。)
(4)雇用保険の適用
事業主は、雇用保険の被保険者に該当する短時間労働者について、雇用保険法(昭和49年法律第116号)の定めるところにより、必要な適用手続をとるものとする。
(5)高年齢者の短時間労働の促進
事業主は、短時間労働を希望する高年齢者に適当な雇用の場を提供するように努めるものとする。
(6)通常の労働者への応募機会の付与等
事業主は、通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者に対し、あらかじめ当該募集を行う旨及び当該募集の内容を周知させるとともに、当該短時間労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、これに応募する機会を優先的に与えるよう努めるものとする。
3 所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱い
事業主は、所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ短時間労働者のうち通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われているものについては、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。
4 短時間雇用管理者の選任等
(1)短時間雇用管理者の選任
事業主は、常時10人以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、短時間雇用管理者を選任し、次に掲げる業務を担当させるよう努めるものとする。
イ 本指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項について、事業主の指示に基づき必要な措置を検討し、実施すること。
ロ 短時間労働者の労働条件等に関し、短時間労働者の相談に応ずること。
(2)短時間雇用管理者の氏名の周知
事業主は、短時間雇用管理者を選任したときは、当該短時間雇用管理者の氏名を事業所の見やすい場所に掲示する等により、その雇用する短時間労働者に周知させるよう努めるものとする。
●パート・バイトの就業規則
パートタイマーも含め、常時10人以上の労働者を雇用する事業主は、就業規則を作成しなければなりません(労働基準法第89条)。
その際には、パートタイマーだけに適用する就業規則を作成してもよいし、通常の労働者の就業規則に特別な規定を設けて、パートタイマー独自の項目を追加してもかまいません。
ただし労働時間などに違いがあるため、一般の労働者と兼用する場合は、相違点について明確に定めておく必要があります。
区別がない場合は、事業所の就業規則がパートタイマーにも適用されます。
さらに就業規則は事業所の見やすい場所に掲示したり、備え付けたり、書面にして交付することも義務づけられています。
これは、誰でも必要なときに確認することができるようにするためです。
パソコンが誰でもいつでも扱える状態であるならば、フロッピーディスクなどに記録しておいたり、社内共有フォルダに置いておくのもよいでしょう。
作成した就業規則は、所轄の労働基準監督署長へ届け出なければなりません(労働基準法施行規則第49条)。
届け出には、就業規則のほかに就業規則届と意見書が必要です。
また就業規則を変更した際にも、変更届とともに意見書を届け出なければなりません。
意見書とは、労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面です。
パートタイマーにかかわる就業規則を作成したり変更したりしようとするときには、事業主はその事業所で働くパートタイマーの過半数を代表する者の意見を聴くように努めなくてはならないということです。
パートタイマーの過半数を代表する者の要件は次の二つです。
・管理または監督の地位にある者でないこと
・意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手などの方法による手続きによって選出された者であること
●パート・バイトの賃金
賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものです。
退職金や見舞金などでも、労働協約・就業規則・労働契約などであらかじめ支給条件が明らかなものは賃金となります。
賃金の支払いは、通貨で直接労働者にその全額を毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています。
賃金の種類には時間給・日給・月給の3つがありますが、パートタイマーの場合は時間給で決められる場合がほとんどです。
時間給に関しては最低賃金法により最低賃金が決められていますが、パートタイマーにも最低賃金法は適用されます。
ただし、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、臨時に支払われる賃金、賞与など、一カ月を超える期間ごとに支払われる賃金、所定時間外労働、所定休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金は、最低賃金の計算に算入されません。
