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賃金設計
人事考課制度とは、仕事の成果とそのプロセスを評価するもので、個人の持つ能力をどれだけ発揮したかを評価するものです。
賃金の決め方としてどの制度を採用するかで、人事制度も大きく変わってきます。
賃金の決め方には、職務の価値給と職務の成果給を中心とした職務基準賃金と、年功給・職能給などの属性基準賃金があります。
前者は職務を中心に構成され、賃金は仕事に対して決定されるのに対して、後者は属性を中心に構成され、賃金は能力や年功に対して決定されます。
人事考課は公平に、かつ厳格に行われなければならないことはいうまでもありません。
適正な人材評価によって、力のある人の努力と成果に報います。
人事考課の結果は、賞与の算定、定期昇給、昇格・昇進の決定に用いられます。
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●賃金の決め方
職務の価値給と職務の成果給を中心とした職務基準賃金と、年功給・職能給などの属性基準賃金のどちらにウェイトを置くかで大きく異なってきます。
これまでは、年功給・職能給などの属性基準賃金を採用する企業が多く、職能資格制度を基盤にしていました。
しかし、昨今、成果主義、年俸制、コンピテンシー、役割等級制度などの、職務の価値給と職務の成果給を中心とした職務基準賃金と関係の深い考え方が注目されています。
これまでの年功的な賃金・人事制度が行き詰まっていることによるものですが、これまで馴染んできた職能資格制度や役割等級制度では年功的な要素を払拭することができません。
新しい賃金・人事制度は、対極にある職務・成果主義のコンセプトから考えるのが有効ではないでしょうか。
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●1990年までに形成された制度:
(1)職務基準賃金: 職務の価値給と職務の成果給
a.職務の価値給:
・時間単位給: 使用者の一方的な決定、または習慣的な決定。パートタイマー、アルバイト、派遣社員の時給、日給プロ野球選手の年俸など
・労働協約賃金: 使用者と労働組合の団体交渉で決定
・範囲レート職務給:職務分析でグレードを設定し人事査定制度で個々に決定
・単一レート職務給:職務分析で単一ないし単一に近い賃金率を設定して決定
なお、同一労働価値同一賃金原則には、女性職務の価値を低くするバイアスがあるという見解があります。
b.職務の成果給:
・個人歩合給・個人出来高給:個人としての成果を測定します。
いまは事例が少ないようです。歩合自動車セールス、歩合不動産仲介員、歩合タクシー運転手など
・集団能率給:集団としての成果を測定します。
いまではほとんどないようです。かつての生産報奨金など。
・時間割増給:標準作業時間以内に作業したとき節約時間を割増します。欧米の工場ではまだ事例が少なくありません。
(2)属性基準賃金: 年功給・職能給など
a.無査定の年功給:当初、年齢のみを属性としましたが、その後、勤続年数が中心になりました。ほかに、学歴、性別、出身国を加えることもありました。
b.査定付き年功給:年功給に、人事査定制度を付加しました。人事査定は、性格的特徴が中心でした。
c.職能給:1970頃〜1990始まで、民間企業でもっとも普及しました。歴史的には、査定付き年功給が先行し、単一レート職務給の変容として形成されました。職務遂行能力は、潜在的な能力です。評価要素は、情意、成績、能力です。
参考:“日本の労働統計”の分類
a.属人給:
b.仕事給:職能給、職務給を含む(上記の分類からは批判あり。)
●1990年代以降の新傾向
(1)アメリカ:
a.変動給:職務の成果給の広汎な適用により、部門や個人に一時金として支払います。ボーナス(日本のボーナスとは相当異なる)、利潤分配、利益分配、報奨金、株式付与(ストックオプションなど)など
b.コンピテンス基準賃金:人に支払え職務に支払うな(日本の職務給のアレンジでしょうか)。範囲レート職務給を否定し職務グレイドの数を減らし(ブロード・バンディングといいます)、個人のコンピテンシー(行動、属性、態度)に対して支払います。
c.技能給−直接生産労働者:コンピテンス基準賃金の生産労働者版。コンピテンス基準賃金より普及しましたが、持続安定的ではありません。賃金制度というより技能訓練プログラムの色彩があります。
(2)日本:
a.年俸給:従来の職能給=月給制を否定し、職務給=年俸制としました。ただし、月給の年払いにすぎないという企業もあります。 ・職務の価値給に近いもので、コンピテンス基準賃金の模倣。コンピテンシーには、一般的性格的特徴と知識・技能の2極ありますが、日本では後者の意。 ・職務の成果給に近いもので、目標管理制度や自己申告制度の成果達成を査定者と協議する形。
b.成果主義改革: 既存の属性基準賃金の改革。 ・定期昇給の停止・廃止 ・人事査定の成績、能力へ相対的比重の変更(情意を下位へまたは廃止)。 ・扶養家族手当や住宅手当など生活関連手当の廃止。 ・ストックオプションの模倣。
