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雇用・人事・労務・その他・業務

健康保険の概要

●健康保険とは

 病気やケガをしたときの医療費の負担を軽くするため、1年以上日本に滞在する人は、健康保険等の医療保険に加入することになっています。

 加入者には「保険証」が付与され、保険税の支払いが必要になります。

 診療を受ける際に、病院の受付で「保険証」を出すと、一部を支払うだけで治療を受ける事ができます。

 医療保険が適用されない場合があり、それは、妊娠、出産、健康診断、予防接種などです。

 日本の医療保険制度は、職域によって加入する制度が異なります。

 大きく分けると、農業や自営業を営む人たちが加入する「国民健康保険」と、会社や工場、商店などで働く人が加入する「健康保険」になります。

 わが国の医療保険制度には、職域・地域、年齢(高齢・老齢)に応じていくつかの種類があります。

●保険者

 健康保険事業を運営するために保険料を徴収したり、保険給付を行ったりする運営主体のことです。

 健康保険の保険者には、全国健康保険協会と健康保険組合の2種類があります。

1.全国健康保険協会

 全国健康保険協会は、政府管掌健康保険(政管健保)を引き継ぐため2008年10月1日に設立された全国単位の公共法人です。

 本部は東京・市ヶ谷に置かれ、都道府県ごとに支部が置かれています。

 民間企業に働くサラリーマン(従業員)のうち、勤務先が健康保険組合に加入していない場合、国民皆保険の原則から、被用者は政府管掌健康保険(政管健保)に加入することになります。

 2007年(平成19年)の厚生労働白書によれば、2006年3月時点で約3565万人が政管健保に加入しています。

 被用者のほとんどは健保組合を持たない中小企業の従業員や家族です。

 近年の高齢化に伴う拠出金の増加で、健保組合の財政が苦しくなっているため、組合を解散して政管健保に移行するケースが発生しています。

 保険に関する各種事務手続きは、勤務先を通じて会社(事業所)の場所を管轄している社会保険事務所が窓口となっていました。

 一連の医療保険制度の改革や、社会保険庁の諸問題発覚による廃止・解体などから、2008年10月より政府管掌健康保険は国を離れ、全国健康保険協会による全国健康保険協会管掌健康保険(愛称「協会けんぽ」)に移管されました。

 ただし、被保険者資格の取得・喪失、保険料の納付などに関する手続(任意継続被保険者に関することを除く)は引き続き社会保険事務所が窓口となっています。

 医療機関で受診された場合の自己負担の割合や高額な医療費の場合の負担の限度額、傷病手当金などの現金給付の金額や要件など、健康保険の給付の内容は、協会設立後もこれまでと変わりません。

 また、被保険者証については、平成20年10月以降順次、新たな被保険者証への切替えが行われますが、切替えが完了するまで現在の被保険者証は引き続き医療機関等で使用できます。

2.健康保険組合

 健康保険組合は、その組合員である被保険者の健康保険を管掌しています。

 これを組合管掌健康保険といい、単一の企業で設立する組合、同種同業の企業が合同で設立する組合などがあります。

 組合を設立するためには、一定数以上の被保険者があって、かつ、組合員となる被保険者の半数以上の同意を得て規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けることが必要です。

 組合は、健康保険法で定められた保険給付(法定給付)や保健福祉事業を行うほか、一定の範囲で附加給付を行うことができるなど、自主的な事業の運営を行うことができます。

●適用事業所

 健康保険では、事業所を単位に適用されます。

 健康保険の適用を受ける事業所を適用事業所といい、法律によって加入が義務づけられている強制適用事業所と、任意で加入する任意適用事業所の2種類があります。

1.強制適用事業所

 次のいずれかに該当する事業所(事務所を含む、以下同じ)で、法律により、事業主や従業員の意思に関係なく、健康保険・厚生年金保険への加入が定められています。

・次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所

 製造業
 土木建築業
 鉱業
 電気ガス事業
 運送業
 清掃業
 物品販売業
 金融保険業
 保管賃貸業
 媒介周旋業
 集金案内広告業
 教育研究調査業
 医療保健業n通信報道業など