パートタイマーにも手当を支給することができます。
資格手当、通勤手当、精皆勤手当など、職種や勤務体系によって、正社員と同じような処遇をすることが事業主に求められています。
労働契約時に決めた所定労働時間を超えて働いた場合、事業主は契約により時間外手当を支給しなければなりません。
法定内労働の場合は通常の時間給が払われますが、法定外の8時間を超えた場合は25%増し、休日労働は35%増しの賃金を支払わなければなりません。
深夜労働の賃金については25%増しになります。
深夜労働に該当するのは、午後10時から午前5五時までの時間における労働です。
休日労働における賃金は、法定休日労働の場合は通常の賃金の35%増しとなります。
よって、休日労働と深夜労働が重なったときに支払わなければならない賃金は次のようになります。
なお、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、臨時に支払われた賃金、1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金、住宅手当については、割増賃金の計算に入れる必要がありません。
ただし、住宅手当については、従業員に一律同額で支給されている場合は計算に含める必要があります。
●パート・バイトの賞与・退職金・昇給
パートタイム労働指針では、事業主は、短時間労働者の賃金、賞与、退職金については、その就業の賃金、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする、とされています。
東京都産業労働局のパートタイマーに関する実態調査によると、約半数近くの事業所がパートタイマーに対して何らかの賞与を支給しています。
正社員の賞与の支払日にパートタイマーにも賞与が出れば、パートタイマーの労働意欲につながります。
また退職金については、正社員の場合、一般的には3年以上勤続した場合に支給するという事業所が多いようです。
パートタイマーに対しても、勤務期間が継続して長期間になった場合には支給しているケースが多いようです。
さらに、退職金に関して就業規則に定めていなかったり、退職金という名目での支給がなかったりする場合もあります。
このようなケースでも、その職場で慣行としてパートタイマーに退職金に該当するものを支給していれば、事業主に支払義務が発生することもあります。
また、法律で定められた社外積立型の退職金制度である中小企業退職金共済制度を利用するのもよいでしょう。
これは、独力では退職金制度を設けることが困難な中小企業について、事業主の相互扶助の仕組みと国の援助によって退職金を確立し、中小企業従業員の福祉の増進を図るとともに、中小企業の振興に寄与することを目的とした制度です。
昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられました。
中退共制度を利用すれば、安全・確実・有利で、しかも管理が簡単な退職金制度が手軽に作れます。
事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付します。
その際の掛金は全額事業主負担です。
従業員が退職したときは、その従業員の請求に基づいて中小企業退職金共済事業本部から直接本人に退職金が支払われます。
なお中小企業退職金共済制度では、一週間の所定労働時間が30時間未満のパートタイマー専用の2000円〜4000円の掛金の特例が認められています。
昇給については、一般社員が通常年に一回ベースアップを実施していた場合には、継続勤務しているパートタイマーにも同様のベースアップを考慮したほうがよいでしょう。
勤続年数や成績などを勘案して支給することによって戦力アップにもつながります。
●パート・バイトと高校生
高校生をアルバイトとして採用するにあたっては、いくつかの制約があります。
・18歳未満の年少者は時間外労働・休日労働ともに禁止です。
・全業種にわたり深夜業は禁止です。
深夜業は、午後10時から午前5時までの間における業務で、労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域または期間については午後11時から午前6時までです。
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例外もあります。
満16歳以上、18歳未満の男性で交替制の場合は、午後10時から午前5時までの深夜労働に従事させることができます。
事業として交替制をとっている場合に、労働基準監督署の許可があれば、午後10時30分までと、午前5時30分からは労働させることができます。
病院・電話・農業・畜産・水産の事業が深夜業が可です。
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高校生の場合、学校がアルバイトを禁止していることも多いため、事業主は注意が必要です。
学校への親の届出や経済的な理由などの条件つきで認めているケースもありますが、この場合も酒席や深夜業をさせることはできません。
高校生アルバイトを雇う際には、学校で禁止されていないかどうかのチェックとともに、仕事内容や時間の制限についても十分注意しましょう。