c.無査定の年功給から職能給へ: 従来、形式上職務給、実質は無査定年功給だった公務員の職能給への改革。人事査定制度の導入。
d.時間単位給:非正社員の急速な量的拡大による。パートタイマー、アルバイト、派遣、嘱託、契約社員など
●よい賃金制度は
社員が会社に魅力を感じその結果仕事をする意欲を高め、会社が競争力を維持しながら事業を円滑に展開できるためのものではないでしょうか。
そのためには、次のような点を考える必要があります。
・基本給、変動賞与、ベネフィットなどがうまくバランスしていること。
・給与レベルは社員が社会生活を営むのに十分で、従業員を採用・確保するのに対外的な競争力があること。
・社員が安心して生活設計できる安定性をもつたものであること。
・社員に効果的で生産的な仕事に取り組む動機づけに役立つものであること。
・人件費負担は、会社が利益をあげ将来の事業を展開する競争力を維持できるものであること。
・給与額の違いは、仕事の難易度や責任の大きさ、発揮された能力および求められた技能やノウハウの程度を公正に反映したものであること。
・社員が、報酬制度を理解し、それが企業と従業員にとって合理的システムであると納得できること。
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●賃金設計の目的
賃金制度の目的は人的資源の確保と成果の創出にあり、職責を達成することのできる人材を創り上げることが大きな目的です。
そのためには、人材の能力を発揮させる仕組みをつくり何をすれば報われるのかを明確にすることが必要です。
つまり、仕事の成果と責任達成の評価について、物差しを明確にして納得性高く実施することが肝要です。
そして、評価基準を決め人事考課を実施し、その結果を賃金制度により公平に処遇し、結果を本人にフィードバックし、その能力を活用するために適性・能力・意欲を勘案して昇進昇格を行い、社員育成のために教育訓練を行うのです。
●職能給制度
職能給制度は、能力基準である職能資格制度と能力等級別の賃金制度をシステマティックに構築したものです。
例えて言えば、この人は年令や経験を加味して、こういう仕事はできる(可能性のある)人だからいくらいくら支払うというものです。
一般的には、年齢給+勤続給+等級別能力給 という構成になっており、生活給と能力給のバランスも加味してあるため、しくみとしては非常に合理的なものに見えます。
ある調査によれば、これまでに9割以上の企業が導入済みもしくは導入予定と回答しています。
これまでの日本のスタンダードとなっている制度といえます。
●職務給制度
しかし時代が転換期にきて、日本の人事制度を支えてきた職能給も制度疲労を起こし始めたようです。
従来から使用している年令給・経験給などによる年功序列主義人事制度は、社会全体の規制緩和の流れに合わなくなってきています。
では、どうしたらよいのかが現在問われていて、各企業で模索されている状況ではないでしょうか。
・年功給・職能給などの属性基準賃金を基本に置いて、対極にある職務の価値給と職務の成果給を中心とした職務基準賃金の考え方を加味する賃金制度
を採用するか、
・年功給・職能給などの属性基準賃金はほとんど捨て、対極にある職務の価値給と職務の成果給を中心とした職務基準賃金の考え方を採用する賃金制度
を採用するか、いずれかに集約されるのではないかと思われます。
従来から使用している年令給・経験給などによる年功序列主義人事制度は、社会全体の規制緩和の流れに合わなくなってきています。
では、どうしたらよいのかが現在問われていて、各企業で模索されている状況ではないでしょうか。
・年功給・職能給などの属性基準賃金を基本に起いて、対極にある職務の価値給と職務の成果給を中心とした職務基準賃金の考え方を加味する賃金制度 を採用するか、
・年功給・職能給などの属性基準賃金はほとんど捨て、対極にある職務の価値給と職務の成果給を中心とした職務基準賃金の考え方を採用する賃金制度 を採用するか、いずれかに集約されるのではないかと思われます。
●職務給とは
職務給とは社員が従事する職務(仕事の価値)に対して支払うもので、年齢、能力、家族等属人的要素は加味されません。
従来の年功性賃金は継続的な企業の成長と終身雇用を前提とし、本人の勤続年数、年齢、家族等の属人要素を
主体としており、職務給とその考え方は全く逆です。
元々欧米で幅広く普及している制度で、産業別労働組合、横断的労働市場を前提としています。
日本のように企業ごとに組織されている労働組合を企業別労働組合と言い、大工、運転手、金型工のような職種ごとに企業を超えて組織されている労働組合を産業別労働組合といいます。
これまでの日本のように、終身雇用を前提とし転職の少ない形態を閉鎖的労働市場といい、欧米のように労働者が自分の経歴のために転職していく形態を横断的労働市場といます。
日本のように企業別労働組合、閉鎖的労働市場の国ではなじまないものとされてきました。
しかし、今日のように中途退職、中途入社が一般化し、横断的労働市場になり、国も企業も従来のような成長が見込めない、いわゆる成熟社会においては適した賃金制度だと思います。