・国又は法人の事業所

 常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所

2.任意適用事業所

 強制適用事業所とならない事業所で社会保険事務所長等の認可を受け健康保険・厚生年金保険の適用となる事業所のことです。

 事業所で働く半数以上の人が適用事業所となることに同意し、事業主が申請して社会保険事務所長等の認可を受けると適用事業所になることができ、働いている人は全員〔被保険者から除外される人を除く〕が加入することになります。

 適用事業所になると、保険給付や保険料などは、強制適用事業所と同じ扱いになります。

 また、被保険者の4分の3以上の人が適用事業所の脱退に同意した場合には、事業主が申請して社会保険事務所長等の認可を受け適用事業所を脱退することができます。

●被保険者

 正社員は問題ないとして、パートタイマーをどう扱うかは、一般に次の2つの条件から判断されます。

・1日の所定労働時間が一般社員の4分の3以上あるか

・1ヶ月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上あるか

これら2つの条件を満たせば、被保険者になります。

 会社などを退職して被保険者の資格を失ったときは、一定の条件のもとに個人の希望により被保険者として継続することができます。

 任意継続被保険者となるためには、

 被保険者でなくなった日までに、継続して2か月以上の被保険者期間があること。

 被保険者でなくなった日から20日以内に被保険者になるための届出(ただし、20日以内に届出ができなくても、保険者が届出遅延に対し正当な理由(天災地変、交通・通信関係のスト等)があったと認めればよい)

をすることが必要です。

 任意継続被保険者となれる期間は、2年間です。

●被扶養者

 健康保険では 被保険者だけでなく、被保険者の扶養する家族に対しても保険給付がなされます。

 被扶養者の範囲は、一定範囲の親族である事や被保険者の収入による生計維持関係、同居の有無が大きな判断基準となります。

・被扶養者の所得が130万以上の場合は被扶養者になれません。

・被扶養者の所得が130万未満だが、労働時間・日数が正社員の4分の3以上ある場合も被扶養者になれません。

・配偶者等が退職し、失業給付を受けている間は 被扶養者になれません。

●保険料

 標準報酬月額の1000分の85です。

 40歳以上65歳未満の被保険者は介護保険料を徴収されるので1000分の95.7です。

 健康保険では、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額と3月を超える期間の賞与から千円未満を切り捨てた標準賞与額(200万円が上限)を設定し、保険料の額や保険給付の額を計算します。

 標準報酬月額を決める場合にそのもととなる報酬は、賃金、給料、俸給、手当、賞与、その他どんな名称であっても、被保険者が労務の対償として受けるものすべてを含みます。

 ただし、大入り袋や見舞金のような臨時に受けるものや、年3回以下の賞与は含まれません。

 標準報酬月額は、第1級の9万8千円から、第39級の98万円までの39等級に区分されています。

 また、標準報酬月額の上限該当者が、3月31日現在で全被保険者の3%をこえたときは、政令でその年の9月1日から一定範囲で標準報酬月額の上限を改定することができることになっています。

 これを事業主と本人が折半して負担します。

 ボーナスからも、1000分の3の被保険者負担があります。

●給付

1.療養の給付

 健康保険の被保険者が業務外の病気・怪我(私傷病と言います)をしたとき、保険医療機関で治療を受けたり薬を調剤してもらうことです。

 療養の給付は病気や怪我に対する給付を目的にしていますので、病気とみなされない人間ドック・健康診断・正常分娩などは保険給付の対象外とされます。

 一部負担金は、現在、被保険者・被扶養者とも3割負担となりました。

2.高額療養費

 高額療養費は自己負担(一部負担金の累計)が高額になった場合、一定の額を超える分について支給されます。

・家族ひとり一人について「同一月内・同一医療機関・同一の診療(病気・怪我)」に対する自己負担額。

・家族全員分について上記の計算対象自己負担額を合算して、次の金額以上であれば適応されます。

 一般世帯 \ 72,300 (医療費全体が \ 241,000 を超えた場合は、さらに超えた分の 1% を足す)以上有った場合

 住民税非課税世帯 \ 35,400

 上位所得者 \ 139,800 (医療費全体が \ 466,000 を超えた場合は、さらに超えた分の 1% を足す /上位所得者とは、標準報酬額が56万以上の所得者)以上有った場合