児童は原則として満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで労働者として使用することはできませんが、13歳以上の児童を修学時間外に、修学時間を通算して1週40時間・1日7時間以内の範囲で使用することは、労働基準監督署の許可があれば認められています。
また、映画の製作や演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様の範囲で認められています。
●パート・バイトと教育・訓練
教育訓練は、企業や個人などが、現在または将来に渡って要求される能力を開発するための人的投資です。
一般的には職業訓練のうち仕事から切り離されたものを指し、学科、実技を含めた幅広い分野が含まれます。
教育訓練および実地訓練(OJT)は、訓練の仕上がり像や組み立てられたカリキュラムなどの計画などの目的に従い、取り合わせて行われます。
教育訓練はより基礎分野的・学術的・体系的に職業訓練を実施できる点が実地訓練との違いです。
パートタイム労働指針によると、事業主は短時間労働者の職業能力の開発及び向上等を図るための教育・訓練については、その就業の実態に応じて実施するように努めるものとする、とされています。
また労働安全衛生法でも、新たに雇い入れたときや作業内容を変更したときには、従事する業務に関する安全または衛生のための教育を行わなければなりません、としています。
採用の初めにきちんと教育・訓練することで、能力向上や事故防止にも結びつくため、事業主はパートタイマーの教育・訓練を計画的に行うことが必要です。
・採用時の口頭の説明のみでなく、マニュアルを作成して行いましょう。
誰にでも適用させることができるうえ、正確さを期すことができます。
・0JTとして、職場の上司、責任者、リーダーとともに現場で実施しましょう。
実践的・具体的指導ができます。
これらは、訓練対象者の全体のレベルを見渡しながら、バランスよく行うことが必要です。
●パート・バイトと福利厚生
福利厚生には、法定福利と法定外福利があります。
法定福利は法律により定められたもので、社会保険(健康保険、厚生年金保険)や労働保険(労災保険、雇用保険)のことをいいます。
また労働基準法上の休業補償も法定福利となります。
法定福利は法律に基づいていますので、各会社で独自に行うことはできません。
また会社の費用負担についても、社会保険料率が決まっています。
使用者負担分を軽減する対策も考えられますが、これには限界があります。
法定外福利は事業主の意志によって会社負担で行うもので、慶弔見舞金制度、被服貸与制度、慰安旅行、会社商品割引制度、住宅取得支援、社員寮の整備、文化施設や余暇施設の整備などその内容は多様です。
各会社で独自に行っていますので、会社の考え方や従業員のニーズの変化に合わせて福利厚生施策を行っていくことができます。
一般的に中小企業が、福利厚生施策を大企業並みに充実させることは困難です。
しかしどのような福利厚生に重点を置くのか、少ないコストでいかに従業員のニーズに合わせた満足感の得られる施策を行うのか、大企業にない独自の福利厚生施策も行うこともできます。
パートタイム労働指針では、事業王は、給食、医療、教養、文化、体育、レクリエーション等の施設の利用について、短時間労働者に対して通常の労働者と同様の取扱いをするように努めるものとする、とされています。
施設に関して一般の労働者とパートタイマーとで差をつけないように努力することが必要です。
とくに次に挙げる事項については、一般の労働者と同じ扱いが望ましいでしょう。
・食堂・売店の利用
・社内行事・旅行への参加
・休憩室の確保
●パート・バイトと健康診断
健康診断とは、診察および各種の検査で健康状態を評価することで健康の維持や疾患の予防・早期発見に役立てるものです。
健診・健康診査とも呼ばれます。
特定の疾患の発見を目的としたものは検診とよばれます。
学校や職場、地方公共団体で行われる法令により実施が義務付けられているものと、受診者の意思で任意に行われる場合があります。
任意に行われる健康診断は診断書の発行を目的とした一般的評価のことが多いですが、全身的に詳細な検査を行い多種の疾患の早期発見を目的としたサービスも広く普及しており、船舶のオーバーホール施設になぞらえて人間ドックと呼ばれます。
危険物・特定の化学物質などを扱う職業の従事者はそれに応じた健康診断を定期的に受けることが義務づけられており、この健康診断は重大な職業病の発生を未然に防ぐことが目的という点で一般的なものとはやや性格を異にします。
労働者の健康診断は、労働安全衛生法および労働安全衛生規則によって定められています。
費用は事業主の負担が原則です。
ただし、事業主が実施する健康診断を受けず、本人の都合により各自で受ける場合には、自己負担としてもよいことになっています。
それを行わない場合には、健康診断義務違反(労働安全衛生法66条)となり、50万円以下の罰金となります。
健康診断の結果は、本人に通知するとともに、所定様式の個人票に記録して5年間保存することが必要です。