●本来の職務給
職務給制度は、担当職務の重要度、職務の重要性、役割の重さで、ポストに応じて賃金が変わるシステムです。
各ポストには、職務の重要性、役割の重さで、対応する年俸が示されます。
職務給制度の原型は、まず、職務分析、職務評価等を行うところから導かれます。
職務記述書は、大変、内容も明確、厳密なものを要求され、このポジションのリーダーは、これこれを職務内容とし、対応する各セクションとのやり取りはここまで行うと記述します。
アメリカのような多民族国家においては、職場の各ポジションで、職務を明確に規定することは、組織管理に必要不可欠でした。
アメリカの職場では、皆、異なる民族の文化を背負って、新天地での可能性に賭けて戦っています。
そこには、全世界から、多数の民族が集っていて、同じ民族で構成されていたこれまでの日本の職場とは違っています。
日本の職場と違い、アメリカでは、言語、文化が異なっても、同じゴールに達するような、厳格な情報を伝えねばなりません。
詳細に書かいて規定しないと、何が起こるか解らないところがあります。
人々は、そこに規定された範囲を厳格に履行し、余分なことには手を出しませんでした。
これに対して、日本の職場では、人事考課で協調性やチームワークがを重視されています。
しかし、協調性やチームワークは、職務給制度における職務範囲を曖昧にさせる項目です。
能力があってエネルギーのある人は、組織の遠くまで手を伸ばし、職務記述書では表現されていない領域にまで走って行きます。
このような職場では、職務記述書などあっても有名無実です。
●日本の職務給
日本には、アメリカのような、企業の枠を超えた、職種別組合がなく、同じ職種であっても、相場といった数値、給与決定に有効な情報が得られません。
給与は、その企業、その組織の中での、相対的に妥当な数値を求めることになります。
そこで、ポストの値段、経営層、あるいは人事部のまとめた案を外部機関、コンサルタントなどの、第三者の意見を聴くようなことが必要になります。
各ポストに年俸が決まっていますので、各人のポストを決めること自体が人事評価でもあります。
職務給制度は、ポストの評価、配置への評価、成果の評価の妥当性が問われます。
したがって、評価に求められる納得性、公開性がここでも問われることとなります。 日本的な経営を背景にした、多くが納得できる職務給制度が求められているようです。
参考例;
・自社にある職種の数を整理し決定。
・それぞれの職種の職務要件(会社が期待する能力)を決定。
・それぞれの職種を会社が必要とする能力により等級に区分。
・それぞれの職種(等級ごと)に職務要件を全て満たした時の基準賃金を決定。
・基準賃金に社員の人事考課の点数を乗じて賃金を決定。
賃金=基準賃金×考課点数
職務を規準とした賃金には、職務の価値給と職務の成果給があります。
職務の価値給には、時間単位給、労働協約賃金、範囲レート職務給、単一レート職務給などがあり、職務の成果給には、個人歩合給・個人出来高給、集団能率給、時間割増給などがあります。
昨今、成果主義、年俸制、コンピテンシー、役割等級制度などの、職務の価値給と職務の成果給を中心とした職務基準賃金と関係の深い考え方が注目されています。 ●成果主義
成果主義は、成果という、会社の業績への貢献度に応じた賃金を支払うという考え方です。
成果を出した従業員の賃金は増え、会社は収益増と双方にとってメリットがあります。
導入により、従業員の士気が高まり業績がアップする可能性があります。
ただし、成果主義は営業組織のモチベーションとモラルに大きな影響を及ぼし、成果主義の設計と運営が適切であればパフォーマンスが向上しますが、逆に問題があれば組織のエネルギーは誤った方向に向かい、市場機会の損失だけでなく優秀な人材の流出にもつながります。
成果主義賃金 成果主義賃金は、年功序列型の賃金体系の崩壊とともに最近増えてきた賃金体系です。
会社の業績への貢献度に応じた賃金を支払うという考え方で、労働者自身が目標管理制度によって個人目標を設定し、目標に対する達成度を個別に評価し、その評価に基づいて個別に賃金を決定していく制度です。
目標管理制度と結びつけて、会社が与える目標・課題の達成度によって労働者を評価し、その評価を個別賃金に反映させ、その後の昇格、昇進などの人事に対応させていきます。
成果主義においては、従来高給をもらっていた勤続年数の長い従業員でも、会社の業績への貢献度が低ければ、安い賃金しかもらえません。
逆に勤続年数の短い従業員でも、ヤル気と実力があれば、高給をもらうことができるのです。
この場合の個別賃金への反映の方法は、基本給部分に反映させたり、賞与に反映させたりと、企業によってさまざまです。
また、管理職層に年俸制を採用し、年間の報酬に反映させる企業もあります。
成果主義賃金のもとでは、使用者が労働者に仕事のやり方を細かく指示したり命令したりするのではなく、労働者自身に、最終的にどういう目標をクリアして、どういう成果を得るのかという目標を明確にさせます。