 *頻繁に改訂されていますので、注意してください。

3.高額療養費貸付制度

 高額療養費は、申請から支払いを受けるまで3ヶ月ほどかかります。

 そこで、病院への支払い費用を保険者(国や共済組合)が貸し付ける制度が高額療養費貸付制度です。

 借り入れできる金額=(予定自己負担見積り額 − 高額療養自己負担限度額)の8割

 無利息です。

4.療養費の給付

 海外旅行の旅先で治療を受けたなど、やむを得ない事情で医療費を立て替え払いし、後日保険者から診療に要した費用の払い戻しを受けることです。

・山間部などで、近くに保険医療機関が無く、やむを得ず保険を扱わない病院で診療を受けた時

・はり、灸などの治療を医師の同意を得てうけ、保険者(国など)が認めた時

・コルセットなどの治療用装具代

・海外で医療を受けた時など

5.傷病手当金

 私傷病(仕事と無関係な病気や怪我)のため働く事ができず、会社を休まなければならなくなった時、生活の安定を図るために給付されます。

・病気や怪我のため療養していること

・病気や怪我のため会社を欠勤し、報酬の全部または一部が支払われていないこと

・連続した3日間まったく出勤できない日が経過していること(4日目分から支給されます)

これらの要件を満たすと、最大 1年6ヶ月の間、標準報酬日額の6割が1日単位で計算され支給されます。

6.出産育児手当金・出産手当金

 出産育児手当金は、被保険者が妊娠85日以上で分娩したとき、1児ごとに300,000円が支給されます。

 また、家族(被扶養者)が分娩したときは、家族出産育児一時金(同額)が支給されます。

 出産手当金は、出産で仕事を休み報酬をもらえないとき、産前42日(多胎妊娠98日)から産後56日までの期間、欠勤 1日につき標準報酬日額の6割が支給されます。

 会社を退職後、6ヶ月以内の出産についても出産手当金の支給対象になります。

7.看護料・移送費

 手術をした時や重傷のときに付き添い看護が必要がと医師が認め、一定の条件を満たす時は看護料が支給されます。

 ただし、申請書を事前に提出し、保険者(国など)の事前承認が必要です。

 重症で歩行が困難な時に 入院治療や転院をしなければならない場合、移送に要した費用が移送費として支給されます。

8.入院時食事療養費

 入院時に食事の提供をうけたときは、医療費の自己負担額(本人・家族とも医療費の3割)とは別に1日(3食)につき780円(標準負担額という)を負担します。

 この標準負担額は、本人・家族とも同額で、高額療養費の対象にはなりません。

 ※市区町村民税の非課税世帯など低所得世帯の人は1日650円(入院期間が1年間に90日を超えた場合500円)、低所得世帯などの老齢福祉年金受受給権者は1日300円です。