パートタイム労働指針では、事業主は、短時間労働者に対し、労働安全衛生法の定めるところにより健康診断を実施するものとする、と定められています(第3の1の(9))。
労働安全衛生法では、常時使用する労働者を雇い入れる場合には、健康診断を実施する必要があり、雇い入れ後も1年に1回定期に健康診断を実施することが必要だとしています(第66条)。
深夜業を含む勤務または一定の有害業務に就く者については、6カ月に1回以上です。
パートタイマーの場合は、次の条件に該当したときは健康診断を受診させなければなりません。
・期間を定めずに雇われている場合
6カ月契約で更新により2年以上雇われることが予定された場合
1年以上引き続き雇われている場合
・1週間の労働時間数が、同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間数の4分の3以上である場
なお、健康診断に関しては、実施結果を労働者に通知することと、個人別に記録して、これを5年間保存する必要があります(労働安全衛生法第66条の6)。
●パート・バイトの解雇・退職
労働契約を終了させるときとしては、解雇と退職があります。
解雇とは、使用者側からの一方的な労働契約の解除をいい、雇用契約が解除されます。
普通解雇、懲戒解雇、整理解雇、反復更新後の有期労働契約の更新拒否、本採用拒否、採用内定取消などがあります。
退職とは、勤務していた会社、職務から退くこと、つまり会社を辞めることを指します。
任意退職、勧奨退職、希望退職、無断退職、契約期間の満了、休職期間満了による退職、行方不明期間経過による自然退職、定年退職、本人の死亡などがあります。
労働基準法では、労働者の国簿や信条などを理由とする解雇や、労災療養中および出勤開始後30日間の解雇、女性労働者の結婚・妊娠・産前産後休業の取得を理由とする解雇などは禁止しています。
これらにあてはまらない場合でも、事業主は労働者を自由に解雇することはできません。
パートタイム労働指針には、事業主は、短時間労働者を解雇しようとする場合においては、労働基準法の定めるところにより、少なくとも30日前にその予告をするものとする。30日前に予告をしない事業主は30日分以上の平均賃金を支払うものとする、と定められています。
また、労働基準法では解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする、とあります(労働基準法第18条の2 平成16年1月1日改正)。
これは最高裁判決で判例が確立していた解雇権濫用法理です。
さらに事業主は、労働契約を結ぶときに解雇事由がわかりやすいように文書化し、労働者に交付しなければなりません。
就業規則にも解雇事由の記載が必要です(労働基準法第89条)。
また、平成16年1月1日の労働基準法改正により、労働者は、解雇の予告をされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることになりました。
これは解雇をめぐるトラブルを防止し、迅速な解決を図るためです。
なお、有期労働契約を結ぶときには、当該契約の期間の満了後における更新の有無を明示しなければなりません(有期労働契約の締結、更新および雇止めに関する基準第14条第2項・第3項)。
一方、労働者から労働契約を終了させる退職の理由は自由です(労働基準法第5条)。
●パート・バイトと労働組合
労働組合は、雇用環境の向上などの共通の要求に基づき賃金労働者が自発的に団結して組織した団体です。
労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で賃金を支払われるものをいいます(労働基準法第9条)。
なお、労働組合法ではさらに一歩進めて、失業者も含めています。
最近ではパートタイマーの雇用が増え、従業員中に占めるパートタイマーの割合が正社員のそれを上回る企業も多くなってきました。
組合活動の活性化や、社内の一体感を強めて戦力アップを図るなどの意味でも、企業の労働組合がパートタイマーの加入を認める動きが高まってきています。
勤務先にパートタイマー独自の労働組合があれば加入することができますし、ない場合は正社員の組合に加入したり、地域の合同労組に加入して組合員になったりすることができます。
また、労働組合は二人以上の労働者が集まれば結成することができます。
そして、結成についていかなる届け出も認証も許可も必要ではありません。
ただし、法人登記を行うためには、地域の労働委員会に規約その他必要書類を提出し、労組法上の規定を満たしている証明を得る必要があります。
なお、結成については労働相談情報センター等で相談に乗っています。
事業主は、パートタイマーが労働組合を結成したことを理由にパートタイマーを解雇したり、正当な理由がないのに団体交渉を拒否したりすることはできません。
そのような場合は、不当労働行為となります(労働組合法第7条第1号〜第号)。
●パート・バイトといじめ
最近では職場でのいじめの問題も深刻です。
いじめが起きている背景には、長引く不況、雇用環境の変化、日本の企業風土などが関係しています。
不況をきっかけに、企業が過剰人員を削減するようになりました。
企業の過剰人員削減や倒産への不安で、労働者が気持ちの余裕を失ったことから人間関係に摩擦が生まれました。