労働者が自主的に目標を設定することで、仕事に対してポジティブな思考をもって臨むことが期待できるとともに、労働者自身で仕事のマネジメントをすることが可能になるシステムであるといわれています。
成果主義賃金制度は、労働者が自主的に目標を定めるものとしていますが、実際には、労働者自身がそれぞれ自分勝手に目標を決めるわけにはいきません。
会社全体の目標管理制度が存在し、上司による面接などを通して、会社目標にそった個人目標が設定されるからです。
そのため、目標は結局、個人ごとのノルマとなる可能性すらあります。
また、1回目標を達成してもその翌年はさらに高いノルマが課せられますから、労働者には相当の精神的負担がのしかかります。
また、上層部の目から見えにくいところでは、労働者があえて目標を低めに設定し、成果を小刻みに達成していくことで、企業全体としてはかえって非効率となるケースもあるようです。
●経営との関係
日本における賃金体系は、1975年頃、それまでの年功給などの年功主義賃金から職能給などの能力主義賃金に転換し今日に至っています。
従来のいわゆる日本的経営には、賃金と仕事が結びついていないので配置転換や職種転換が容易に行え、終身雇用を前提としているので長期的に人材の育成ができるメリットがありました。
これにより、社員の雇用と生活の安定と労組関係の安定が図られてきました。
バブル経済崩壊後の平成長期不況と、少子高齢化社会の進行のもとでは、これまでの日本的経営は大きな変容をせざるをえません。
欧米的経営では、仕事の成果を基準として賃金を決定する成果主義と、社員の仕事の成果に視点をおく仕事基準の人事・賃金システムが主流です。
成果主義には、役割給や業績給があり、各人の役割の重要性や仕事の成果を勘案して賃金を決定しますので、賃金が定期的に昇給することはありませんが、成果の変動に応じて賃金が上下します。
定期昇給がなく仕事の成果が落ちれば賃金も下がりますので、人件費の柔軟性に優れ、高齢化社会に向け人件費のコストを押さえられるメリットがあります。
しかし、成果主義は仕事と賃金を結び付けていますので、異動・配置転換等が難しい、新しい技術の導入が容易でない、企業として社員を育てづらい、社員の雇用や生活が安定しないなどのデメリットもあります。
●具体的な形態
成果主義賃金は、役割給と業績給から構成されます。
役割給は、責任と権限を各人に割り振ってその役割を評価して賃金を決定するものです。
業績給は、各人ごと、各部署ごとに目標を定め、その成果を評価して賃金を決定するものです。
役割と業績は1年単位で評価する方がふさわしく、年俸制として導入することが望ましいと言われています。
演歌に運営するには、目標面接制度、役割評価制度、業績評価制度の確立が必要です。
●年俸制
年俸制は年単位で役割と業績で賃金額を決める制度です。
年俸の有効期間は1年です。
しかし、労働基準法第24条第2項で、
「賃金は毎月1回以上、一定の期日に支給しなくてはならない」
と定められていますので、年俸制であっても賃金は毎月支給しなくてはなりません。
また、法定労働時間以上労働した場合には、年俸で賃金が定められていても残業手当は支給しなくてはなりません。
次ぎのようなタイプがあります。
・月俸(基本年俸)+賞与
・基本年俸+業績年俸
・基本年俸+期末賞与
・基本年俸のみ
年俸制とは、1年単位で賃金総額を決定する賃金制度です。
賃金額を年単位で決定することと、その額を成果・業績を主たる基準として決定することに特徴があります。
最近、大手企業を中心に導入するケースが増えてきていますが、労働基準法上の制約もあるため、重要なポイントを把握しておく必要があります。
使用者が新たに年俸制を導入するということは、基本的な労働条件である賃金についての変更となりますから、対象となる労働者の個別の同意または労働協約や就業規則の変更が必要になります。
さらに、その場合、年俸制導入によって賃金が激減する労働者に対する経過措置も講じる必要があります。
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判例では、年俸制導入前の賃金総額より導入後のそれが減少したり、そうでなくとも、年俸制導入により急激かつ大幅な賃金切下げとなる労働者が出ているのに従前の賃金水準を維持する経過措置などを講じないままにしているときは、会社が深刻な経営危機状態にあるなどの場合を除いて、労働者の被る不利益が大きいとして合理的変更とは認められない可能性が強いと思われます。
・ハクスイテック事件・大阪高判平13.8.30ほか
経営不振の改善策として労働生産性をあげるために賃金制度を変更する必要があったこと、経過措置が講じられるなどして不利益が生じたとしてもさほど大きくはないこと、労働組合への説明・団交を積み重ねていることなどから、能力・成果主義型賃金体系の導入が合理的で有効とされました。
・キョーイクソフト事件・東京高判平15.4.24ほか
経営状態改善のため賃金体系変更の必要はあるが、緩和措置もとられないなど、中高年齢層の不利益は大きく、改訂手続に多数労働者の意見が反映していないことから、業績重視型の賃金体系導入が合理性を欠き無効とされました。