9.訪問看護医療費・家族訪問看護療養費

 自宅で継続して療養する必要がある末期がん・難病患者が訪問看護サービスをうけた場合、訪問看護費用のうち、本人の場合8割、被扶養者の場合7割が給付されます。

10.特定療養費

 特定の大学病院などで高度先進医療をうけたとき、一般病院で選定医療をうけたときは、一般治療と共通する基礎部分が特定療養費として給付されます。

11.埋葬料・家族埋葬料・埋葬費

 被保険者が死亡した場合、その被保険者の収入により生計を賄われていた方で、埋葬を行う立場にある方に埋葬料が支給されます。

 埋葬料は標準報酬月額の1ヶ月分(最低保証100,000円)です。

 被扶養者が死亡した場合は、家族埋葬料として 100,000円が支給されます。

 埋葬料を受ける方がいない場合で、家族以外の人が埋葬を行った場合は、埋葬費として埋葬に要した実費が支給されます。

12.給付制限

 故意の犯罪行為など制度の趣旨に反するような恐れがあるときは、社会保険の公共性の見地から一定の条件のもとに給付の全部又は一部について制限を行うこととなっています。

 また、給付を行うことが事実上困難な場合とか他の制度から同様の給付が行われた場合の調整的な意味あいでの給付制限もあります。

 次のような場合に保険給付の制限または調整が行われます。

・故意の犯罪行為又は故意に事故をおこしたとき

・けんか、よっぱらいなど著しい不行跡により事故をおこしたとき

・正当な理由がなく医師の指導に従わなかったり保険者の指示による診断を拒んだとき

・詐欺その他不正な行為で保険給付を受けたとき、又は受けようとしたとき

・正当な理由がないのに保険者の文書の提出命令や質問に応じないとき

・感染症予防法等他の法律によって、国又は地方公共団体が負担する療養の給付等があったとき

●保険が利くもの利かないもの

 被保険者や被扶養者が病気やケガをしたときは、被保険者証(健康保険証)を医療機関に提出することで治療が受けられます。

 この点は、健康保険も国民健康保険も同じしくみなので心配ありません。

 会社の健康保険なら保険がきく治療なのに、国民健康保険だと保険がきかない、といった不公平はありません。

 ただし、傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、埋葬料などの現金給付については、国民健康保険の場合、市区町村役場の任意給付になっているため、市区町村役場によって内容が異なります。

▼保険のきく医療サービス

・診察

 病気やケガなど体に異常があった場合の診療や診察に必要な検査が受けられます。

・薬剤・治療材料の支給

 治療に必要な薬が支給されます。

 ただし、厚生労働大臣が定める「薬価基準」に収載されている薬にかぎられています。

 また、医師から処方箋を交付してもらったときは、保険薬局で調剤してもらいます。

・処置・手術、その他の治療

 処置・手術(麻酔を含む)のほか、注射、放射線治療、精神科専門療法、慢性疾患の療養指導なども受けられます。

・居宅での療養上の管理、居宅での看護

 医師が必要と認めれば、在宅自己注射などの在宅療養の管理が受けられます。

 また、在宅のガン患者や寝たきり患者への療養指導や、通院が困難な患者への看護師などによる訪問着護・指導なども行なわれます。

・入院、入院時の看護

 医師が認めた場合の入院医療と看護が受けられます。

 ただし、入院中の食事は標準負担額が決まっていて、その部分は自己負担となります。

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▼保険のきかない医療サービス

・単なる疲労や倦怠、正常な妊娠や出産、経済上の理由による妊娠中絶

・美容整形、近眼の手術、先天的な皮膚の病気、健康診断

・予防注射(例外あり)など

●混合珍療の扱い

 混合診療とは、一連の治療のうち、健康保険でまかなえる部分は保険で、保険がきかない部分は自費負担で治療することです。

 混合診療は、健康保険では、原則として認められていません。

 初診から治療の終了に至る一連の診療行為のなかに、保険のきく診療行為と保険がきかない診療を混在させてはならないというルールがあります。

 もし、健康保険の範囲内の診療と範囲を超えた診療が同時に行なわれたときは、病院側は範囲を超えた診療に関する費用を患者から徴収することはできないのです。

 かりに患者から費用を徴収したときは、一連の診療は自由診療とみなされ、保険がきく部分も含めて全額、患者負担となります。

 これまでは、保険が使える診療を重視し、ここに患者の自費診療を交えることを認めてこなかったわけですが、現代では、併用の必要なケースが生じることがあります。

 たとえば、高度先進医療では、保険がきかない高度な医療接術部分だけを患者の全額自己負担とし、その他の検査などには健康保険を適用するしくみです。

 現行制度では、混合診療は限定的に認められ、高度な技術をもつスタッフや設備があると承認された病院であれば、混合診療を実施できます。

 現行制度で混合診療が認められているものには、選定療養と評価療養があります。

 選定療養とは、患者が選定し、特別の費用負担をする追加的な医療サービスのことをいいます。

 たとえば、検査、リハビリテーション、精神科専門療法などの7項目に関して、制限回数を超えて医療行為を行なった場合、2006年(平成18年)10月以降は、「選定療養の一類型として、今回新たに保険給付との併用」が認められることになりました。