雇用形態が多様化し、同じ職場で価値観や利害の異なる労働者が働くようになりました。
年功賃金から業績賃金への移行、終身雇用制度の崩壊などから、労働者間の競争が激化しました。
社風を重んじ、ものの考え方などを企業の都合に合わせることを労働者に求める日本的な体質もあります。
職場のいじめはさまざまな面に影響を及ぼします。
企業が受ける影響には、訴訟などになつた場合、企業イメージが低下すること、損害賠償により損失を被ることがあること、職場全体の生産性を低下させることなどがあげられます。
被害者が受ける影響には、名誉、プライバシーが侵害されること、退職に追い込まれることがあること、精神、身体にダメージを受けることがあることなどがあげられます。
加害者が受ける影響には、信用が失墜すること、懲戒処分を受けることがあること、損害賠償により損失を被ることがあることなどがあげられます。
当事者以外の労働者が受ける影響には、職場環境が悪化し、働きにくい職場になることなどがあります。
職場でのいじめを防止するためには、企業による会社を挙げての取り組みと、労働者自身の取り組みが必要です。
会社を挙げて取り組んでいることを示すことによって、労働者にいじめ防止への関心を持たせることができます。
従業員への無記名アンケートを実施し、いじめを見聞きした体験やいじめ問題に対する認識について尋ねます。
管理者に対する研修を実施し、職場の管理者には、問題解決・再発防止のための適切な対処を行えるようなトレーニングが必要です。
全従業員に対する啓発し、チェックリストを配布し、自分自身がいじめの当事者となっていないか注意を促しましょう。
日頃から労働者間の意思疎通をよくしておけば無用な誤解が生まれることはなくなるでしょう。
労働者がお互いの個性を尊重し合い、共に働くパートナーとして思いやる気持ちを持てば、いじめが起こることはなくなるでしょう。
いじめ防止のための取り組みをしたのにもかかわらず、いじめが起こってしまった場合、企業は職場の管理者による問題解決・再発防止の努力が求められます。
加害者に注意を与え、被害者に的確なアドバイスを与え、後遺症を残さないようにし、原因を把捉し、その解消に努め、対話の場を設けるなどが必要です。
いじめが悪質な場合は、労働者の対応と加害者への対応を行い、毅然とした態度で当事者間の人間関係改善を支援し、加害者に懲戒などの処分を行うことも考えられます。
なお、懲戒処分を行うには、あらかじめ懲戒の事由、種類、程度を就業規則に明記しておくことが必要です。
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短時間労働者対策基本方針について、厚生労働省から告示がありました。
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●短時間労働者対策基本方針
平成20年4月14日
雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課
はじめに
短時間労働者の雇用管理の改善等に関しては、平成五年に短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号。以下「法」という。)を制定し、短時間労働を労使双方にとって重要な就業形態として位置付け、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるような条件整備を図る等によりその福祉の増進を図ってきたところである。
もとより、短時間労働者の福祉の増進は、法の施行等によって確保されるだけでなく、ほかの関係法律に基づく施策等広範多岐にわたるものにより実現されるものである。これらを円滑かつ効果的に実施していくためには、短時間労働者の職業生活の動向を的確に把握した上で短時間労働対策の総合的かつ計画的な展開の方向を労使を始めとする国民全体に示し、これに沿って対策を講ずる必要があるため、法は短時間労働者対策基本方針を定めることとしている。
この基本方針は、短時間労働者の職業生活の動向についての現状と課題の分析を行い、短時間労働者の福祉の増進を図るため、短時間労働者の雇用管理の改善等を促進し、並びにその職業能力の開発及び向上を図るために講じょうとする施策等の基本となるべき事項を示すものである。
本方針の運営期間は、平成20年度から24年度までの5年間とする。
第1 短時山岡労働者の職業生活の動向
1 短時間労働者の増加と属性の変化
短時間労働者の数は長期的には増加の一途をたどっており、「労働力調査」(総務省)の非農林業短時間雇用者数(週間就業時間が35時間未満の者)で見ると、平成19年には1,346万人となり雇用者総数の24.9%を占めるに至っている。その内訳について見ると、女性が約7割を占める一方で、近年では特に男性や若年者、世帯主の増加が見られる。
短時間労働者が「パート」としての働き方を選んだ理由としては、「自分の都合のよい時間(日)に働きたいから」が50.3%、「勤務時間・日数が短いから」が38.1%を占める一方、「正社員として働ける会社がないから」とする者も23.8%おり(「平成18年パートタイム労働者総合実態調査」(厚生労働省)。以下、特に断りのない限り統計の数字については同調査による。)、自分の希望する時間に働ける働き方を求める労働者のニーズに合致した面がある一方で、正社員としての就職機会が減少して非自発的に短時間労働者となる者が増加しているという状況も存在している。