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年俸制では、具体的な賃金額の決定が労働者の成果や業績の評価に大きく依存するため、その評価が公正に行われるかどうかが重要となります。
明確で具体的な目標が設定されているか、目標達成評価の基準が開示され恣意的でない評価が行われているか、評価理由の説明や苦情処理など労働者の納得を得るための手続きは整っているか、などの点が重要です。
業績評価の基準や評価の具体的な運用の公正性について評価する者とされる者との間に見解の相違が生じ、労使紛争の種になる場合もあります。
1年単位で賃金総額が決まるとはいっても、給与支払いの5原則は守らなければなりません。
賃金を最低月1回、定期に支払わなければならないのです。
たとえば、年俸額を12で割った額を毎月支給したり、14で割った額を毎月支給し、年2回のボーナス時に支給したりするのが一般的な方法です。
また、年俸制であっても通勤手当などは別に支払われます。
通常の賃金は、労働時間に対応したものとして支払われるというものです。
しかし、年俸制は、労働者の業績などを年単位で評価したうえで、賃金を設定するという性質のものです。
そのため、年俸制では、時間外労働の割増賃金を支払う必要がないと勘違いしている使用者が少なくありませんが、これは誤りです。
一般労働者に年俸制を採用する場合でも、時間外・休日・深夜労働に対しては割増賃金の支払いが必要です。
ただし、管理監督者に該当して労働時間の規制が適用除外となる場合、裁量労働や事業場外労働についての「みなし時間制」の適用を受ける場合のように、一定の要件のもとでは割増賃金が不要となります。
・年俸制の導入
労働者の同意、労働協約や就業規則の変更が必要です。
賃金が減る場合には、経過措置の定めも必要です。
・賃金の支払方法
賃金支払5原則の1つである「毎月1回以上払いの原則」や「一定期日払いの原則」にしたがわなければなりません。
・割増賃金の支払い
時間外労働(25%増し)、休日労働(35%増し)、深夜労働(25%増し)に対しては、割増賃金の支払いが必要です(原則)。
割増賃金は、年俸額を12で割って毎月の額を計算し、これを1ヶ月の平均労動時間数で割って時間単価を計算した上で計算します。
算定基礎期間は1年間で、業績・能力が重視されます。定期昇給なく、減額があります。
通常は、年棒の総額を12で割ったものが、月毎に支給されます。
総額を17で割って、年2回のボーナス月に、2か月分・3か月分を支給するなどという場合もあります。
また、ボーナスについては、この年棒とは別に支給される場合もあります。
年俸制にすることにより、人件費の予算化して成果によって分配することが容易になります。
メリットは、経営者意識を醸成でき、社員の活性化をはかり、業績目標達成がはかれ、優秀な人材の確保が可能になり、賃金管理が簡素化でき、公正な評価に役立つ点です。
これは企業にとっては大きなメリットですが、成果主義は高い成果をあげた社員が高給をもらうシステムのため、成果が低い社員にとっては賃下げになります。
デメリットは、年俸額が減額したときのモラール・ダウン、収入が不安定になることに対する危機感と生活スタイル変更の必要性、結果重視、短期的視野での行動をとりがち、評価の信頼性と決定プロセスに手間などです。
●働き方
従業員にとって、働き方は今までと変わりません。
給与も毎月年俸を分割されて支払っています。
労働者が途中で辞めることによる違約金支払はまずありません。
労働基準法で、月一回以上の賃金支払義務や、違約金予定の禁止が定められています。
遅刻や欠勤をしたら控除もされます。
年俸額を17分割して、2か月分づつを夏と冬のボーナスにしている会社もあり、いままでの月給制と全く変わらない制度です。
●再検討
兼用すべき課題はいろいろあります。
・評価基準の明確化
・年俸制適用の対象者
・時間外手当
・年俸制の種類
・年俸のアップ・ダウンの上限・下限
・ダウンが続いた場合の最低保障
・年俸のアップ・ダウンの方式
・短期的な目標と中長期的な計画とのかねあい
・人材の育成
・賞与のあり方
・退職金の算定基準
・個別交渉の時間、方法、時期
・変形労働時間制、裁量労働制、みなし労働の導入
・自己申告制
・売上・契約高のオープン化
・評価に対して納得がいかない場合
・年俸制導入の目的(人件費削減、ノルマ強化→×)
・適用者の最低年俸額
●就業規則
年棒制を導入するには、就業規則の変更が必要となります。
賃金の決定、計算、支払方法などを明記しなければなりません。
それらが労働基準法(92条、93条)より低い基準の場合は、その部分は無効となります。
たとえば、会社は年俸制にしても労働基準法37条の割増賃金を支払う義務があります。
年俸制における事業主の最大のメリットとしては、残業代などの時間外手当を支払う必要が無いというのは誤りで、残業代を支払わなてもよいのは、管理監督者ある者に対してのみで、一般社員に対しては、残業代を支払わなければなりません。