 ほかに、差額ベッドなどのアメニティも認められます。

 評価療養とは、まだ現段階では保険導入はされていませんが、将来的に保険導入のための評価を行うものです。

 たとえば、高度で先進的な技術に限られる高度先進医療や一部の未承認薬の使用などが含まれます。

 先進医療は、インプラント義歯や、ガンに対する重粒子線治療など一般の医療水準を超えた最先端の医療技術です。

 先進医療が受けられる医療機関は、2006年10月現在で189あり、医療機関ごとに実施できる先進医療は決まっています。

●窓口負担額

 私たちは病気やケガをしたときに、健康保険の被保険者証を持って保険医療機関に行き、医師の診察や治療を受けます。

 そのとき、治療などに要した費用の7割(3歳以上70歳未満の場合)を、診察、投薬、注射、処置、手術、入院などの現物によって給付されます。

・診察、投薬、注射、処置、手術の場合; 

 現物給付された残りの3割の費用を被保険者が一部負担金として、保険医療機関の窓口で支払います。

 この一部負担金の割合は、すべての制度で被保険者、扶養家族とも共通ですが、年齢による区別があります。

 2006年(平成18年)の医療保険制度改正によって、医療費の自己負担割合が変更になり、年齢に応じた一部負担金の割合は、3歳未満の人はかかった医療費用などの2割、3歳以上70歳未満の人
は3割、70歳以上の人は1割(一定の高所得者は3割)となりました。

 2010年4月から70〜74歳の人は2割となる予定です(当初2008年4月からの予定でしたが、延長されました)。

 なお、特定の疾病やガンなど、公的医療保険でまかなえない治療も増えてきていますので注意が必要です。

・入院の場合; 

 現物給付された残りの3割の費用を被保険者が一部負担金として、保険医療機関の窓口で支払います。

 入院の場合は、さらに病床にかかる経費の自己負担が加わります。

 たとえば、差額ベッドにかかる費用などは公的医療保険の対象外です。

 また、介護保険との関係で、一定の場合に食事代・居住費の一部を負担します。

 病床には、一般病床、療養病床があります(他に、結核病床、精神病床、感染者病床もありますがここでは割愛します)。

 一般病床は病気やケガで緊急入院した患者、療養病床は介護をともないつつ長期療養する患者という違いがあります。

 ある程度症状が安定し、リハビリなどが必要になった段階で療養病床に移ります。

 2000年(平成12年)4月の介護保険法の施行により、療養病床は、従来からの医療保険の対象となる医療型療養病床と、介護保険の対象となる介護型医療施設のいずれかに区分されました。

 2005年10月から、介護保険による介護施設入所時の食事代・居住費の一部として、1か月約5.2万円(食費4.2万円、居住費1万円)を自己負担することとなりました。

 2006年10月から、療養病床に入院する70歳以上(2008年4月からは65歳以上)の高齢者のみを対象として、自己負担額が介護保険と同程度となるように食事代・居住費の一部として、1か月約5.2万円(食費4.2万円、居住費1万円)を自己負担することとなりました。

●高額医療費

 健康保険を使うことによって、一部負担金を支払うだけで治療などを受けられますが、難易度の高いい手術を受けたり、長期入院を余儀なくされた場合など、治療費が高額になり支払いが困難になることがあります。

 そうしたケースでは、自己負担を軽減できるように、一定の金額を超えた部分について払戻しが受けられる高額医療費の制度があります。

 高額療養費の対象となる負担額は、健康保険の範囲内、つまり、療養の給付、家族療養費などです。

 入院時の差額ベッド代、歯科の材料の特別料金、高度先進医療の先進技術部分など保険適用外の負担額や、入院時食事療養の標準負担額と特別料金などは高額療養費には含まれません。