2 短時間労働者の基幹労働力化、待遇の問題の顕在化
短時間労働者の職場における役割を見てみると、基幹的役割を担う短時間労働者の増加が見られる。例えば、事業主の51.9%が「職務が正社員とほとんど同じパート労働者がいる」と回答しており、「平成13年パートタイム労働者総合実態調査」(厚生労働省)での40.7%から増加している。また、責任ある地位へパート労働者を登用している事業所10.7%に達しており、特に、飲食店、宿泊業や卸売・小売業で登用の割合が高くなっている(「平成17年パートタイム労働者実態調査」(財団法人21世紀職業財団)。以下「平成17年調査」という。)ほか、役職についているパート労働者の割合も6.9%となっている。
他方、そのような短時間労働者の待遇については、その働き・頁献に見合ったものとは必ずしもなっておらず、平成17年調査では、すべての「職務と人材活用の仕組みが正社員とはとんど同じパート」の賃金の決定方法が正社員と同じであるとした事業所は14.4%にとどまっている。また、実際の賃金水準についてもほぼ同額であるとする事業所が18.0%である一方で、6割程度以下という事業所も10.7%存在する。
3 労働力人口減少社会の到来
我が国は、平成17年から人口減少社会に転じ、将来も一層の少子化・高齢化の進行によって、本格的な人口減少社会が到来する見通しとなった。人口減少により労働力人口が大幅に減少することとなれば、経済成長の供給側の制約要因となるとともに、需要面で見ても経済成長にマイナスの影響を与えるおそれがある。
第2 短時間労働者の雇用管理の改善等を促進し、並びにその職業能力の開発及び向上その短時間労働者の福祉の増進を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項
1 短時間労働者をめぐる課題
第1で見たような動向の中で、短時間労働者をめぐっては、おおむね次の三つの課題を指摘することができる。
(1) 短時間労働者は、所定労働時間が短いことから多様な働き方となるが、その特性に見合った雇用管理となっておらず、働き・頁献にかかわらず一律の待遇とされたり、他方、個々の労働者の労働条件が就業規則のみによっては明確にならないなど、待遇が本人にとって明らかでないといった場合がある。
(2) (1)のように、短時間労働者の働き方持有の課題だけでなく、労働基準法(昭和22年法律第49号)等の基本的な労働関係法令が遵守されていない場合も依然として見られる。
(3) 正社員としての就職機会が減少して非自発的に短時間労働者となる者も増加しているが、いったん短時間労働者となると、正社員への転換等は難しく、その就業形態に固定化されるおそれがある。
なお、(1)から(3)までの課題のほか、税制や社会保障制度については、労働需要・労働供給の両面にゆがみが発生することは、労働者の就労機会や就労希望の阻害にもつながるという指摘もあり、働き方や雇用形態の選択に中立的な制度であることが求められている。
2 施策の方向性
第2の1の課題に対する今後の施策の方向性は、次のとおりである。
まず、法及び事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針(平成19年厚生労働省告示第326号。以下「指針」という。)により、短時間労働者について、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保、納得性の向上を図るとともに、社会全体として、均衡のとれた待遇の更なる確保に向けて取り組んでいくことが必要である。また、労働者に対して一般的に適用される基本的な労働者保護法令の履行確保が改めて求められる。これらによって、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるような就業環境の整備を図る。
また、短時間労働者については、通常の労働者への転換の推進やより高度な職務へのキャリアアップに向けた支援を行っていく必要があるが、現状においては、短時間労働者から通常の労働者への転換等を図ろうとしても、通常の労働者の働き方がフルタイム中心であるために、時間の制約があって短時間労働者として就業している場合には実質的に転換を選択できない場合も見られる。そこで、法の施行による通常の労働者への転換の推進とともにその支援を行うだけでなく、短時間正社員制度等、短時間労働者がより転換しやすい多様な働き方の選択肢が用意される社会の実現に向けた取組を行う。
これらにより、短時間労働者の福祉の増進が図られるだけでなく、現在は就業していない者にとっても魅力的な働き方の選択肢が提供されるようになるが、これは労働力人口減少に対する一つの対応策としても重要なものである。
国は、この方向性に沿って、短時間労働者の就業の実態を十分に踏まえつつ、その福祉の一層の増進を図るための施策を総合的に推進するものとする。
3 具体的施策(以下、省略。)
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