仮に、会社が「残業代は支給しない」という内部規定を作ったとしても、その規定は無効です。
これに違反した企業には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
年俸制の総額に残業代を含めて計算し支給する場合は違法ではないとされています(平成12年基収78号)が、残業代は法律で定める割増(時間外25%以上、深夜25%以上など)が必要で、それより少ない場合は差額を毎月の賃金の中で調整して支払わねばなりません。
●高年齢者雇用安定法
平成18年4月より施行されている高年齢者雇用安定法では、多くの企業等で60歳で定年となる従業員に対して、企業がとるべき雇用確保の方法として、
・定年制の廃止
・継続雇用制度の導入
・定年年齢の引き上げ
のうち、いずれかを選択し、雇用を確保しなければならないことになりました。
継続雇用制度の導入や定年年齢の引き上げでは、人事制度の一貫性を保つために、従来とってきた賃金制度との連続性を維持することを考慮する必要があります。
年功的な賃金制度を採用している会社の場合は、高年齢者の賃金が相対的に高くなっているため、定年をそのまま延長する方法では、会社の人件費負担が過大になるおそれがあります。
継続雇用制度を導入すれば定年までの従来の賃金・処遇関係をいったん断ち切れますので、新たな労働条件を設定して再雇用が可能になります。
たとえば、嘱託として雇用するなどの方法です。
この関係で、企業では、定年制の廃止はまだ少なく、継続雇用制度の導入か定年年齢の引き上げを選択しているケースが多いようです。
●企業等の対応
当面、継続雇用制度によって対応する年齢層には、報酬比例部分だけの年金が支給されます。
そのため、再雇用制度によるフルタイム勤務を採る企業等より、在職老齢年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付を活用した賃金設計を取り入れるパターンが多いと思われます。
ただし、会社の実態や考え方によって公的給付を無視したやり方もあります。
また、年金を満額受給させるために労働時間や日数を一定以下に抑えるとか、いろいろな対応の仕方もあります。
●在職老齢年金
在職老齢年金の支給停止の計算基準には、平成16年3月までは標準報酬月額だけが用いられてきましたが、4月より総報酬制が導入され、過去1年間の賞与額も組み入れられ、計算されることになりました。
したがって、59歳時の支給賞与額が、60歳時の年金受給額に影響します。
また、60歳以降に支給される賞与の支給月と支給額が、61歳以降の年金受給額に影響します。
平成17年4月より、年金の一律2割カットがなくなりました。
高年齢雇用継続給付金を受給すると、さらに在職老齢年金が減額されます。
●高年齢雇用継続給付金
60歳以降の賃金月額が、60歳到達時の賃金の一定割合以下であれば、雇用保険から高年齢雇用継続給付金が支給されます。
この場合の60歳到達時の賃金額には、上限額(平成17年8月以降翌年7月まで、452,100円)が設定され、毎年この金額が改定されていきますので、この改定によって高年齢雇用継続給付金の金額も変わってきます。
●高年齢者の賃金設計
定年後は嘱託として再雇用され、同一の職場で同一の仕事に同一の労働時間従事し、賃金は定年前の4割〜8割となり、過半数以上の職場で在職老齢年金と高年齢雇用継続給付を考慮した賃金設計が行われることになります。
・在職老齢年金と高年齢雇用継続給付金を多くもらう仕組みを作ることは、会社の賃金コストの低減につながるため、できるだけ多くもらえるような仕組みを作ります。
・60歳以降の賃金は60歳到達時の賃金の一定割合以下に誘導されることが多く、この範囲内で上手な賃金決定のルールを構築する必要があります。
・60歳以降の賞与は年金受給額に影響を与えるため支給しない方向で検討しますが、仕事へのモチベーションが低下することを考慮に入れる必要があります。
・60歳以降の賃金が低下することによって、災害・傷病補償面で従来と比べ補償金額が減少することが多いと思われますので、60歳以降、別途功労退職金を支給するとか、上乗せ傷害保険に加入することなどで、補填することも考える必要がありそうです。
●退職金とは
法律上は事業主と労働者との間で何の取り決めもなければ、退職金を支払わなければならなくてよいことになっています。
しかし、いったん就業規則等で退職金制度を導入すると、事業主は規定どおりの退職金を支払わなければならなくなります。
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労働基準法第89条;
第3項の2項に規程があります。
「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。 一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項 二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の