 高額療養費と認め5れるための要件

・被保険者本人・被扶養者ともに、同一の医療機関で、1か月間に自己負担額が一定額を超えたとき

 ここでいう1か月とは、「診療を受けた月ごと」ということです。

・同一世帯で1か月に2万1,000円〈血友病や人口透析など高額・長期の治療は1万円、上位所得者は2万円)以上の自己負担が複数あるときは、世帯で合算して自己負担限度額を超えたとき(世帯合算)

 ただし、入院と外来は別々に取り扱われます。

 総合病院では各科別ごとに一つの医療機関とみなされるため、一つの科で2万1,000円以上の自
己負担額がなければ適用されません。

 食事代は高額療養費の対象外です。

・直近の1年間で4回以上負担軽減を受けると、4回目以降の負担上限額が低くなります。

・入院だけのときは、事前に申請して「限度額認定書」をもらっておくと、負担金上限額までの支払いですみます

 ただし、通院については請求して、負担軽減額の払戻しを受けることになります。

●病気やケガで会社を休んだとき

 医療保険は原則として現物給付ですが、状況によっては現金給付されるものもあります。

 そのひとつが傷病手当金です。

 健康保険に加入している人には、病気やケガのために働けなくなったときの保障があります。

 たとえば、傷病手当金の対象となるのは、仕事上や通勤途上以外の理由による病気やケガです。

 (仕事上や通勤途上の理由によるときは、労災保険の対象になります。)

 入院して会社へ行けずに欠勤することで給料の支払いがなくなったときに、この傷病手当金が役立ちます。

▼傷病手当金の給付を受けられる条件

・療養中であること

 病気やケガの療養のためであれば、健康保険でなく自費で診療を受けていても対象になります。

・仕事につけないこと(労務不能)

 「仕事につけないこと」とは、いままで行なっていた仕事につけないことをいいます。

 同じ会社で、いままでよりも軽い仕事についたり、医師の指示で半日出勤して、いままでと同じ内容の仕事をするような場合は、労務不能とは認められません。

・4日以上、仕事を休むこと

 傷病手当金は、仕事を休んだ日から3日間の「待期期間」をおき、4日日から支給されます。

 この待期期間は、3日間続いていることをいいます。

・給料の支払いがないこと

 傷病手当金は、給料等の支払いがあるときは支給されませんので、年次有給休暇を使って休んでいる間は支給されません。

 ただし、給料が支払われていても、給与額が傷病手当金より少ないときは、その差額が傷病手当金として支給されます。

▼支給期間

 傷病手当金の支給期間は、同一の病気やケガについて、支給を受け始めてから1年6か月間です。

 これは、支給の実日数ではなく、支給を受け始めてから1年6か月たてば、その間の出勤・欠勤日数に関係なく、その病気やケガについての傷病手当金は打ち切りとなります。

▼給付額

 傷病手当金の給付額は、1目につき標準報酬日額の3分の2相当額です。

 有給休暇や病欠扱いで月給が3分の2以上、支給されている場合は、傷病手当金は支給されません。

▼出産手当金

 傷病手当金と出産手当金を同時に受けられるときは、出産手当金が優先され、出産手当金を受けられる間は、傷病手当金は支給されません。

 ただし、傷病手当金が支給されてしまったときは、その額は出産手当金の内払いとみなされて、その額だけ出産手当金の額が調整されます。

▼障害厚生年金

 傷病手当金を受けられる期間が残っていたとしても、同一の病気やケガについて厚生年金保険の障害厚生年金を受けられるようになったときは、傷病手当金は打ち切りになります。

 ただし、障害厚生年金の額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給期間満了まで健康保険から支給されます。