時期並びに昇給に関する事項 三 退職に関する事項 三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項 四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項 五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項 六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項 七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項 八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項 九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項 十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」(昭44法64・昭62法99・平10法112・一部改正)
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退職金規定を設けると、退職金も賃金債権になります。
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次の通達があります。
「退職金、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付は、原則として賃金とみなさない。ただし、退職金、結婚祝金等であって、労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件の明確なものはこの限りでない。」
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したがって、退職金を減額したり、あるいは退職金制度そのものを廃止してしまうことは、労働者にとって不利益な労働条件の変更に該当し、原則的には全ての労働者の同意がないとできないことになっています。
●積立方法
退職金の支払いを準備しておく積立方法には、社内積立方法と社外積立方法の二つがあります。
・社内積立方法は、退職金の支給原資を社内で積み立てる方法です。
この場合、会社は退職金を現預金や借入金でまかないます。
この方法には、従来は退職給与引当金制度という税制上の優遇措置があったのですが、平成14年3月で廃止になりました。
過去に退職給与引当金として計上していた金額を、大法人は4年間で、中小法人は10年間で取り崩さなければならなくなりました。
この期間、現金収入のない益金が発生するということになりました。
・社外積立方法は、退職金の支払い原資を社外で積立てる方法です。
税制適格退職年金(いわゆる適年)
適格年金は平成24年に廃止されます。
それまでの間に他の制度に移換あるいは解約しなければなりません。
厚生年金基金
確定給付企業年金
確定拠出企業年金
中小企業退職金共済(いわゆる中退共)
特定退職金共済
の6つがあります。
また、半額損金扱いの生命保険を利用するという方法もあります。
前4者は年金、残りは一時金です。
また、退職を支給事由にするものと、老齢を支給事由にするものに分けることができます。
●支払い
賃金債権であれば通貨で、直接、全額払いとなります。
ただし、一定の場合には異なった支払い方法が許されています。
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労働基準法第24条第1項; 「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」
厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合;
○賃金又は退職手当の支払いについて(則7条の2、1項2項)
労働者の同意を得た場合には
(イ)
当該労働者が指定する銀行その他金融機関に対する当該労働者の預金若しくは貯金への振込
(ロ)
労働者が指定する証券会社に対する当該労働者の預かり金(一定の要件を満たすものに限る)への振込
「同意」とは、労働者の意思に基づくものである限りその形式は問わないものであり、「指定」とは、労働者が賃金の振込対照として銀行その他の金融機関に対する当該労働者本人名義の預貯金口座を指定する意味であって、この指定が行われれば同項の同意が特段の事情のない限り得られているものであるとされています。
また、「振込」とは、振り込まれた賃金の全額が所定の賃金支払日に払い出し得るように行われることを要します。(昭和63年基発1号) ○退職手当の支払いについて(則7条の2、2項)
労働者の同意を得た場合には、前記の方法による他に以下の方法によることができます。
(イ)銀行その他の金融機関によって振り出された小切手の交付
(ロ)銀行その他の金融機関が支払保証をした小切手の交付
(ハ)郵便為替の交付