▼労災保険の休業補償給付

 労災保険の休業補償給付を受けている間に、傷病手当金をあわせて受給することはできません。

 ただし、休業補償給付の額が、傷病手当金の額に達しないときは、その差額については支給されます。

●生活習慣病予防

 生活習慣病は、不適切な食生活、運動不足、喫煙などで起こる病気で、臓脂肪型肥満に起因する、肥満症、糖尿病、高血圧症、高脂血症と脳卒中や心筋梗塞等の虚血性心疾患、ガンなどがあります。

 生活習慣病に要する医療費は、2003年(平成15年)度の全体の医療費31・5兆円のうち10・2兆円
と約3割を占め、死亡割合では2003年全体の死亡原因の61%を占めています。

 糖尿病、高血圧症、高脂血症などの生活習慣病は、徐々に進行して脳卒中や心筋梗塞の原因となり、人工透析を受けることになったり、失明などの重い合併症をまねきかねません。

 生活習慣病に要する医療費は、国民医療費の約3分の1を占めているわけですから、その人たちが高齢になったときには、さらに膨らむものと予想されます。

 厚生労働省では、生活習慣病の予防を進めるために、2008年(平成20年)度から生活習慣病向け健康診断の費用の助成などを中心に、新たな取組みを行なうことになりました。

 生活習慣病予防のポイントになるのが、お腹にたまった内臓脂肪が原因で起きるメタポリックシンドローム(内臓脂肪症候群)です。

 診断基準は、まずお腹回り(ウエスト)が、男性は85センチ以上、女性は90センチ以上で、さらに高脂血症、高血圧、高血糖のうちの2つ以上が該当すれば、メタポリックシンドロームと診断されます。

 2006年(平成18年)の医療制度改革では、国民健康保険などの医療保険者(市区町村)に、40歳以上を対象にした健康診断を義務づけ、保健指導などを行なうこととしています。

 お腹回り(ウエスト)などの診断基準で、メタポリックシンドロームの有病者、予備軍と診断されると、医療機関で治療を受けたり、運動や食事に関する保険指導を受けさせることになります。

●退職後の医療保険選び

 会社員が定年などで会社を辞めたあとに、どのような医療保険に入るかは、自分で選ぶことになります。

 選び方によっては保険料に差がでます。

 一般的なのは、任意継続被保険者になるか、国民健康保険に加入するか、のどちらかです。

 任意継続被保険者を選んだ場合、在職中は会社と従業員が保険料を原則として折半で負担していましたが、任意継続被保険者になると全額、自己負担になります。

 つまり、保険料は会社に勤めていたときの2倍になります。

 ただし、保険料の負担増を抑えるために、計算のベースになる給与額は、退職時か全被保険者の平均額のいずれか低いほうになります。

 長年勤めた人の退職時の給与は高額なことが多いので、全被保険者の平均額がベースになることが多いです。

 政府管掌の健康保険での平均給与は28万円です。

 これに保険料率をかけた金額が保険料です。

 28万円×8・2%=2万2,960円

が月額保険料となります。

 年間にすると27万5,520円です。

 ただし、会社が組合管掌の健康保険に加入している場合は、各組合によって保険料率は異なります。

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 国民健康保険への加入を選んだ場合、保険料の計算方法は各市区町村によって異なります。

 国民健康保険の保険料は、家族の人数や前年の所得に応じて決められ、全国どの市区町村でも一律というわけではなく、地域によって医療費の支出や財政状況などに違いがあるため、保険料にも差が生じています。

 こうしたバラツキによる不公平感を解消するために、また保険者の財政基盤の強化のために、医療保険制度は一元化に向かっており、保険者の統合・再編が進んでいます。

 なお、保険者の統合・再編として対象となるのは、国民健康保険(市町村国保)、政府管掌健康保険(政管健保)、組合管掌健康保険(組合健保)の3つです。

 現状では、一般的に、退職時の給与額がなかり高い場合、任意継続被保険者になる方が保険料がずっと安いようです。

 なお、国が定めている国民健康保険の保険料の年間上限は56万円となっています。

 国民健康保険料がいくらになるか知りたい人は、会社を辞める前に市区町村の役場に問い合わせてみるとよいでしょう。