「同意」については、労働者の意思に基づくものである限り、その形式は問いません。
「その他の金融機関」とは、小切手法の適用につき銀行と同視されるものを言います。
「郵便為替」には、普通為替、電信為替及び定額小為替があります(昭和63年基発1号)。
●問題点
現在の退職金制度には、次のような問題点があります。
・
極端な右肩上がりになっていて従業員の高齢化に対応できない
・
自己都合退職係数がきつく定年まで辞めるなということになるが、そんな時代ではない
・
基本給を基礎給にしているが将来の退職金がいくらになるのか予測がつかない
・
貢献度を反映していないため勤務年数で大きく左右され、在職中の貢献度が反映されていない
退職金制度(支払方法)の見直しと、退職金準備(積立方法)の見直しが必要ではないでしょうか。
退職時の基本給に勤続年数に対して二次曲線的に増加する係数を乗じて退職金を計算する方式を採用している企業が7割強を占めています。
退職金に在籍中の功労報奨の意味を持たせるのであれば、この退職時基本給連動方式は導入すべきではありません。
●賃金改定
賃金改定とは、定期昇給・ベースアップ(ベア)・賃金カット等名称に関係なく個々の企業において、大部分の常用労働者の所定内賃金額を引き上げ、または引き下げることをいいます
たとえば、
組合要求内容 2,000円
に対して、
一人平均改定額 500円
を行うというものです。
これを原資にして、次のような固定的賃金が改定されます。
・
昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
・ 給与体系の変更(例:日給から月給への変更)
・
時間給や日給の基礎単価の変更
・ 歩合給などの単価・歩合率の変更
・ 家族手当、住宅手当、役職手当などの固定的手当の変更
●定時決定と随時改定
社会保険では、被保険者の標準報酬月額は、資格取得時(通常は入社時)に決定されますが、それぞれ昇給があったり、手当に変動があったりするのが一般的です。
そこで、1年に一度各被保険者の標準報酬月額を実際の報酬(給与)と見合ったものにするため、標準報酬の改定が行われます。
これを定時決定といい、毎年4、5、6月の3か月の報酬の平均をとり決定されます。
この時決定された標準報酬月額は、その年の9月より改定され、実際は9月分の保険料(10月給与控除)より変更され、原則的には翌年の8月まで適用されます。
7月1日現在の被保険者全員が対象となります。
ただし、6月1日より7月1日までの間に被保険者となった人及び7月より9月までのいずれかの月から随時改定を行なわれる人については定時決定は行なわれません。
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また、被保険者の標準報酬月額は資格取得時(通常は入社時)、または年に一度の定時決定で決定もしくは改定されますが、報酬が昇給または降給により著しく変動したときは、次の定時決定を待たずに標準報酬月額が改定されます。
これを随時改定といいます。
随時改定は、報酬(固定的賃金)に著しい変動があった月(変動月)以後の3か月の平均を計算した結果2等級以上の変動があり、かつ変動月からの3か月のすべての月において、支払基礎日数が20日以上あった場合に適用されます。
標準報酬月額の改定は、4か月目からとなり、1月〜6月の改定の場合はその年の8月まで、7月〜12月の改定の場合は翌年の8月まで適用されます。
対象者は昇給・降給などで固定的賃金に変動があり、変動月からの3か月間に支払われた報酬の平均に該当する標準報酬が従前のものと比べて2等級以上の差が生じた場合で、各月の支払基礎日数が20日以上ある人です。
なお、固定的賃金が上がったのに、時間外手当などの非固定的賃金が減ったために、標準報酬が2等級以上下がった場合には、随時改定の対象にはなりません。
また、固定的賃金が下がったのに、非固定的賃金の増加で逆に標準報酬が2等級以上上がった場合も同様に随時改定の対象にはなりません。
●賃金改定の方向性
もう1つ、賃金体系そのものを改定することがあります。
この場合の方向性には、次のようなものがあります。
・年功給制を→職能給制へ
・職能給制を→職務給制へ
・職能給制を→年俸制へ
・職能給制を→成果主義賃金へ
などです。
賃金制度改定は従業員の不安も大きいものです。
従業員の方々に新賃金体系への理解を深めてもらう意味でも、移行は2〜3年をかけて段階的に行うのがよいでしょう。
・1年目は、給与新制度への準備期間として新しい人事考課表を配布します。
人事評価の予行演習を行い、評価は出すが給与に反映しないとします。
夏期・冬期賞与については、賞与の20%程度を評価により決定します。
・2年目は、給与の昇格・昇給を査定し、従来の定期昇給を廃止します。
給与の10%〜20%、賞与の30〜50%を評価により決定します。
給与・賞与のどれくらいの割合を評価によって決定するか、会社の実情によって変動させます。
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